結論:退職金の手取りは「勤続年数」でほぼ決まります
退職金は給与と別に計算され、勤続年数に応じた大きな控除があります。額面が控除額以下なら、税金は1円もかかりません。控除を超えた部分も、原則としてその半分だけが課税対象です。
- 勤続20年以下の控除額は 40万円 × 勤続年数(80万円に満たないときは80万円)
- 勤続20年超の控除額は 800万円 + 70万円 ×(勤続年数 − 20年)
- 課税されるのは (額面 − 控除額)× 1/2。控除額以下なら課税ゼロ
- 退職の理由(自己都合か会社都合か)で税額は変わりません。変わるのは相場のほうです
- 令和5年の公的統計では、定年退職した大学・大学院卒の平均は 1,896万円、自己都合は 1,441万円
金額を入れて計算する
勤続年数と退職金の額面を入れると、退職所得控除額・課税対象額・所得税等・住民税・手取りの目安を出します。入力した内容はこの画面の中だけで計算され、どこにも送信されません。
勤続年数は1〜60年、退職金の額面は0〜100,000万円の範囲で入れてください。
計算の結果(目安)
| 退職所得控除額 | 15,000,000円 |
|---|---|
| 額面から控除を引いた額 | 5,000,000円 |
| 課税退職所得金額 | 2,500,000円 |
| 所得税+復興特別所得税 | 155,702円 |
| 住民税(市町村民税6%+道府県民税4%) | 250,000円 |
| 差し引かれる税金の合計 | 405,702円 |
| 手取りの目安 | 19,594,298円 |
この条件では、退職金に所得税・住民税はかかりません。額面がそのまま手元に残ります。
控除額まで、あと0円の余裕があります。
内訳の計算は「どう計算しているか」のとおりです。住民税は、退職金が支払われるときに天引きされます(あとから請求書が来る形ではありません)。
勤続5年以下のため「短期退職手当等」として計算しています。控除を引いたあとの300万円を超える部分は、1/2にできません(国税庁 No.1420 注2)。
公的統計の平均と比べると
自己都合会社都合で退職した大学・大学院卒(管理・事務・技術職)の平均は14,410,000円です(厚生労働省 令和5年就労条件総合調査 第22表・勤続20年以上かつ45歳以上)。入力した額面は、この平均を0円上回っています。入力した額面は、この平均を0円下回っています。入力した額面は、この平均とほぼ同じです。
平均は「制度がある会社の、長く勤めた人」の数字です。会社の規模・業種・退職金規程で大きく変わるので、自分の会社の規程を確認するのが確実です。
相場との比較は表示していません。公的統計(厚生労働省 令和5年就労条件総合調査 第22表)が対象にしているのは「勤続20年以上かつ45歳以上の退職者」だけで、それより短い勤続年数の平均は公表されていないためです。確認できない数字をこのページには書きません。
「退職所得の受給に関する申告書」を勤務先に出していない場合は、この計算とは別に、額面の20.42%にあたる4,084,000円が源泉徴収されます(国税庁 No.1420)。払いすぎた分は確定申告で戻ります。
計算フォームは、お使いの環境でJavaScriptが動くときだけ表示されます。表示されない場合は、下の早見表と計算の実例をご覧ください。まったく同じ式で計算しています。
どう計算しているか(計算式)
このツールは次の順番で計算しています。隠している処理はありません。
- 勤続年数を数える
1年未満の端数は1年に切り上げます。休職していた期間も、原則として勤続期間に含めます(国税庁 No.2732)。 - 退職所得控除額を出す
勤続20年以下 → 40万円 × 勤続年数(80万円に満たないときは80万円)
勤続20年超 → 800万円 + 70万円 ×(勤続年数 − 20年) - 課税退職所得金額を出す
(額面 − 控除額)× 1/2 を計算し、1,000円未満を切り捨てます。マイナスなら0円です。
勤続5年以下のときは、控除を引いたあとの300万円を超える部分を1/2にしません。 - 所得税を出す
課税退職所得金額を、国税庁の速算表(下の表)にあてはめます。ほかの給与とは合算しません(分離課税)。 - 復興特別所得税を足す
所得税 × 2.1% を上乗せし、1円未満を切り捨てます。 - 住民税を出す
課税退職所得金額 × 6%(市町村民税)と、× 4%(道府県民税)をそれぞれ100円未満を切り捨てて足します。合わせて10%です。 - 手取りを出す
額面 − 所得税等 − 住民税 が、手元に残る目安です。
所得税の速算表
| 課税退職所得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000円 〜 1,949,000円 | 5% | 0円 |
