本文へ移動

退職金の相場と手取りの目安|勤続年数から退職所得控除と税金を計算する

結論:退職金の手取りは「勤続年数」でほぼ決まります

退職金は給与と別に計算され、勤続年数に応じた大きな控除があります。額面が控除額以下なら、税金は1円もかかりません。控除を超えた部分も、原則としてその半分だけが課税対象です。

  • 勤続20年以下の控除額は 40万円 × 勤続年数(80万円に満たないときは80万円)
  • 勤続20年超の控除額は 800万円 + 70万円 ×(勤続年数 − 20年)
  • 課税されるのは (額面 − 控除額)× 1/2。控除額以下なら課税ゼロ
  • 退職の理由(自己都合か会社都合か)で税額は変わりません。変わるのは相場のほうです
  • 令和5年の公的統計では、定年退職した大学・大学院卒の平均は 1,896万円、自己都合は 1,441万円

一次情報の確認日: / 出典:国税庁 No.1420・No.2260・No.2732、地方税法、厚生労働省 令和5年就労条件総合調査

金額を入れて計算する

勤続年数と退職金の額面を入れると、退職所得控除額・課税対象額・所得税等・住民税・手取りの目安を出します。入力した内容はこの画面の中だけで計算され、どこにも送信されません。

計算フォームは、お使いの環境でJavaScriptが動くときだけ表示されます。表示されない場合は、下の早見表計算の実例をご覧ください。まったく同じ式で計算しています。

どう計算しているか(計算式)

このツールは次の順番で計算しています。隠している処理はありません。

  1. 勤続年数を数える
    1年未満の端数は1年に切り上げます。休職していた期間も、原則として勤続期間に含めます(国税庁 No.2732)。
  2. 退職所得控除額を出す
    勤続20年以下 → 40万円 × 勤続年数(80万円に満たないときは80万円)
    勤続20年超 → 800万円 + 70万円 ×(勤続年数 − 20年)
  3. 課税退職所得金額を出す
    (額面 − 控除額)× 1/2 を計算し、1,000円未満を切り捨てます。マイナスなら0円です。
    勤続5年以下のときは、控除を引いたあとの300万円を超える部分を1/2にしません。
  4. 所得税を出す
    課税退職所得金額を、国税庁の速算表(下の表)にあてはめます。ほかの給与とは合算しません(分離課税)。
  5. 復興特別所得税を足す
    所得税 × 2.1% を上乗せし、1円未満を切り捨てます。
  6. 住民税を出す
    課税退職所得金額 × 6%(市町村民税)と、× 4%(道府県民税)をそれぞれ100円未満を切り捨てて足します。合わせて10%です。
  7. 手取りを出す
    額面 − 所得税等 − 住民税 が、手元に残る目安です。

所得税の速算表

課税退職所得金額に対する所得税(復興特別所得税を含まない)
課税退職所得金額税率控除額
1,000円 〜 1,949,000円5%0円
1,950,000円 〜 3,299,000円10%97,500円
3,300,000円 〜 6,949,000円20%427,500円
6,950,000円 〜 8,999,000円23%636,000円
9,000,000円 〜 17,999,000円33%1,536,000円
18,000,000円 〜 39,999,000円40%2,796,000円
40,000,000円 以上45%4,796,000円

出典:国税庁 No.2260 所得税の税率(令和7年4月1日現在法令等・2026-07-26確認)

早見表1:税金が1円もかからない退職金の上限

退職所得控除額は、そのまま「ここまでなら税金ゼロ」の線でもあります。額面が控除額以下なら、課税退職所得金額が0円になり、所得税も住民税もかかりません。

勤続年数ごとの退職所得控除額(=税金がかからない額面の上限)
勤続年数退職所得控除額計算
1年80万円40万円×1年=40万円 → 最低額の80万円
3年120万円40万円×3年
5年200万円40万円×5年
10年400万円40万円×10年
15年600万円40万円×15年
20年800万円40万円×20年
21年870万円800万円+70万円×1年
25年1,150万円800万円+70万円×5年
30年1,500万円800万円+70万円×10年
35年1,850万円800万円+70万円×15年
38年2,060万円800万円+70万円×18年
40年2,200万円800万円+70万円×20年

