年金払いによる退職給付と公務員が行う手続き

年金払い退職給付の手続きと公務員の退職年金

退職後に年金形式で給付を受けるための手順を解説します。会社員が対象となる退職等年金給付や、公務員が対象となる退職共済年金など、立場によって仕組みが異なります。退職後の生活設計に欠かせない、給付を受けるための準備と期限をまとめています。

  • 退職後の給付は、退職の理由や職種によって種類が分かれます
  • 手続きには、会社や年金事務所への申請が必要です
  • 受給のタイミングや金額は、加入期間や制度によって異なります

最終更新: / 出典: 厚生労働省

年金払い退職給付を受け取るまでの5つの工程

年金払い退職給付を受け取るには、いくつかの手続きが必要です。退職後の生活設計に関わるため、全体の流れを把握しておきましょう。

受給までの工程は、大きく分けて次の5つです。

  1. 退職の手続きと、退職金の支払いに関する確認
  2. 年金払い退職給付の受給資格があるかの確認
  3. 所属していた共済組合への請求手続き
  4. 年金(厚生年金・国民年金)の切り替え手続き
  5. 給付の開始と、年金の受給

まず、所属する共済組合に年金払い退職給付の記録や請求方法を確認します。年金払い退職給付は、公務員の退職手当とは別に共済組合から支給される公的年金です。

次に、自分が受給の要件を満たしているかを確認します。要件の詳細は法令で定められており、所属する共済組合に確認します。この制度は企業の就業規則による退職給付制度ではありません。

退職給付制度がある企業の割合は、全体で 74.9% です。

従業員数によっても割合は異なり、1,000人以上の企業では 90.1% に達します。

300〜999人の企業では 88.8%、100〜299人の企業では 84.7% となっています。

参考:令和5年就労条件総合調査 結果の概況|厚生労働省

60歳未満で再就職せず、被扶養配偶者にもならない場合は、国民年金第1号への切り替えが必要です。令和8年度(令和8年4月〜令和9年3月)の国民年金保険料は、月額 17,920円 です。

参考:国民年金の保険料はいくらですか。|日本年金機構

国民年金第1号被保険者となった場合は、この額を本人が納付します。ただし、失業を理由とする保険料の免除(特例免除)が使える場合があります。要件を満たせば、この負担を減らせる可能性があります。

また、健康保険についても、退職後の加入先によって保険料率が異なります。例えば、協会けんぽの令和8年度の全国平均は 9.90% です。

参考:令和8年度保険料率のお知らせ|全国健康保険協会(協会けんぽ)

都道府県によっても異なり、新潟県では 9.21%、佐賀県では 10.55% となっています。

参考:令和8年度の協会けんぽの保険料率は3月分(4月納付分)から改定されます|全国健康保険協会(協会けんぽ)

手続きを進める際は、勤務先の担当部署へ規約の確認を行いましょう。その後、年金払い退職給付の受給資格は所属する共済組合へ、国民年金の切り替えは市区町村等へ相談してください。

なお、厚生年金の保険料率は 18.3% です。これは労使で折半するため、本人負担は半分となります。

参考:厚生年金保険法第81条第4項・第82条第1項|e-Gov法令検索(デジタル庁)

年金払い退職給付の手続きは所属していた共済組合に、国民年金・厚生年金の手続きは年金事務所に確認してください。不明な点がある場合は、勤務先の担当部署へも併せて相談しましょう。

手続きを忘れないための期限一覧

退職後の手続きには、それぞれ期限が設けられています。期限を過ぎると、希望する制度を利用できなくなる可能性があるため、タイミングの把握が重要です。

手続きの目安
手続きの内容 期限の目安 備考
健康保険の切り替え 退職後、早めの手続きが必要 任意継続などの選択肢があります
国民健康保険への加入 退職後、早めの手続きが必要 市区町村の窓口で扱います
年金払い退職給付の申請 所属する共済組合に確認します 受給要件の確認が必要です

(各制度の規定に基づき編集)

健康保険の切り替えには、複数の選択肢があります。任意継続は資格喪失日から20日以内に申出書を提出し、国民健康保険を選ぶ場合は資格取得日から14日以内に届け出ましょう。ただし、正当な理由があると保険者が認めたときは、20日を過ぎた申し出が認められる場合があります(健康保険法第37条第1項ただし書き)。