| 1,950,000円 〜 3,299,000円 | 10% | 97,500円 |
| 3,300,000円 〜 6,949,000円 | 20% | 427,500円 |
| 6,950,000円 〜 8,999,000円 | 23% | 636,000円 |
| 9,000,000円 〜 17,999,000円 | 33% | 1,536,000円 |
| 18,000,000円 〜 39,999,000円 | 40% | 2,796,000円 |
| 40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
出典:国税庁 No.2260 所得税の税率(令和7年4月1日現在法令等・2026-07-26確認)
早見表1:税金が1円もかからない退職金の上限
退職所得控除額は、そのまま「ここまでなら税金ゼロ」の線でもあります。額面が控除額以下なら、課税退職所得金額が0円になり、所得税も住民税もかかりません。
| 勤続年数 | 退職所得控除額 | 計算 |
|---|---|---|
| 1年 | 80万円 | 40万円×1年=40万円 → 最低額の80万円 |
| 3年 | 120万円 | 40万円×3年 |
| 5年 | 200万円 | 40万円×5年 |
| 10年 | 400万円 | 40万円×10年 |
| 15年 | 600万円 | 40万円×15年 |
| 20年 | 800万円 | 40万円×20年 |
| 21年 | 870万円 | 800万円+70万円×1年 |
| 25年 | 1,150万円 | 800万円+70万円×5年 |
| 30年 | 1,500万円 | 800万円+70万円×10年 |
| 35年 | 1,850万円 | 800万円+70万円×15年 |
| 38年 | 2,060万円 | 800万円+70万円×18年 |
| 40年 | 2,200万円 | 800万円+70万円×20年 |
出典:国税庁 No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)(令和7年4月1日現在法令等・2026-07-26確認)
勤続20年を1日でも超えると、1年あたりの控除が40万円から70万円に上がります。退職日が年度末に近い人ほど、勤続年数の数え方を先に確認する価値があります。
早見表2:勤続30年・額面ごとの手取り
勤続30年(退職所得控除1,500万円)の場合、額面ごとの手取りは次のようになります。すべて、このページの計算式でそのまま計算した数字です。
| 額面 | 課税退職所得金額 | 所得税等 | 住民税 | 税の合計 | 手取り |
|---|---|---|---|---|---|
| 1,000万円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 | 10,000,000円 |
| 1,500万円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 | 15,000,000円 |
| 2,000万円 | 2,500,000円 | 155,702円 | 250,000円 | 405,702円 | 19,594,298円 |
| 2,500万円 | 5,000,000円 | 584,522円 | 500,000円 | 1,084,522円 | 23,915,478円 |
| 3,000万円 | 7,500,000円 | 1,111,869円 | 750,000円 | 1,861,869円 | 28,138,131円 |
| 4,000万円 | 12,500,000円 | 2,643,369円 | 1,250,000円 | 3,893,369円 | 36,106,631円 |
勤続30年なら1,500万円まで税金はかかりません。2,000万円でも引かれるのは405,702円で、額面の約2.0%です。給与から引かれる割合と比べると、退職金は税金がとても軽くなっています。
具体例で最後まで計算してみる
数字を全部あてはめて、最後まで計算した例です。ご自身の条件に近いものを見てください。
例1:勤続10年・退職金300万円・自己都合
30代で転職する人によくある条件です。
- 退職所得控除額 = 40万円 × 10年 = 4,000,000円
- 額面3,000,000円 − 控除4,000,000円 → 控除のほうが大きいので課税対象は0円
- 所得税・復興特別所得税・住民税 = すべて0円
- 手取り = 3,000,000円(額面がそのまま残ります)
例2:勤続20年・退職金800万円・会社都合
控除額とちょうど同じ額面のケースです。
