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役員に年次有給休暇が適用されるかどうか
役員に年次有給休暇が適用されるかは、その役員が「労働者」としての実態を持っているかによって決まります。会社との契約内容や、業務の指示を受ける立場にあるかを確認することが重要です。この記事では、労働者として扱われる場合の有給休暇の仕組みをまとめています。
- 役員であっても労働者性が認められれば有給休暇の対象になります
- 労働者性が認められない場合は労働基準法の対象外となります
- 付与される日数は継続勤務期間や出勤率によって決まります

役員に年次有給休暇が適用される条件
役員が年次有給休暇の対象になるかは、その役員が「労働者」にあたるかで決まります。労働基準法上の労働者とは、賃金を目的として使用される人を指します。

会社から具体的な指揮命令を受けて働く「労働者」としての実態があれば、要件を満たすことで有給休暇の対象となります。ただし、役職名にかかわらず実態が重視されます。
一方で、経営に参画し、会社から独立した立場にある「純粋な役員」には、労働基準法の規定は適用されません。この場合、有給休暇の付与は会社の任意となります。
労働者として認められる場合、年次有給休暇を得るための基本的な条件は以下の通りです。
- 雇入れの日から継続して勤務していること
- 全労働日の 80% 以上、出勤していること
- 継続勤務 6か月 が経過していること
上記の条件を満たした場合、最初に付与される日数は 10労働日 です。その後、勤続年数に応じて付与日数が増えていきます。
労働者に対する1回の法定付与日数の上限は 20労働日 です。ただし、前年度の繰越分を含めると、保有できる日数はこれより多くなる場合があります。
なお、週の所定労働時間が30時間未満で、週の所定労働日数が4日以下または年間の所定労働日数が216日以下の場合は、比例付与の対象となります。週30時間以上、または週5日以上もしくは年間217日以上の場合は、通常の労働者と同じ日数です。
役員としての立場が労働者にあたるかどうかは、契約の内容や業務の実態によって判断が分かれます。判断に迷う場合は、管轄の労働基準監督署へ相談してください。
| いまの立場 | 有給休暇の扱い | 次に見るところ |
|---|---|---|
| 正社員 | 労働基準法の対象 | 付与日数と条件 |
| 契約社員 | 労働基準法の対象 | 付与日数と条件 |
| パート・アルバイト | 労働基準法の対象 | 付与日数と条件 |
| 休職中で在籍している人 | 労働基準法の対象 | 出勤率の計算方法 |
| 退職して任意継続を選んだ人 | 対象外 | 社会保険の支払い |
| 退職して国民健康保険に入った人 | 対象外 | 社会保険の支払い |
| 家族の扶養に入った人 | 対象外 | 社会保険の支払い |
| 産前産後・育児休業の人 | 労働基準法の対象 | 出勤率の計算方法 |
厚生労働省の情報を基に作成
有給休暇の付与から取得までの流れ
労働者として認められる場合、年次有給休暇は一定の条件を満たすと付与されます。
雇入れの日から6か月勤務し、全労働日の80%以上を出勤した際に、最初の休暇が付与される仕組みです。

最初の付与日数は10労働日となります。
ただし、週の所定労働時間が30時間未満で、週の所定労働日数が4日以下または年間の所定労働日数が216日以下の場合は、比例付与の対象となるため注意が必要です。
| ステップ | 内容 | 時期の目安 |
|---|---|---|
| 1. 付与 | 最初の休暇が付与される | 継続勤務6か月後 |
| 2. 取得 | 本人が希望して取得する | 付与された後いつでも |
| 3. 時季指定 | 会社が取得日を指定する | 基準日から5労働日以内 |
厚生労働省の情報を基に作成
付与された休暇は、原則として本人の請求によって取得できます。
また、会社には「時季指定義務」があり、法定の年次有給休暇が10労働日以上付与される労働者が対象となります。
具体的には、本人の請求や計画的な取得を含めて、基準日から1年以内に5労働日が消化されていない場合、使用者が時季を指定しなければなりません。
ただし、事業の正常な運営を妨げる場合には、会社は取得日を変更してもらうことが可能です。
付与された休暇の権利には時効があります。
付与日から2年経過すると、その休暇は取得できなくなります。
未使用分は翌年度へ繰り越せますが、繰り越せるのは前年度分のみです。
なお、継続勤務年数に応じて付与日数は増えていきますが、1回あたりの法定付与日数の上限は20労働日です。
自身の付与日数や時効について不明な点がある場合は、管轄の労働基準監督署へ確認してください。
有給休暇の権利が消える時期と手続きの期限
休暇の権利が消えるタイミング
年次有給休暇の請求権には時効があります。付与日から 2年 を経過すると、その権利は消滅します。