出典:国税庁 No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)(令和7年4月1日現在法令等・2026-07-26確認)

勤続20年を1日でも超えると、1年あたりの控除が40万円から70万円に上がります。退職日が年度末に近い人ほど、勤続年数の数え方を先に確認する価値があります。

早見表2:勤続30年・額面ごとの手取り

勤続30年(退職所得控除1,500万円)の場合、額面ごとの手取りは次のようになります。すべて、このページの計算式でそのまま計算した数字です。

勤続30年のときの手取りの目安(所得税・復興特別所得税・住民税を引いたあと)
額面課税退職所得金額所得税等住民税税の合計手取り
1,000万円0円0円0円0円10,000,000円
1,500万円0円0円0円0円15,000,000円
2,000万円2,500,000円155,702円250,000円405,702円19,594,298円
2,500万円5,000,000円584,522円500,000円1,084,522円23,915,478円
3,000万円7,500,000円1,111,869円750,000円1,861,869円28,138,131円
4,000万円12,500,000円2,643,369円1,250,000円3,893,369円36,106,631円

勤続30年なら1,500万円まで税金はかかりません。2,000万円でも引かれるのは405,702円で、額面の約2.0%です。給与から引かれる割合と比べると、退職金は税金がとても軽くなっています。

具体例で最後まで計算してみる

数字を全部あてはめて、最後まで計算した例です。ご自身の条件に近いものを見てください。

例1:勤続10年・退職金300万円・自己都合

30代で転職する人によくある条件です。

  1. 退職所得控除額 = 40万円 × 10年 = 4,000,000円
  2. 額面3,000,000円 − 控除4,000,000円 → 控除のほうが大きいので課税対象は0円
  3. 所得税・復興特別所得税・住民税 = すべて0円
  4. 手取り = 3,000,000円(額面がそのまま残ります)

例2:勤続20年・退職金800万円・会社都合

控除額とちょうど同じ額面のケースです。

  1. 退職所得控除額 = 40万円 × 20年 = 8,000,000円
  2. 額面8,000,000円 − 控除8,000,000円 → 控除のほうが大きいので課税対象は0円
  3. 所得税・復興特別所得税・住民税 = すべて0円
  4. 手取り = 8,000,000円(額面がそのまま残ります)

例3:勤続30年・退職金2,000万円・定年

公的統計の平均に近い、いちばん多いケースです。

  1. 退職所得控除額 = 800万円 + 70万円 ×(30年 − 20年)= 15,000,000円
  2. 額面20,000,000円 − 控除15,000,000円 = 5,000,000円
  3. 5,000,000円 × 1/2 = 課税退職所得金額 2,500,000円
  4. 所得税 = 2,500,000円 × 10% − 97,500円 = 152,500円
  5. 復興特別所得税を足す = 152,500円 × 1.021 = 155,702円(1円未満切捨て)
  6. 住民税 = 2,500,000円 × 6%(150,000円)+ 2,500,000円 × 4%(100,000円) = 250,000円
  7. 税の合計 = 405,702円
  8. 手取り = 20,000,000円 − 405,702円 = 19,594,298円

例4:勤続38年・退職金1,896万円(大学・大学院卒の定年の平均額)

厚生労働省の統計にある平均額を、そのまま入れてみた例です。

  1. 退職所得控除額 = 800万円 + 70万円 ×(38年 − 20年)= 20,600,000円
  2. 額面18,960,000円 − 控除20,600,000円 → 控除のほうが大きいので課税対象は0円
  3. 所得税・復興特別所得税・住民税 = すべて0円
  4. 手取り = 18,960,000円(額面がそのまま残ります)

例5:勤続3年・退職金500万円・自己都合

勤続5年以下は「短期退職手当等」になり、1/2にできない部分が出ます。

  1. 退職所得控除額 = 40万円 × 3年 = 1,200,000円
  2. 額面5,000,000円 − 控除1,200,000円 = 3,800,000円
  3. 勤続5年以下なので、300万円までは1/2、超える部分はそのまま。
    150万円 + 800,000円 = 課税退職所得金額 2,300,000円
  4. 所得税 = 2,300,000円 × 10% − 97,500円 = 132,500円
  5. 復興特別所得税を足す = 132,500円 × 1.021 = 135,282円(1円未満切捨て)
  6. 住民税 = 2,300,000円 × 6%(138,000円)+ 2,300,000円 × 4%(92,000円) = 230,000円
  7. 税の合計 = 365,282円
  8. 手取り = 5,000,000円 − 365,282円 = 4,634,718円

