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退職代行には、労働組合が運営するものと弁護士が担当するものがあります。組合が運営するサービスでは、組合員として団体交渉の形で会社と話し合える場合があります(労働組合法第6条)。ただし、訴訟や損害賠償の請求など法律事務にあたるものは弁護士に限られます(弁護士法第72条)。利用する前に、運営しているのがどこか、組合への加入がどうなるかを確かめてください。
介護を理由に退職する場合、生活を守るために確認すべき手続きがあります
介護のために仕事を辞めることを検討している方へ、退職後の生活を支えるための制度や、手続きの期限について解説します。介護と仕事の両立に悩む方は、退職を決める前に、利用できる公的な支援や、離職後の保険の手続きを確認しておくことが大切です。
- 退職後の生活を支えるための制度を確認する
- 退職に伴う各種手続きの期限を把握する
- 介護と仕事を両立できる可能性を検討する

介護による退職を考える際の手順と進め方
介護と仕事を両立できず退職を検討する場合、事前の準備が重要です。
いきなり退職届を出すのではなく、まずは現状の整理から始めましょう。

介護による退職を進める際の手順は、次の5つの工程に分けられます。
- 介護状況と仕事の両立可能性を整理する
- 介護サービスの利用状況を確認する
- 会社への相談と制度の確認を行う
- 退職後の生活設計を立てる
- 退職の手続きを行う
まず、介護にどれくらいの時間や労力がかかるのかを把握します。
家族の介護を担うことで、現在の勤務形態を維持できるかを検討してください。
次に、自治体の介護保険制度や、利用できる介護サービスを調べます。
ケアマネジャーに相談し、現在の支援体制を確認しましょう。
会社に対しては、退職の前に相談を行うことが一つの方法です。
介護休業や短時間勤務などの制度が利用できる場合があります。
制度の利用が可能か、就業規則を確認してください。
ただし、法定の介護休業等の適用条件は会社が任意に変更できず、会社独自の上乗せ制度は会社ごとに異なります。
退職を決めた後は、お金の面での準備が必要です。
失業保険の受給条件や、健康保険の切り替えについて調べておきましょう。
介護による離職の場合、失業保険の受給要件に影響することがあります。
受給できるかどうかは、管轄のハローワークが判断します。
退職の手続きを進める際は、会社から離職票を請求してください。
離職票の交付を求める権利は、雇用保険法によって認められています。
離職者が離職証明書の交付を求めたときは、会社はこれを交付しなければならないと定められています。
事業主は、その雇用していた被保険者が離職したことにより被保険者でなくなつた場合において、その者が離職票の交付を請求するため離職証明書の交付を求めたときは、これをその者に交付しなければならない。ただし、第七条第一項の規定により離職証明書を提出した場合は、この限りでない。
引用:雇用保険法施行規則 第16条(e-Gov法令検索)
離職票は、失業保険の申請に欠かせない書類です。
会社から届かない場合は、速やかに担当部署へ請求しましょう。
また、介護離職による特例が適用されるかどうかも確認が必要です。
離職理由の記載内容が、受給の可否を左右する場合があるため注意してください。
未払い分の請求など、会社との交渉が要る場合は弁護士へ。ここでは扱えません(弁護士法72条)。
退職後に間に合わせたい手続きの期限
退職後は、生活を支えるための社会保険や公的制度の手続きを速やかに行う必要があります。
手続きには、それぞれ期限や条件が設けられているものがあります。

