学生が雇用保険の手続きをどう進めるか
アルバイトを辞める学生が、雇用保険の資格や失業保険の手続きをどう進めればよいかを解説します。雇用保険に加入していた学生が、退職後に基本手当(失業保険)を受け取るための準備や、会社とのやり取りについてまとめています。
- 雇用保険の加入には週の労働時間などの条件があります
- 退職後は会社から離職票を受け取る必要があります
- ハローワークで求職の申し込みをすることで手続きが始まります

学生が雇用保険の手続きを進める流れ
学生が雇用保険(働くことで支払う保険料を元に、失業したときなどの生活を支える制度)の手続きを進める手順をまとめました。

手続きの進め方は、退職の理由や、働いていた期間によって変わることがあります。事前の確認が要ります。
おおよその流れは、次の5つの工程です。
- 会社へ退職の意思を伝え、雇用保険の資格に関する書類を依頼する
- 会社から離職票(退職したことを証明する書類)を受け取る
- ハローワークへ行き、離職票を提出して求職の申し込みをする
- ハローワークの指示に従い、待期(失業の状態を確認するための一定の期間)を過ごす
- 要件を満たせば、基本手当(失業中に受け取れる給付金)の受給手続きを行う
離職票が届く時期は、会社によって異なります。ただし、会社が離職票の発行手続きを遅らせるケースもあります。書類が届かない場合は、会社へ状況を確認してください。
ハローワークでの手続きには、離職票のほかに、本人確認ができる書類や、証明写真などが必要になることがあります。事前に管轄のハローワークへ、必要な持ち物を確認しておくとスムーズです。写真は、手続きのたびにマイナンバーカードを提示すれば省略できます。
基本手当を受け取るためには、失業の状態にあることが条件です。働ける状態であっても、仕事を探していない場合は、受給の対象にならないことがあります。
また、学生がアルバイトを辞める場合、その後の進路が「進学」なのか「就職」なのかによって、受給要件の判断が分かれる場合があります。
例えば、すぐに大学へ進学する場合は、失業の状態とはみなされない可能性があります。ただし、進学準備期間の考え方は個別の状況により異なるため、注意が必要です。
手続きの詳細は、お住まいの地域を管轄するハローワークの窓口で確認できます。窓口では、離職票の記載内容に誤りがないかも併せて確認しましょう。記載内容に不備があると、手続きが遅れる原因になります。
もし離職票が届かない、あるいは内容が事実と異なる場合は、速やかに会社へ連絡してください。会社が手続きを行わない場合は、ハローワークへ相談することも検討しましょう。
ハローワークでの手続き時には、マイナンバーを確認できる書類や、給付金の振込先となる本人名義の預金通帳も用意しておくと、その後の手続きが円滑に進みます。
また、離職理由が「自己都合」か「会社都合」かによって、受給できるまでの期間や条件が異なる点にも留意してください。離職票の「離職理由」欄を必ずチェックしましょう。
手続きを進める中で不明な点が生じた場合は、一人で判断せず、まずは管轄のハローワークの相談窓口へ直接問い合わせることをおすすめします。
手続きをいつまでに済ませるか
離職票を受け取った後の手続きには、期限に関する決まりがあります。
手続きのタイミングによって、受給できる時期が変わるため注意が必要です。