ただし、任意継続には継続できる期間に制限があります。

健康保険料率は都道府県によって異なります。例えば、協会けんぽの令和8年度の保険料率は、新潟県が 9.21% と最も低く、佐賀県は 10.55% と最も高くなっています。

参考:令和8年度の協会けんぽの保険料率は3月分(4月納付分)から改定されます|全国健康保険協会(協会けんぽ)

厚生年金保険料についても、改めて確認しておきましょう。厚生年金保険料率は 18.3% です。

この保険料は、会社と本人が半分ずつ負担する仕組みになっています。

参考:厚生年金保険法|e-Gov法令検索(デジタル庁)

退職して国民年金に切り替わった後は、保険料の負担方法が変わります。令和8年度(令和8年4月〜令和9年3月)の国民年金保険料は、月額 17,920円 です。

在籍中とは異なり、国民年金第1号被保険者となった場合は、本人が全額を負担します。ただし、失業を理由とする保険料の免除(特例免除)が使える場合があります。

参考:国民年金の保険料はいくらですか。|日本年金機構

年金払い退職給付の請求時期や必要書類は、所属する共済組合に確認してください。退職金制度の有無や申請のタイミングは、各企業の就業規則や退職金規程に基づきます。

制度の詳細は、勤務先の担当部署へ問い合わせるのが確実です。手続きをスムーズに進めるためにも、退職前にあらかじめ確認しておきましょう。

公務員の退職共済年金と退職年金の仕組み

公務員として働いてきた方は、退職後の給付体系が一般の会社員とは異なります。2015年10月以後の公務員期間には、勤務実績に応じた年金払い退職給付が設けられています。

年金払い退職給付の退職年金は、原則として1年以上の引き続く組合員期間があり、65歳以上で退職しているときに受給権が発生します。このうち一時金を選べるのは有期退職年金部分で、終身退職年金部分は一時金にできません。

年金払い退職給付の額は、組合員期間中に積み立てられた給付算定基礎額などに基づいて決まります。以下の表は、公務員ではなく民間企業の退職給付額の平均をまとめたものです。

退職給付額の平均(勤続20年以上かつ45歳以上の退職者)
学歴・職種 退職の理由 退職給付額の平均
大学・大学院卒(管理・事務・技術職) 定年 18,960,000円
大学・大学院卒(管理・事務・技術職) 会社都合 17,380,000円
大学・大学院卒(管理・事務・技術職) 自己都合 14,410,000円
大学・大学院卒(管理・事務・技術職) 早期優遇 22,660,000円
高校卒(管理・事務・技術職) 定年 16,820,000円
高校卒(管理・事務・技術職) 会社都合 13,850,000円
高校卒(管理・事務・技術職) 自己都合 12,800,000円
高校卒(管理・事務・技術職) 早期優遇 24,320,000円
高校卒(現業職) 定年 11,830,000円
高校卒(現業職) 会社都合 7,370,000円
高校卒(現業職) 自己都合 9,210,000円
高校卒(現業職) 早期優遇 21,460,000円

第22表(退職給付額の平均)

退職の理由が「自己都合」か「会社都合」かによって、受け取れる金額に差が生じる場合があります。また、早期優遇制度を利用して退職する場合も、金額が変動することがあります。

年金払い退職給付の額は、法令等に基づく給付算定基礎額と年金現価率により算定されます。退職金制度の有無や内容は、就業規則や退職金規程の定めが根拠となります。

制度の詳細は、所属する自治体や各機関の給与・人事担当部署へ確認しましょう。ただし、退職の形態や役職によって、適用されるルールが異なる点に注意が必要です。

ご自身の受給額については、勤務先の規約や制度の詳細を事前に確認することが大切です。

公務員の退職手当は法令や条例等に、年金払い退職給付は共済関係法令に基づいて支給されます。地方公務員と国家公務員の年金払い退職給付は、いずれも共済組合が扱い、公務員間では記録が引き継がれます。

退職年金は半分が終身年金となり、残る有期年金部分について20年、10年または一時金を選択できます。この選択肢は各機関の規程ではなく、共済関係法令により定められています。

退職後の生活設計を立てるためには、自身の役職や勤続年数に基づいた正確な試算が必要です。不明な点がある場合は、所属組織の給与担当窓口や人事課へ相談してください。

退職金制度の有無や具体的な支給条件は、必ず最新の就業規則や退職金規程を確認するようにしましょう。制度の改定が行われている場合もあるため、事前の確認が推奨されます。