- 退職所得控除額 = 40万円 × 20年 = 8,000,000円
- 額面8,000,000円 − 控除8,000,000円 → 控除のほうが大きいので課税対象は0円
- 所得税・復興特別所得税・住民税 = すべて0円
- 手取り = 8,000,000円(額面がそのまま残ります)
例3:勤続30年・退職金2,000万円・定年
公的統計の平均に近い、いちばん多いケースです。
- 退職所得控除額 = 800万円 + 70万円 ×(30年 − 20年)= 15,000,000円
- 額面20,000,000円 − 控除15,000,000円 = 5,000,000円
- 5,000,000円 × 1/2 = 課税退職所得金額 2,500,000円
- 所得税 = 2,500,000円 × 10% − 97,500円 = 152,500円
- 復興特別所得税を足す = 152,500円 × 1.021 = 155,702円(1円未満切捨て)
- 住民税 = 2,500,000円 × 6%(150,000円)+ 2,500,000円 × 4%(100,000円) = 250,000円
- 税の合計 = 405,702円
- 手取り = 20,000,000円 − 405,702円 = 19,594,298円
例4:勤続38年・退職金1,896万円(大学・大学院卒の定年の平均額)
厚生労働省の統計にある平均額を、そのまま入れてみた例です。
- 退職所得控除額 = 800万円 + 70万円 ×(38年 − 20年)= 20,600,000円
- 額面18,960,000円 − 控除20,600,000円 → 控除のほうが大きいので課税対象は0円
- 所得税・復興特別所得税・住民税 = すべて0円
- 手取り = 18,960,000円(額面がそのまま残ります)
例5:勤続3年・退職金500万円・自己都合
勤続5年以下は「短期退職手当等」になり、1/2にできない部分が出ます。
- 退職所得控除額 = 40万円 × 3年 = 1,200,000円
- 額面5,000,000円 − 控除1,200,000円 = 3,800,000円
- 勤続5年以下なので、300万円までは1/2、超える部分はそのまま。
150万円 + 800,000円 = 課税退職所得金額 2,300,000円 - 所得税 = 2,300,000円 × 10% − 97,500円 = 132,500円
- 復興特別所得税を足す = 132,500円 × 1.021 = 135,282円(1円未満切捨て)
- 住民税 = 2,300,000円 × 6%(138,000円)+ 2,300,000円 × 4%(92,000円) = 230,000円
- 税の合計 = 365,282円
- 手取り = 5,000,000円 − 365,282円 = 4,634,718円
例3と例4を見比べると分かるとおり、同じくらいの額面でも勤続年数が長いほうが手取りは増えます。例4は控除2,060万円のほうが額面より大きいので、税金は0円です。
相場(公的統計)
退職金の相場は、厚生労働省が5年ごとに行う「就労条件総合調査」で公表されています。最新は令和5年調査で、令和4年の1年間に退職した人が対象です。勤続20年以上かつ45歳以上の退職者に限った数字である点に注意してください。これより勤続が短い人の平均は公表されていないため、このページには書きません。
| 退職の理由 | 大学・大学院卒 (管理・事務・技術職) | 高校卒 (管理・事務・技術職) | 高校卒 (現業職) |
|---|---|---|---|
| 定年 | 1,896万円 | 1,682万円 | 1,183万円 |
| 会社都合 | 1,738万円 | 1,385万円 | 737万円 |
| 自己都合 | 1,441万円 | 1,280万円 | 921万円 |
| 早期優遇 | 2,266万円 | 2,432万円 | 2,146万円 |
出典:厚生労働省 令和5年就労条件総合調査 結果の概況(第22表・2026-07-26確認)。「退職給付額」は、一時金だけの会社は一時金の額、年金だけの会社は年金現価額、両方ある会社はその合計です。
そもそも退職金がある会社はどれくらいか
退職金は法律で義務づけられた制度ではありません。就業規則や退職金規程に定めがあってはじめて請求できます。
| 企業の規模 | 制度がある割合 |
|---|---|
| 全体 | 74.9% |
| 1,000人以上 | 90.1% |
| 300〜999人 | 88.8% |
| 100〜299人 | 84.7% |
| 30〜99人 | 70.1% |
出典:厚生労働省 令和5年就労条件総合調査 結果の概況(第16表・2026-07-26確認)
間違えやすいところ
- 自己都合だと税金が高くなる?