期限を過ぎると、保険の資格を失ったり、給付が受けられなくなったりする恐れがあります。
ここでは、主な手続きの目安をまとめています。
| 手続きの内容 | 手続きの目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 失業保険(基本手当)の申請 | 離職後、早めに | 管轄のハローワークで行います |
| 健康保険の切り替え | 退職後、速やかに | 任意継続や国民健康保険への加入が必要です |
| 年金の種別変更 | 退職後、速やかに | 国民年金への切り替えが必要です |
| 介護保険の確認 | 退職後、速やかに | お住まいの市区町村の窓口で確認します |
健康保険の「任意継続」を選択する場合、退職から一定期間内の手続きが求められます。
期限を過ぎると、以前の職場の保険を継続できなくなるため注意が必要です。
国民健康保険へ加入する場合は、原則として資格取得日から14日以内に市区町村へ届け出ます。
お住まいの市区町村の窓口で、加入の締切を確認しておきましょう。
退職後に再就職せず、配偶者の被扶養者にもならない20歳以上60歳未満の人は、国民年金第1号被保険者への変更が必要です。
市区町村の年金窓口などで、手続きの進め方を確認しておくとスムーズです。
介護による離職の場合、失業保険の受給要件の判断に影響することがあります。
離職理由を証明する書類が必要になるケースもあるため、早めにハローワークへ相談しましょう。
65歳以上の第1号被保険者は退職で資格が変わりませんが、40歳以上65歳未満の人は加入する医療保険の変更に伴って扱いが変わります。
ただし、家族の介護サービス利用状況に変化がある場合は、市区町村の窓口へ相談してください。
失業保険の申請では、会社から届く「離職票」が必須となります。
離職票が届かない場合は、速やかに勤務先へ発行を依頼してください。
健康保険の選択肢は、任意継続のほか、家族の扶養に入る方法もあります。
扶養に入る場合は、加入先の健康保険組合へ加入条件を確認しましょう。
国民年金の手続きは、お住まいの市区町村の年金窓口で行うのが一般的です。
国民年金第1号被保険者への変更は、本人または世帯主が退職日の翌日から14日以内に届け出ます。
介護保険の制度自体は、退職によって個人の加入義務が消えるものではありません。
退職だけで介護サービスの利用限度額が変わるわけではありませんが、所得の変化により将来の負担割合が変わることがあります。
介護と仕事を両立するための制度と退職の判断
会社に在籍したまま介護と仕事を両立する方法
退職を検討する前に、まずは現在の勤務先で利用できる制度を確認しましょう。
会社ごとに規定が異なるため、就業規則や人事担当者への確認が必要です。

ただし、制度の適用条件は会社によって細かく定められている場合があります。
介護休業は、介護体制を整えるために仕事を休むための制度です。
休業期間は通算して一定の範囲内である必要があります。
介護休業を取得する際は、あらかじめ上司へ取得時期を相談しておきましょう。
また、介護短時間勤務や、勤務時間の変更、テレワークの活用も検討できます。
業務内容の調整が可能か、上司や会社と早めに相談を進めてください。
ただし、業務の性質上、テレワークが困難な職種もあります。
介護休暇は、対象家族の介護や通院の付き添い、介護サービスの手続きなどに対応するための制度です。
介護休業とは目的や期間が異なるため、状況に合わせて使い分けます。
介護休暇は、対象家族が1人なら年5日、2人以上なら年10日まで、1日または時間単位で取得できます。
退職を選択する場合の判断基準
仕事を辞める場合は、生活への影響を多角的に整理する必要があります。
「在職したまま休む」か「退職する」かで、社会保険の扱いが変わります。
休職中の社会保険料の負担割合についても、事前に確認しておきましょう。
休職中も雇用関係が続き、被保険者資格の喪失事由に該当しない限り、健康保険・厚生年金保険の資格は継続します。
ただし、会社独自の休職制度を利用する際は、給与の有無を確認してください。
給与が発生しない休職期間は、給与から控除できない本人負担分の納付方法を会社に確認してください。
退職して失業保険(基本手当)の受給を検討する際は、離職理由が重要です。
基本手当には、介護による離職理由だけでなく、すぐに就職できる状態であることなどの受給要件があります。
正当な理由のない自己都合離職と判断されると、7日間の待期後に原則1か月の給付制限があります。
介護のために離職したことが「正当な理由」と認められるかを確認しましょう。
具体的な判断基準や必要書類については、管轄のハローワークへ相談してください。
介護の状況を証明する書類の準備が必要になる場合もあります。
離職後の健康保険や年金の手続きについても、あわせて検討が必要です。
任意継続か国民健康保険への加入か、どちらが有利か比較しましょう。
自身の経済状況や介護の負担を考慮し、無理のない選択を目指しましょう。
いまの状況に合わせた次のアクション
介護と仕事の両立について、次にどのような行動をとるべきかは、現在の立場によって異なります。