退職の形態(定年退職、自己都合退職、早期退職など)によって、支給される金額の計算式が異なることもあります。自身の退職理由がどの区分に該当するか、あらかじめ把握しておきましょう。

公務員の退職給付は、長年の貢献に対する重要な権利です。制度の仕組みを正しく理解し、退職に向けた準備を進めてください。

退職後の手続きをスムーズに進めるためには、退職が決まった段階で必要書類や申請期限を整理しておくことが有効です。各機関が定めるスケジュールを遵守しましょう。

最後に、退職後の社会保険料の負担についても考慮しておく必要があります。厚生年金から国民年金へ切り替わる際などの変化を、あらかじめシミュレーションしておくと安心です。

公務員の退職給付制度は複雑な側面もありますが、基本となる仕組みを理解することが第一歩です。自身の権利を守るためにも、規程の確認を怠らないようにしてください。

退職後の生活を支える大切な資金となるため、受給方法の検討も含め、計画的な準備を心がけましょう。不明点は、迷わず所属機関の担当部署へ問い合わせてください。

制度の詳細や個別の計算方法については、必ずご自身の勤務先の規定に基づいて判断してください。例外的なケースも存在するため、自己判断は避けましょう。

退職等年金給付の内容と受け取り方

退職給付制度の有無と企業の規模

退職給付制度(退職金などの仕組み)があるかどうかは、勤務先の規模や制度の有無によって異なります。

退職金は法律で定められた義務ではなく、就業規則や退職金規程の定めに従って支払われるものです。

以下の表は、企業規模ごとの退職給付制度の導入割合をまとめたものです。

企業規模別の退職給付制度の導入割合
企業の規模 制度がある割合
全体 74.9%
従業員1,000人以上 90.1%
従業員300〜999人 88.8%
従業員100〜299人 84.7%
従業員30〜99人 70.1%

参考:令和5年就労条件総合調査 結果の概況|厚生労働省

企業規模が大きくなるほど、退職給付制度が導入されている割合が高くなる傾向が見られます。ただし、小規模な企業でも制度を導入しているケースはあります。

給付の受け取り方の選択肢

退職等年金給付を受け取る方法は、大きく分けて2つのパターンがあります。

一時金を選択できるのは有期退職年金部分であり、給付事由が生じた日から6月以内に請求します。

もう一つは、一定期間にわたって分割して受け取る「年金」として受け取る方法です。

有期退職年金部分は、法定の20年、10年または一時金から選択します。

ご自身の受給方法については、所属する共済組合の退職年金の案内を確認することが大切です。

なお、制度によっては一時金と年金のどちらか一方しか選べない場合もあります。

また、受給開始時期は原則65歳で、一定の要件により繰上げや繰下げができます。

具体的な受給手続きや選択の可否は、勤務先の総務・人事部門などの窓口へ確認してください。

参考:国民年金の保険料はいくらですか。|日本年金機構

受給方法の選択にあたっては、税金や社会保険料への影響も考慮する必要があります。ただし、具体的な計算方法は個々の状況により異なるため、専門家への相談も検討してください。

また、一時金として受け取る場合は退職所得として、年金として受け取る場合は公的年金等に係る雑所得として扱われるのが一般的です。ただし、制度の細部により異なる場合があります。

受給に関する詳細な条件や、手続きの期限については、必ず勤務先の規定を確認してください。不明な点は、人事担当者や社内の年金管理窓口へ問い合わせるのが確実です。

手続きがうまくいかないときの相談先

手続きを進める中で、不明な点や困ったことが生じる場合があります。
状況に応じて、相談できる窓口は異なります。

制度の要件や給付について確認したい場合

年金や給付の仕組みについて、ご自身の状況が要件を満たしているか確認したいときは、各制度の運営機関へ相談できます。

たとえば、障害年金の受給について検討している場合、保険料の納付状況が影響します。
初診日のある月の前々月までの加入期間のうち、3分の2以上について保険料が納付または免除されていることが、一つの目安となります。

ただし、初診日が令和18年4月1日前にあり、初診日に65歳未満で、直近1年間に未納がなければ要件を満たします。
20歳前で年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、納付要件はありません。