- なりません。退職所得の計算に退職理由は出てきません。自己都合で減るのは会社が支払う額面のほう(退職金規程の支給率)で、税金の計算式は同じです。失業保険は自己都合か会社都合かで大きく変わりますが、それとは別の話です。失業保険の計算はこちら。
- 「退職所得の受給に関する申告書」を出さないとどうなる?
- 控除がまったく使われず、額面の20.42%が一律で源泉徴収されます。例えば2,000万円なら4,084,000円です。払いすぎた分は確定申告で取り戻せますが、翌年まで戻ってきません。退職金を受け取る前に必ず提出してください(国税庁 No.1420)。
- 勤続年数の端数はどう数える?
- 1年未満の端数は切り上げます。勤続10年2か月なら11年です(国税庁 No.1420 例1)。長期の欠勤や病気での休職の期間も、原則として勤続期間に含まれます(国税庁 No.2732)。
- 勤続5年以下だと不利になる?
- 控除を引いたあと300万円を超える部分は、1/2にできません(短期退職手当等)。役員として勤めた年数が5年以下の場合(特定役員退職手当等)は、1/2の計算がまったく使えません。どちらも国税庁 No.1420 の(注1)(注2)に書かれています。このツールは役員でない前提で計算しているので、役員の方は税務署か税理士に確認してください。
- ほかにも控除が増えることはある?
- 障害者になったことが直接の原因で退職した場合は、控除額に100万円が加算されます(国税庁 No.1420 注1)。このツールはその加算を含めていません。
- 前にも退職金を受け取ったことがある
- 前年以前に退職金を受け取っている場合や、同じ年に2か所以上から受け取る場合は、控除額の計算が変わります(国税庁 No.1420 注2)。このツールは1か所からの初めての退職金を前提にしています。
- 退職金はいつ振り込まれる?
- 法律で日付は決まっていません。就業規則・退職金規程で定めた期日によります。規程に書いてあるのに支払われないときは、労働基準監督署の相談窓口が使えます。請求の交渉そのものを代わりに行えるのは弁護士だけです。誰に頼めばよいかの診断はこちら。
使った一次情報
このページの数値は、次の一次情報で確認しています(最終確認日 2026-07-26)。確認できなかった数値は載せていません。
- 国税庁No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)(令和7年4月1日現在法令等)退職所得控除額の式、(収入-控除)×1/2、短期退職手当等・特定役員退職手当等の例外、申告書を出さない場合の20.42%
- 国税庁No.2732 退職手当等に対する源泉徴収(令和7年4月1日現在法令等)勤続年数の数え方(1年未満の端数は1年に切り上げ)、支払いのときに源泉徴収される流れ
- 国税庁No.2260 所得税の税率(令和7年4月1日現在法令等)所得税の速算表(7段階の税率と控除額)、復興特別所得税2.1%
- e-Gov法令検索地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)(条文本文で確認)第50条の4=道府県民税4%、第328条の3=市町村民税6%、第20条の4の2=課税標準は1,000円未満切捨て・税額は100円未満切捨て
- 厚生労働省令和5年就労条件総合調査 結果の概況(令和5年調査)第16表=退職給付制度がある企業の割合、第22表=退職者1人平均退職給付額(令和4年1年間・勤続20年以上かつ45歳以上)