例3と例4を見比べると分かるとおり、同じくらいの額面でも勤続年数が長いほうが手取りは増えます。例4は控除2,060万円のほうが額面より大きいので、税金は0円です。

相場(公的統計)

退職金の相場は、厚生労働省が5年ごとに行う「就労条件総合調査」で公表されています。最新は令和5年調査で、令和4年の1年間に退職した人が対象です。勤続20年以上かつ45歳以上の退職者に限った数字である点に注意してください。これより勤続が短い人の平均は公表されていないため、このページには書きません。

退職者1人あたりの平均退職給付額(勤続20年以上かつ45歳以上・令和4年1年間)
退職の理由大学・大学院卒
(管理・事務・技術職)
高校卒
(管理・事務・技術職)
高校卒
(現業職)
定年1,896万円1,682万円1,183万円
会社都合1,738万円1,385万円737万円
自己都合1,441万円1,280万円921万円
早期優遇2,266万円2,432万円2,146万円

出典:厚生労働省 令和5年就労条件総合調査 結果の概況(第22表・2026-07-26確認)。「退職給付額」は、一時金だけの会社は一時金の額、年金だけの会社は年金現価額、両方ある会社はその合計です。

そもそも退職金がある会社はどれくらいか

退職金は法律で義務づけられた制度ではありません。就業規則や退職金規程に定めがあってはじめて請求できます。

退職給付(一時金・年金)制度がある企業の割合(令和5年調査)
企業の規模制度がある割合
全体74.9%
1,000人以上90.1%
300〜999人88.8%
100〜299人84.7%
30〜99人70.1%

出典:厚生労働省 令和5年就労条件総合調査 結果の概況(第16表・2026-07-26確認)

間違えやすいところ

自己都合だと税金が高くなる?
なりません。退職所得の計算に退職理由は出てきません。自己都合で減るのは会社が支払う額面のほう(退職金規程の支給率)で、税金の計算式は同じです。失業保険は自己都合か会社都合かで大きく変わりますが、それとは別の話です。失業保険の計算はこちら
「退職所得の受給に関する申告書」を出さないとどうなる?
控除がまったく使われず、額面の20.42%が一律で源泉徴収されます。例えば2,000万円なら4,084,000円です。払いすぎた分は確定申告で取り戻せますが、翌年まで戻ってきません。退職金を受け取る前に必ず提出してください(国税庁 No.1420)。
勤続年数の端数はどう数える?
1年未満の端数は切り上げます。勤続10年2か月なら11年です(国税庁 No.1420 例1)。長期の欠勤や病気での休職の期間も、原則として勤続期間に含まれます(国税庁 No.2732)。
勤続5年以下だと不利になる?
控除を引いたあと300万円を超える部分は、1/2にできません(短期退職手当等)。役員として勤めた年数が5年以下の場合(特定役員退職手当等)は、1/2の計算がまったく使えません。どちらも国税庁 No.1420 の(注1)(注2)に書かれています。このツールは役員でない前提で計算しているので、役員の方は税務署か税理士に確認してください。
ほかにも控除が増えることはある?
障害者になったことが直接の原因で退職した場合は、控除額に100万円が加算されます(国税庁 No.1420 注1)。このツールはその加算を含めていません。
前にも退職金を受け取ったことがある
前年以前に退職金を受け取っている場合や、同じ年に2か所以上から受け取る場合は、控除額の計算が変わります(国税庁 No.1420 注2)。このツールは1か所からの初めての退職金を前提にしています。
退職金はいつ振り込まれる?
法律で日付は決まっていません。就業規則・退職金規程で定めた期日によります。規程に書いてあるのに支払われないときは、労働基準監督署の相談窓口が使えます。請求の交渉そのものを代わりに行えるのは弁護士だけです。誰に頼めばよいかの診断はこちら

使った一次情報

このページの数値は、次の一次情報で確認しています(最終確認日 2026-07-26)。確認できなかった数値は載せていません。