障害のある方の解雇への対応と守れる権利

障害のある方が解雇されたときに確認すべきこと

障害のある方が会社から解雇を伝えられた場合、その解雇が法律のルールに従っているかを確認することが大切です。この記事では、解雇の予告に関する日数や、不当な解雇だと感じたときの相談先、状況に応じた扱いの違いについて解説します。

  • 解雇には原則として30日前の予告が必要です
  • 予告がない場合は解雇予告手当の支払いが必要です
  • 業務上の病気による休業期間中は解雇が制限されます
  • 解雇予告手当の未払いは裁判で付加金の対象になることがあります

最終更新: / 出典: 厚生労働省

障害のある方の解雇に関する確認の手順

解雇の通知を受けた際、状況を整理するための手順をまとめました。
ご自身の状況に合わせて、順を追って確認を進めてください。

  1. 解雇の理由と内容を確認する
  2. 雇用契約書や就業規則を確認する
  3. 解雇の予告に関するルールを確認する
  4. 不当な解雇にあたらないか検討する
  5. 専門機関へ相談する

まずは、会社から示された解雇の理由を正確に把握してください。
口頭だけでなく、書面での提示を求めることが事前の確認につながります。

次に、お手元の雇用契約書や会社の就業規則を確認します。
解雇に関する規定がどのように書かれているかを確認してください。

解雇の予告については、労働基準法に定められたルールがあります。
会社が解雇を行う場合、30日前前に予告するか、30日分以上の予告手当を支払う必要があります。
ただし、事業継続が不可能となるやむを得ない事由や労働者の責めに帰すべき事由があり、労働基準監督署長の認定を受けた場合は例外となります。

参考:労働基準法 第20条(解雇の予告)|デジタル庁

試用期間中の場合でも、注意が必要です。
14日を超えて継続して雇用されているなら、解雇予告の規定が適用されます。
「試用期間中だから予告なしで解雇できる」とは限りません。

また、業務上の負傷や疾病で療養のため休業中の場合は、原則として解雇が制限されます。
療養のための休業期間およびその後30日間は、原則として解雇してはならないと定められています。
ただし、業務外の病気(私傷病)による休職には、この制限はかかりません。

解雇の理由が、客観的に見て妥当であるかを確認することも大切です。
障害を理由とした不当な解雇にあたらないか、慎重な判断が求められます。

もし、会社との交渉が必要な場合は、弁護士へ相談してください。
弁護士や労働組合ではない退職代行業者は、報酬目的で法律事務に当たる会社との交渉を行えません(弁護士法第72条)。

判断に迷う場合や、法的な妥当性を確認したい場合は、公的な窓口を利用してください。
管轄のハローワークなどで、制度の適用について相談できます。

なお、解雇予告手当の未払いなど、法令違反があった場合の請求には期限があります。
違反があった時から3年以内に請求しなければなりません。

裁判所の判断により、未払金と同額の付加金の支払いが命じられることもあります。

解雇の予告や手当に関する期限

会社が労働者を解雇する場合、労働基準法によって予告のルールが定められています。予告のタイミングや、支払われる手当の金額、請求できる期限は以下の通りです。

解雇の予告と手当に関するルール
内容 ルール 備考
解雇の予告 30日前 予告日数を短縮する場合、平均賃金の支払が必要です
解雇予告手当 30日分以上 30日前に予告をしない場合に支払われます
付加金の請求期限 3年以内 違反があった時から数えます

(もとにした一次情報:労働基準法)

解雇予告は、原則として30日前前に行う必要があります。ただし、1日につき平均賃金を支払うことで、予告日数を短縮することも可能です。

解雇予告手当は、30日前に予告をしない使用者が支払うものです。ただし、天災などで事業の継続が不可能な場合や、労働者に重大な責任がある場合などは、例外として支払われないことがあります。

この例外が適用されるには、労働基準監督署などの行政官庁による認定が必要です。

なお、業務上の負傷や疾病で療養のために休業している期間、およびその後30日間は、解雇が制限されています。ただし、私傷病による休職の場合は、この制限の対象外となる点に注意してください。

また、試用期間中の場合でも、継続して14日を超えて使用されているときは、解雇予告の規定が適用されます。試用期間中であれば、いつでも予告なしに解雇できるわけではありません。