ご自身の状況が、以下の表のどこに当てはまるかを確認してください。
| いまの立場 | 扱い | 次に見るところ |
|---|---|---|
| 正社員 | 在籍中 | 会社の休職制度や介護休業制度 |
| 契約社員 | 在籍中 | 契約更新の有無と休職の可否 |
| パート・アルバイト | 在籍中 | 勤務時間の変更や休業の相談 |
| 休職中(在籍) | 在籍中 | 復職の条件と社会保険の継続 |
| 退職後(任意継続) | 退職後 | 保険料の支払いと加入期間 |
| 退職後(国民健康保険) | 退職後 | 市区町村での加入手続き |
| 家族の扶養に入った人 | 退職後 | 扶養の範囲と加入条件 |
| 産前産後・育児休業中 | 在籍中 | 休業期間中の社会保険料の扱い |
会社との間で、退職の条件や未払いの賃金について争いが生じている場合は、弁護士へ相談してください。ただし、ここでは会社との交渉を代行することはできません(弁護士法72条)。
失業保険(基本手当)の受給について、介護による離職が対象になるか判断が必要なときは、管轄のハローワークへ相談してください。受給の可否は、ハローワークが判断します。
介護による離職の場合、離職理由の証明が必要になることがあります。ハローワークの窓口では、離職理由が「自己都合」ではなく「正当な理由のある離職」と認められるかどうかが確認されます。
離職理由の判断にあたっては、介護のために仕事を継続することが困難であったことを示す書類の提示を求められる場合があります。ただし、個別の事情により必要書類は異なるため、事前に確認しましょう。
介護保険サービスなどの具体的な利用については、お住まいの市区町村の窓口や地域包括支援センターへ相談してください。介護の状況に応じて、ケアマネジャーと連携してプランを検討することも重要です。
自治体の窓口では、介護保険の申請だけでなく、介護休業中の生活支援に関する相談も受け付けている場合があります。ただし、窓口の受付時間や相談方法が自治体によって異なる点には注意が必要です。
まずは電話などで事前に相談予約ができるか確認しておくと、当日の手続きがスムーズに進められるでしょう。地域包括支援センターは、高齢者の介護に関する総合的な相談窓口として機能しています。
手続きがうまくいかないときの相談先
退職後の未払い賃金について、会社に直接請求しても解決しませんか?
会社が支払いに応じない場合、労働基準監督署の窓口へ相談する方法があります。ただし、監督署は指導や勧告を行いますが、未払い金の回収を代行するわけではありません。
金銭的なトラブルの解決や、会社との交渉を法的に代行してほしい場合は、弁護士へ相談してください。ただし、弁護士法により、資格のない者が報酬を得て交渉を行うことは禁じられています。
介護離職をした場合、失業保険は必ずもらえますか?
介護による離職が失業保険(基本手当)の受給要件を満たしているかは、ハローワークが判断します。離職理由や、介護の状況によって受給できるかどうかが分かれます。
受給の可否や、離職理由の書き方について迷うときは、管轄のハローワークへ相談してください。介護の状況を証明する書類の提出を求められる場合もあります。
離職票が届かないときは、すぐに会社に連絡すればもらえますか?
はい、会社に対して離職票の交付を求めることができます。会社は、労働者が離職票の交付を求めたときは、これを交付しなければならないと定められています。
会社が応じない、あるいは連絡が取れない場合は、管轄のハローワークへ相談してください。ハローワークから会社へ、離職票の交付を促す指導が入ることもあります。
介護保険の使い方がわからないときは、どこに聞けばよいですか?
お住まいの市区町村の介護保険窓口や、地域包括支援センターへ相談してください。介護保険サービスなどの具体的な利用については、これらの窓口が相談を受け付けています。
ただし、具体的なサービス内容やケアプランの作成については、ケアマネジャーが中心となって進めることになります。まずは地域包括支援センターで、現在の困りごとを伝えてください。
社会保険の切り替え手続きが複雑で、どこに聞けばよいか分かりません。
健康保険や年金の切り替えについては、お住まいの市区町村の役所、または年金事務所へ相談してください。退職後の手続きは、加入していた保険の種類によって窓口が異なります。
国民健康保険への加入や、国民年金への種別変更など、状況に応じた手続きが必要です。ただし、会社を通じて手続きを行う場合もあるため、まずは退職時の案内を確認しましょう。
手続きを進める中で、判断に迷う場面が出てくるかもしれません。一人で抱え込まず、適切な窓口へ相談してください。
お金や権利に関するトラブルは、専門的な知識が必要な場合があります。状況に応じて、相談先を使い分けることが大切です。窓口によって対応できる範囲が異なるため、事前に確認しておきましょう。
参考:雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ[PDF]|厚生労働省
まとめ
介護と仕事の両立について、この記事で確認した要点は次のとおりです。
- 退職を検討する前に、まずは現状の整理と会社で利用できる制度の確認を行います。
- 介護休業などの制度を利用して、現在の勤務形態を維持できるか検討します。
- 退職後は、失業保険や健康保険などの手続きを速やかに行う必要があります。
- 手続きには期限があり、過ぎると給付が受けられなくなることがあります。
- 離職理由による失業保険の受給可否は、管轄のハローワークが判断します。
- 介護保険サービスなどの具体的な利用については、市区町村の窓口や地域包括支援センターへ相談してください。
手続きの全体像については退職の手続きのページにまとめています。また、失業保険の受給に関する詳細は失業保険のページも参考にしてください。