付与された休暇は、翌年度へ繰り越して使用することが可能です。ただし、繰り越しができるのは前年度分のみに限られます。
繰り越した休暇についても、時効の起算点はそれぞれの付与日となります。そのため、2年 を過ぎると権利は失われます。
会社が取得日を指定する基準と義務
会社には、労働者が一定の日数以上に休暇を取得できるよう、時季を指定する義務があります。この義務が発生する条件は、付与日数によって決まります。
具体的には、法定の年次有給休暇が 10労働日 以上付与される労働者が対象です。これには、管理監督者や有期雇用労働者も含まれます。
比例付与の労働者の場合、週の所定労働時間が30時間未満で、週の所定労働日数が4日以下または年間の所定労働日数が216日以下であるときに、付与日数が変動します。ただし、週30時間以上などの条件を満たせば通常の付与日数となります。
会社は、基準日から1年以内に 5労働日 の休暇を取得させる必要があります。本人の請求による取得と、会社による計画的な取得を合わせてカウントします。
もし、本人の希望による取得が不足している場合は、会社が改めて取得日を指定しなければなりません。ただし、事業の正常な運営を妨げる場合には、取得日を変更してもらうことが可能です。
ご自身の付与日数や取得状況は、就業規則や勤怠管理システムで確認しましょう。不明な点がある場合は、社内の人事労務担当窓口へ相談することをおすすめします。
付与の要件と管理の注意点
有給休暇が最初に付与されるには、雇入れから 6か月 継続勤務し、かつ、全労働日の 80% 以上出勤していることが条件です。
通常の労働者には、初回に 10労働日 が付与されます。ただし、契約内容により比例付与となる場合があるため、自身の契約条件を必ず確認してください。
管理者は、時季指定義務の対象となる 10労働日 以上の付与があるか、基準日から1年以内に 5労働日 消化されているかを把握する必要があります。
制度の扱いで困ったときの相談先
労働者としての権利について相談したい場合
会社から「役員だから有給休暇はない」と言われたときは、労働基準監督署へ相談できます。ご自身が労働基準法上の労働者に該当するかどうかは、実態に基づいて判断されます。