解雇予告手当が支払われないなど、労働基準法に違反があった場合、裁判所を通じて「付加金」の支払いを命じられることがあります。付加金とは、未払いの手当と同額を上乗せして支払う仕組みです。

この請求は、違反があった時から3年以内に行う必要があります。

参考:労働基準法 第20条(e-Gov法令検索)|デジタル庁

制度の適用について判断に迷う場合は、管轄のハローワークなどで相談できます。なお、未払金の請求や付加金の申し立てなど、法的な手続きが必要な場合は、弁護士へ相談してください。

現在の状況による扱いの違い

解雇のルールは、あなたが現在どのような立場で働いているかによって変わります。
まずは、ご自身の状況が以下の表のどこに当てはまるかを確認してください。

雇用形態や状況による扱いの違い
いまの立場 扱い 次に見るところ
正社員 解雇のルールが適用される 就業規則
契約社員 契約期間の定めがある 雇用契約書
パート・アルバイト 解雇のルールが適用される 就業規則
休職中で在籍している人 解雇制限の有無を確認 労働基準法
試用期間中の人(14日超) 解雇予告のルールが適用される 労働基準法
試用期間中の人(14日以内) 解雇予告のルールが適用されない 労働基準法
退職して任意継続を選んだ人 健康保険の継続手続き 健康保険組合
退職して国民健康保険に入った人 新しい保険への加入手続き 市区町村の窓口
家族の扶養に入った人 扶養認定の手続き 社会保険の窓口
産前産後休業の人 解雇制限の有無を確認 社会保険の窓口

(労働基準法、各保険制度に基づき作成)

休職中の場合、その理由によって解雇の制限が異なります。
業務上の怪我や病気で療養している期間は、労働基準法により解雇が制限されます。

この制限は、療養期間とその後 30日間 間の両方に及びます。

ただし、私傷病(プライベートな病気や怪我)による休職には、この解雇制限は適用されません。

産前産後の休業についても、休業期間とその後 30日間 間は解雇が制限されます。

試用期間中の人であっても、働き始めてから 14日 を超えて継続して働いている場合は、解雇予告のルールが適用されます。

解雇予告が必要な場合は、原則として 30日前 前までに通知しなければなりません。
ただし、会社が予告をしない場合は、30日分以上 を支払う必要があります。

なお、天災事変などやむを得ない事由がある場合や、労働者に重大な責任がある場合は例外となることがあります。
ただし、この例外が適用されるには行政官庁の認定が必要です。

ご自身の状況がどのルールに該当するかは、管轄の労働基準監督署などで確認できます。
なお、解雇の有効性や具体的な損害賠償などの法的な争いになる場合は、弁護士へ相談してください。

参考:労働基準法 第20条(解雇の予告)|e-Gov法令検索(デジタル庁)

解雇が適切でないと感じたときの相談先

解雇のルールが守られていない、あるいは解雇そのものが不当であると感じたときは、状況に応じて相談する窓口を使い分ける必要があります。

相談する相手によって、解決できる範囲や扱える内容が異なります。ご自身の状況がどちらに近いかを確認してください。

行政の窓口に相談する場合

労働基準法などの法律に違反している疑いがある場合は、行政の窓口が適しています。例えば、解雇予告の手続きが正しく行われていない場合などがこれにあたります。

労働基準監督署は、会社が労働基準法を守っているかを監督する機関です。解雇予告の手続きに不備がある場合や、業務上の負傷による療養期間中に解雇された場合などの相談を受け付けています。

また、ハローワーク(公共職業安定所)では、離職票の交付や失業保険の手続きに関する相談ができます。離職に関する事務的な手続きで困ったときは、管轄のハローワークへ相談してください。

専門家へ相談する場合

解雇の有効性を争うなど、法的な判断や交渉が必要な場合は、専門家への相談が必要です。具体的な損害賠償の請求や、会社との直接的な交渉を求めるケースがこれにあたります。

弁護士は、個別のトラブルについて法的な代理人として交渉する権限を持っています。解雇予告手当の未払いに伴う付加金の請求や、会社との話し合いを代行してほしい場合は、弁護士へ相談してください。

参考:労働基準法 第20条(解雇の予告)|e-Gov法令検索(デジタル庁)

なお、解雇予告手当の未払いに関する付加金の請求は、違反のあった時から 3年以内に行う必要があります。

一方で、社会保険労務士は、社会保険や労働保険に関する事務手続きの専門家です。ただし、特定社会保険労務士は、あっせんなどの紛争解決手続において代理や和解交渉を行えます。