基本手当の受給に関する期限を、以下の表にまとめています。
| 項目 | 期限の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 離職票の提出 | 早めの提出が望ましい | 会社から届き次第、ハローワークへ提出します |
| 受給資格の確認 | 離職後、速やかに | 離職票を提出して求職を申し込み、受給資格の決定を受けた日から待期期間が始まります |
| 給付の請求 | 受給資格を得てから | 受給できる期間には限りがあります |
離職票が届いたら、できるだけ早くハローワークへ提出してください。
離職票を提出して求職を申し込み、受給資格の決定を受けることで、待期期間が始まります。
基本手当には、支給を受けられる受給期間があります。
離職した日の翌日から数えて、一定の期間を過ぎると、受給できる権利がなくなります。
受給できる期間の長さや条件は、離職理由や、雇用保険に加入していた期間によって異なります。
離職理由が自己都合か会社都合かによっても、条件が変わる場合があります。
手続きを遅らせると、本来受け取れるはずの給付金が、受け取れなくなることがあります。
離職票が手元に届いたら、早めに手続きを進めることが大切です。
もし離職票が届かない場合は、まずは以前働いていた会社へ連絡しましょう。
会社側での手続きが遅れている可能性があるため、状況を確認してください。
会社から離職票が送られてこない状況が続くときは、ハローワークへ相談してください。
ハローワークから会社に対して、離職票の発行を促してもらうことも可能です。
また、受給手続きの途中で住所が変わった場合も、速やかに届け出が必要です。
住所変更の手続きを忘れると、受給に必要な書類が届かず、手続きが滞る恐れがあります。
受給期間の残りを確認したいときは、管轄のハローワークの窓口で尋ねてください。
自身の状況に合わせた正確な期限については、窓口での確認が最も確実です。
なお、離職票の記載内容に誤りがある場合も、速やかに修正が必要です。
離職日や離職理由が事実と異なると、受給要件の判断に影響する可能性があります。
離職票の再発行が必要なケースでは、会社へ依頼するかハローワークへ相談します。
手続きの遅れを防ぐためにも、書類の内容は届いた時点で一度確認しておきましょう。
いまの状況で次に確認すべきこと
雇用保険の手続きを進めるにあたって、ご自身の現在の立場によって、次に確認すべき内容や窓口が異なります。ご自身の状況が以下の表のどこに当てはまるか、照らし合わせてみてください。

| いまの立場 | 扱い | 次に見るところ |
|---|---|---|
| 正社員 | 雇用保険の被保険者 | 離職票の受け取り |
| 契約社員 | 雇用保険の被保険者 | 離職票の受け取り |
| パート・アルバイト | 条件を満たせば雇用保険の被保険者 | 離職票の受け取り |
| 休職中で在籍している人 | 雇用保険の被保険者 | 休職中の給与と保険料 |
| 退職して任意継続を選んだ人 | 健康保険の被保険者 | 保険料の支払い方法 |
| 退職して国民健康保険に入った人 | 国民健康保険の被保険者 | 保険料の支払い方法 |
| 家族の扶養に入った人 | 被扶養者 | 扶養の条件と手続き |
| 産前産後・育児休業の人 | 雇用保険の被保険者 | 休業中の給付金 |
表の「扱い」は、社会保険や雇用保険における区分を指しています。ご自身の状況が表にない場合は、現在の雇用形態や、退職後の予定に合わせて判断してください。
ただし、離職理由や加入期間によって、次に確認すべき書類が異なる場合があります。
学生の方で、夜間・通信制・定時制の学校に通いながら働いている場合は、昼間学生とは異なり、雇用保険の加入対象となることがあります。
ただし、週の所定労働時間が20時間未満などの条件により、加入できないケースもあります。ご自身の加入状況については、勤務先の事業主へ確認してください。
離職票の送付について、退職後すぐに届かない場合は、勤務先へ発行状況を問い合わせましょう。また、健康保険の切り替えについては、お住まいの市区町村の窓口や、加入予定の健康保険組合へ確認が必要です。
扶養に入る場合は、扶養元となる家族の勤務先や健康保険組合へ、手続きの要否を確認してください。
手続きの進め方や、受給できる金額の判定は、管轄のハローワークが行います。個別の事情による判断については、直接窓口へ相談することをおすすめします。
窓口へ行く際は、離職票や本人確認書類、通帳などの準備を忘れないようにしましょう。
離職票を受け取ってから申請する手順
ハローワークで手続きを行う場合
離職票が手元に届いたら、お住まいの地域を管轄するハローワークへ向かいます。
窓口で離職票を提出し、求職の申し込みを行うことで、手続きが進みます。