具体的な判定は、お住まいの地域の年金事務所などで確認してください。

参考:障害年金 | 日本年金機構|日本年金機構

会社とのやり取りや法的な問題について確認したい場合

退職金の支払いに関するトラブルや、会社との交渉が必要な場合は、相談先が分かれます。

会社との間で、給付の有無や金額について話し合いがまとまらないときは、労働局や労働基準監督署などの公的な窓口に相談できます。
これらは、労働条件や支払いのルールについて相談を受け付ける機関です。

もし、会社との間で法的な交渉が必要な状況であれば、弁護士へ相談してください。
弁護士でなければ扱えない用件については、労働局などの窓口では対応できないことがあります。

また、退職金規程の解釈などで会社と意見が食い違う場合は、まずは勤務先の担当部署へ詳細な根拠を求めることが先決です。

規程の内容が不明確な場合は、労働局の総合労働相談コーナーなどを活用することも検討してください。

なお、退職金は法律上の義務ではなく、就業規則や退職金規程の定めが根拠となります。
規程の確認方法や、会社が規程通りに支払っていない疑いがある場合は、速やかに専門機関へ相談しましょう。

退職金制度の有無は企業規模によって異なりますが、従業員1,000人以上の企業では90.1%の割合で制度が存在しています。
自社の規程がどのように運用されているかは、まずは社内の規定集を確認することが基本です。

年金払い退職給付に関するよくある勘違い

年金払い退職給付は、退職手当とは別の制度ですか?

はい、公務員の退職手当とは別に、共済組合から支給される年金払い退職給付です。退職手当の受け取り方ではなく、退職手当とは独立した別の給付制度です。

退職後に自分で手続きをしないと、自動的に年金として支払われますか?

いいえ、自動的に支払われることはありません。受け取るためには、所属していた共済組合に対して、所定の請求手続きを行う必要があります。

一度年金形式を選んだら、後から一時金に変更することはできますか?

原則として、一度決めた受け取り方法を後から変更することはできません。一時金としてまとめて受け取るか、年金として分割して受け取るかは、事前の判断が重要です。

受取方法の選択期限などは共済関係法令によるため、所属していた共済組合に確認してください。

年金払い退職給付を受け取ると、老齢年金が減らされることはありますか?

年金払い退職給付は、老齢厚生年金とは別に共済組合が支給する公的年金給付です。そのため、受給によって公的年金の額が直接減額されることは通常ありません。

ただし、所得税や住民税の負担、あるいは配偶者控除などの税制面での影響は生じる可能性があります。詳細な影響については、税務署や年金事務所などで確認してください。

会社が倒産した場合でも、年金は受け取れますか?

年金払い退職給付は共済組合が支給するため、勤務先企業の倒産を前提とする保護制度ではありません。退職給付債権が適切に管理されているかなど、状況によって異なります。具体的な状況については、管轄の労働局や専門家へ相談してください。

参考:厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第81条第4項・第82条第1項|e-Gov法令検索(デジタル庁)

まとめ

年金払い退職給付の受給に向けて、確認すべきポイントを整理します。

  • 受給要件を満たしているか、所属する共済組合の年金記録や給付案内を確認しましょう。
  • 有期退職年金部分を20年、10年または一時金のどれで受け取るか、請求時に選択します。
  • 一度決めた受け取り方法は、原則として後から変更できません。
  • 年金払い退職給付の手続きは、所属する共済組合の案内に従って行います。
  • 手続きの際は、所属していた共済組合の窓口へ早めに相談してください。

制度の詳細は、所属していた共済組合から交付される「給付案内」などで必ず確認しましょう。ただし、制度の内容は改定される場合があるため、最新の情報に基づいた判断が必要です。

この記事の根拠(本文内32か所・台帳23項目・一次資料6件)

制度の数値(台帳から出しています)

一次資料

数値は一次情報で確かめてから台帳に入れています(情報源について)。リンク先の内容が変わっているのを見つけたら訂正の受付までお知らせください。

この記事の編集責任者

JPSM INTERNET SERVICE 代表

小笠原 治輝おがさわら はるき

休職から退職までの手続きを自分で経験しました。傷病手当金の申請、雇用保険の受給期間延長、健康保険と年金の切り替えを実際に進めた経験があります。記事は、厚生労働省・e-Gov法令検索・ハローワークの一次情報と突き合わせて確認しています。