交渉が必要な用件を、社会保険労務士に依頼しても扱えないことがあります。解雇の無効を訴えるなど、法的な交渉が必要な場合は、弁護士へ相談してください。

相談にあたっては、解雇通知書や雇用契約書、給与明細などの証拠書類を準備しておくと、スムーズに話が進む場合があります。ただし、相談先によって必要書類が異なるため、事前に確認しましょう。

解雇に関するよくある勘違い

障害があることを理由に、すぐに解雇されることはありますか

いいえ、障害があることだけを理由に、直ちに解雇することはできません。

解雇には客観的に合理的な理由と、社会通念上の相当性が必要です。

障害による業務への影響がある場合は、配置転換などの検討が先に行われるのが一般的です。ただし、合理的配慮を行っても業務遂行が著しく困難な場合は例外となる可能性があります。

会社から「明日から来なくていい」と言われたら、その通りに従うべきですか

解雇予告手当のない即時解雇は直ちに効力が確定するとは限らないため、出勤の意思を示して労働基準監督署などへ相談してください。

会社が労働者を解雇するときは、原則として 30日前 前までに予告が必要です 。

予告をしない場合は、会社は 30日分以上 の平均賃金を支払う義務があります 。

参考:労働基準法 第20条(解雇の予告)|e-Gov法令検索(デジタル庁)

なお、天災事変などのやむを得ない事由がある場合は、予告が不要となる例外もあります。ただし、これには行政官庁の認定が必要です。

試用期間中であれば、いつでも予告なしで解雇できるのですか

いいえ、試用期間中であっても、一定の期間を超えると解雇予告が必要になります。

試用期間中の者であっても、継続して 14日 を超えて使用されている場合は、解雇予告の規定が適用されます。

したがって、「試用期間中だから即日解雇が可能」と考えるのは誤りです。ただし、労働者の責に帰すべき事由がある場合でも、予告や手当を省くには労働基準監督署長の認定が必要です。

業務上の怪我で療養中の場合、解雇は可能ですか

業務上の負傷や疾病により療養のために休業している期間は、原則として解雇できません。

労働基準法では、療養期間およびその後 30日間 は解雇が禁止されています。

ただし、この制限は「業務上」の負傷・疾病に適用されるものです。私傷病(プライベートな病気)による休職の場合は、この規定による解雇制限はかかりません。

会社と解雇について話し合い、納得した場合は、後から解雇の無効を訴えられますか

合意退職として成立している場合は、後から解雇の無効を訴えることは困難です。

会社から一方的に解雇されたのか、話し合いの結果として退職に応じたのかで、法的な扱いが大きく変わります。

納得できないまま署名や押印をすると、後から争うことが難しくなるため注意が必要です。ただし、強迫などによって無理やり合意させられた場合は、例外となる可能性があります。

まとめ

障害のある方の解雇に関する要点は以下の通りです。

  • 解雇の予告には、原則として 30日前 前までの通知が必要です。
  • 業務上の怪我や病気で療養のため休業している期間、およびその後 30日間 は、原則として解雇が制限されます。
  • 障害があることのみを理由に、直ちに解雇することはできません。
  • 解雇が有効となるには、客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が求められます。
  • 能力不足を理由とする場合でも、改善の機会が与えられたかどうかが判断の目安となります。
  • 合意退職として成立した場合は、後から解雇の無効を訴えることが難しくなります。

状況を整理したうえで、お金のかからない相談先へ連絡することを検討してください。法的な判断が必要な場合は、法律のルールを確認しながら、弁護士へ相談する必要があるかを見極めることが大切です。

この記事の根拠(本文内24か所・台帳5項目・一次資料1件)

制度の数値(台帳から出しています)

一次資料

数値は一次情報で確かめてから台帳に入れています(情報源について)。リンク先の内容が変わっているのを見つけたら訂正の受付までお知らせください。

この記事の編集責任者

JPSM INTERNET SERVICE 代表

小笠原 治輝おがさわら はるき

休職から退職までの手続きを自分で経験しました。傷病手当金の申請、雇用保険の受給期間延長、健康保険と年金の切り替えを実際に進めた経験があります。記事は、厚生労働省・e-Gov法令検索・ハローワークの一次情報と突き合わせて確認しています。