労働基準監督署は、労働条件の確保を目的とする行政機関です。会社との交渉を行う権限はありませんが、法令違反がないかを確認できます。
もし会社との間で具体的な金銭の請求や契約の交渉が必要な場合は、弁護士へ相談してください。ここでは、弁護士でなければ扱えない用件を仕分けることはできません。
有給休暇の付与日数や条件について確認したい場合
ご自身の付与日数が正しいか不安なときは、労働基準監督署や総合労働相談コーナーで相談できます。特に、週の所定労働時間が 週の所定労働時間が30時間未満で、かつ週の所定労働日数が4日以下となる条件で、比例付与が適用されるかどうかが分かれ目です。
労働基準監督署などの窓口では、法令に基づいた判断の目安を教えてもらえます。ただし、労働者に該当するかは、契約の名称ではなく個別の働き方の実態から総合的に判断されます。
付与日数の計算に疑問がある場合は、雇用契約書や就業規則、出勤簿などの資料を準備しておくとスムーズです。出勤率が 80%を満たしているかも確認のポイントとなります。
また、時効についても注意が必要です。有給休暇の請求権は、付与日から 2年で時効となります。ただし、未使用分は翌年度へ繰り越せます。
会社が休暇の取得日を指定する義務(時季指定義務)について相談したい場合は、法定付与日数が 10労働日以上あるかを確認してください。
ただし、会社がすでに 5労働日を取得させている場合は、追加の指定義務は発生しません。基準日から1年以内に、本人の請求分と合わせて取得させる必要があります。
相談にあたっては、まず就業規則や雇用契約書を確認し、自身の労働実態を整理しましょう。労働基準監督署へは、電話相談窓口や各都道府県の労働局も活用できます。
なお、労働局には「総合労働相談コーナー」が設置されており、紛争解決の援助制度も用意されています。ただし、会社側が応じない場合は、強制的な解決は難しい側面があります。
また、雇用契約の内容自体に疑義がある場合は、労働局の助言・指導を仰ぐことも一つの手段です。まずは手元の資料を揃え、自身の状況を客観的に整理することから始めてください。
役員の有給休暇に関するよくある勘違い
役員であっても、労働者としての実態があれば有給休暇はもらえますか?
はい、もらえます。役員という肩書きであっても、会社から指揮命令を受け、賃金を目的として働く「労働者」の要件を満たせば、労働基準法の対象になります。
役員として報酬をもらっていれば、有給休暇の権利は発生しませんか?
報酬が指揮監督下で行われた労働の対価かどうかは、労働者性の判断基準の一つです。ただし、会社との間に実質的な指揮監督関係や従属関係が認められない場合は、労働者には該当しません。
会社から「役員だから有給休暇は与えない」と言われたら、そのまま受け入れるしかありませんか?
いいえ、そのまま受け入れる必要はありません。労働者としての実態を備えているのであれば、管轄の労働基準監督署などの窓口で相談し、法令に基づいた判断の目安を確認できます。
役員としての仕事が忙しくても、会社は有給休暇を取らせる義務がありますか?
労働者としての要件を満たしている場合、会社には時季指定義務があります。法定の年次有給休暇が10労働日以上付与される労働者が対象です。
ただし、業務の状況により取得のタイミングは調整が必要な場合もあります。使用者は、基準日から1年以内に、本人の請求や計画年休を含めて5労働日を確実に取得させる必要があります。
有給休暇の権利が消えてしまうことはありますか?
はい、あります。年次有給休暇の請求権には時効があり、付与日から2年で消滅します。
ただし、未使用分は翌年度へ繰り越すことが可能です。繰り越せるのは前年度分のみである点に注意してください。なお、付与の条件として、雇入れから6か月の継続勤務と、全労働日の80%以上の出勤が必要です。
まとめ
役員が年次有給休暇の対象になるかは、実態が「労働者」にあたるかで決まります。経営に参画する純粋な役員には適用されませんが、指揮命令を受け、賃金を目的として働く実態があれば対象となり得ます。
労働者としての要件を満たす場合、付与された休暇は本人の請求や会社の時季指定によって取得できます。ただし、休暇の権利には時効があるため注意が必要です。
付与された日から 2年 で時効となります。未使用分は翌年度へ繰り越せますが、期限を過ぎると取得できなくなります。
会社から「役員だから有給休暇はない」と言われた場合は、労働基準監督署などの窓口に相談してください。ご自身が労働基準法上の労働者に該当するかは、個別の実態に基づいて判断されます。
- 役員でも労働者の実態があれば、年次有給休暇の対象になります
- 報酬の労務対償性は、指揮監督関係などと併せて判断する基準の一つです
- 付与された休暇には時効があり、過ぎると取得できなくなります
- 会社が労働者であると認めない場合は、労働基準監督署へ相談できます
制度の詳しい仕組みや、休暇に関する手続きについては有給休暇の解説ページもあわせてご覧ください。また、労働条件の確認が必要な場合はお金のかからない相談先にまとめています。
この記事の根拠(本文内33か所・台帳8項目・一次資料4件)
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