手続きの際には、離職票のほかに、本人確認ができる書類や、証明写真、マイナンバーがわかるもの、本人名義の預金通帳などが必要になることがあります。
ただし、自治体や窓口によって必要書類が異なる場合があるため、事前に管轄のハローワークのウェブサイト等で確認しておくとスムーズです。
窓口での手続きを済ませると、失業の状態を確認するための一定の期間である「待期」が始まります。
受給できる時期の判定や、具体的な給付額の決定は、ハローワークが行います。
会社とのやり取りで困った場合
離職票が届かないときは、まず勤務先の事業主へ状況を確認してください。
事業主には、原則として離職証明書を添えた資格喪失届を提出し、発行された離職票を本人へ交付する義務があります。
事業主は、その雇用していた被保険者が離職したことにより被保険者でなくなつた場合において、その者が離職票の交付を請求するため離職証明書の交付を求めたときは、これをその者に交付しなければならない。ただし、第七条第一項の規定により離職証明書を提出した場合は、この限りでない。
引用:雇用保険法施行規則 第16条(e-Gov法令検索)
参考:雇用保険法施行規則 第16条(e-Gov法令検索)|e-Gov法令検索
もし事業主へ連絡しても解決しない場合や、離職票に記載された離職理由などの内容に争いがある場合は、ハローワークの窓口へ相談してください。
なお、離職票の交付に関するトラブルについて、退職代行などの民間業者に交渉を依頼することはできません。
法律上の交渉権限は弁護士にあります。
交渉が必要な事案であるかを判断する場合は、弁護士へ相談してください。
また、退職に伴い支払われるべき賃金や、未払いの残業代などの金品について会社とトラブルが生じている場合は、ハローワークではなく、労働基準監督署などの相談窓口を利用することになります。
離職票の記載内容が事実と異なる場合、ハローワークから会社へ事実確認が行われることもあります。
ただし、会社側が正当な理由を主張している場合は、個別の判断が必要となります。
手続きがうまくいかないときの相談先
離職票が届かないときは、すぐにハローワークへ相談すればもらえますか
ハローワークには、会社に対して離職票の発行を強制させる権限はありません。
離職票は、事業主が提出した離職証明書に基づき、ハローワークが発行して事業主経由で本人に交付する書類です。
まずは勤務先の担当部署へ、書類の作成状況を確認してください。
会社と離職理由について争いがある場合は、ハローワークで解決できますか
ハローワークは、本人と事業主の主張や客観的資料を確認し、最終的な離職理由を判定します。
内容に納得がいかない場合は、管轄のハローワーク窓口へ相談してください。
窓口では、どのような状況であったかを具体的に伝えて確認することが必要です。
ただし、ハローワークが会社に事実確認を行う際、会社側が回答を拒否する場合もあります。
退職代行業者に、離職票の発行を会社へ求めてもらうことはできますか
退職代行などの民間業者が、会社に対して離職票の発行を求める交渉を行うことはできません。
会社との間で法的な交渉が必要な事案である場合は、弁護士へ相談してください。
給料や退職金が支払われないトラブルも、ハローワークで相談できますか
給料などの金品の未払いに関する相談は、ハローワークの業務範囲には含まれません。
賃金未払いのトラブルは、労働基準監督署などの相談窓口を利用することになります。
窓口によって、扱える内容が異なるため注意してください。
未払いが発生している場合は、給与明細や労働契約書などの証拠を準備しましょう。
学生として働いていましたが、雇用保険の加入状況が正しいか確認できますか
管轄のハローワークで、加入状況を確認できる場合があります。
夜間・通信制・定時制の学校に通いながら働いている場合、加入対象となることがあります。
ただし、昼間学生の場合は原則として加入対象外となるため、状況を伝えて確認してください。
加入の有無は、雇用保険被保険者証の有無だけでは判断せず、ハローワークで被保険者記録を照会して確認します。
雇用保険の加入条件について、学生特有の判断基準はありますか
学生の雇用保険加入は、学校の種類によって判断が分かれます。
夜間制や通信制の学生は、原則として加入の対象となります。
一方で、昼間学生は原則として加入対象外です。
ただし、昼間学生であっても、特定の条件を満たす場合には例外的に加入できる可能性があるため、詳細はハローワークへ確認してください。
まとめ
雇用保険の手続きについて、確認した内容をまとめます。
- 昼間学生は原則として加入対象外ですが、夜間・通信制・定時制の学生は加入対象となる場合があります。
- 離職票が届かないときは、まずは勤務先の事業主へ発行状況を確認してください。
- ハローワークでの申請には、離職票のほか、本人確認書類や証明写真が必要になることがあります。
- 給料の未払いなど、金品に関するトラブルは労働基準監督署などの窓口へ相談してください。
- 加入状況に疑問がある場合は、管轄のハローワークで確認できる場合があります。
手続きの進め方や受給できる金額の判定は、管轄のハローワークが行います。ただし、個別の事情により判断が異なる場合があるため、詳細は窓口で直接確認してください。
退職に関する具体的な流れについては、退職の手続き全般に関する記事もあわせて参照してください。