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退職代行には、労働組合が運営するものと弁護士が担当するものがあります。組合が運営するサービスでは、組合員として団体交渉の形で会社と話し合える場合があります(労働組合法第6条)。ただし、訴訟や損害賠償の請求など法律事務にあたるものは弁護士に限られます(弁護士法第72条)。利用する前に、運営しているのがどこか、組合への加入がどうなるかを確かめてください。
役員が雇用保険に加入できるかどうか
役員(取締役など)は、原則として雇用保険の被保険者にはなれません。しかし、役員としての権限が弱く、労働者としての実態がある場合には、例外的に加入が認められることがあります。この記事では、役員が雇用保険に関わる際の手続きや判断基準を解説します。
- 役員は原則として雇用保険の対象外です
- 労働者性が認められる場合は加入できることがあります
- 退職時には離職票などの書類が必要です

役員が雇用保険の手続きを進める流れ
役員が雇用保険の手続きを進めるには、まず自分が加入対象かどうかを確認します。役員は原則として加入できませんが、実態が労働者であれば加入できる場合があります。

手続きの全体的な流れは、以下の5つの工程に分けられます。
- 雇用保険の加入要件を満たしているか確認する
- 会社に雇用保険の被保険者への加入を依頼する
- 会社が管轄のハローワークへ加入手続きを行う
- 退職時に会社から離職票を受け取る
- ハローワークへ求職の申し込みを行い、給付の手続きをする
加入の可否については、個別の状況によって判断が分かれます。役員としての実態が強い場合は、雇用保険の対象外となることが一般的です。
ただし、業務内容が労働者としての性質を持ち、賃金を得ている場合は、要件を満たせば対象になることがあります。判断に迷う場合は、事前に管轄のハローワークへ相談してください。
相談時には、業務内容や指揮命令系統、賃金の決定方法などの詳細を伝えられるよう準備しておくとよいでしょう。雇用契約書や就業規則などの書面も有効な資料となります。
役員としての権限と、労働者としての業務範囲が混在している場合は、書面などで実態を整理しておくと審査がスムーズに進む可能性があります。ただし、判断はハローワークに委ねられます。
退職後の給付を受ける際も、会社から発行される離職票などの書類が不可欠です。書類の不備があると手続きが遅れる可能性があるため、退職時には会社に対して、離職票の速やかな発行を依頼しておきましょう。
また、加入中であっても、退職理由によって受給できる給付の種類や制限が異なります。待期期間は離職理由にかかわらず共通ですが、自己都合か会社都合かによって給付制限の有無が変わります。
退職時には、離職票に記載される離職理由が実態と相違ないか、必ず確認するようにしてください。会社が手続きを失念している場合は、本人がハローワークへ状況を報告し、発行を促す必要があります。
もし会社側が加入手続きを拒否する場合、労働者としての実態を証明する資料を揃えて、ハローワークの窓口へ直接相談することも検討してください。ただし、証明には相応の準備が必要です。
また、役員が複数の会社から報酬を得ている場合、どの会社で雇用保険に加入するかについても、実態に基づいた判断が求められます。複数の雇用関係がある場合は、手続きが複雑になる可能性があります。
手続きをいつまでに行うべきか
手続きには、会社が行うものと、本人が行うものの2種類があります。それぞれ、期限やタイミングが異なります。

会社が行う手続きは、主に退職に伴う事務作業です。本人が行う手続きは、失業給付(基本手当)を受け取るための申請です。
それぞれの期限を以下の表にまとめました。
| 手続きの内容 | 誰が行うか | 期限の目安 |
|---|---|---|
| 離職証明書の提出 | 会社 | 被保険者でなくなった日の翌日から10日以内 |
| 離職票の交付 | 会社 | 離職票の請求があったとき |
| 求職の申し込み | 本人 | 離職後、速やかに |
会社は、資格喪失届と離職証明書を所定の期限までにハローワークへ提出します。被保険者でなくなった日の翌日から10日以内に、管轄のハローワークへ提出します。
離職票は、会社が離職証明書等を提出した後、ハローワークから交付されます。会社は、離職票の交付を求められたときに、これを本人に交付しなければなりません。
事業主は、その雇用していた被保険者が離職したことにより被保険者でなくなつた場合において、その者が離職票の交付を請求するため離職証明書の交付を求めたときは、これをその者に交付しなければならない。 ただし、第七条第一項の規定により離職証明書を提出した場合は、この限りでない。
引用:雇用保険法施行規則 第16条(e-Gov法令検索)
本人が行う求職の申し込みは、離職票が手元に届いてから行います。失業給付を受け取るためには、ハローワークへ直接出向く必要があります。
求職の申し込みを遅らせると、給付を受け取れる期間に影響が出る場合があります。離職票が届いたら、早めに管轄のハローワークへ相談してください。
ただし、手続きのタイミングや方法には、状況によって異なるケースがあります。例えば、会社が離職証明書を提出済みであれば、改めて離職証明書を請求する必要はありません。
また、離職票の交付を待たずに、ハローワークへ相談に行くことも可能です。ただし、給付の手続き自体は、離職票などの必要書類が揃ってから進めることになります。
役員として雇用保険に加入していた場合、退職後の手続きは通常の従業員と同様です。しかし、加入の可否について会社と認識が異なる場合は、事前に確認しておきましょう。
もし離職票が届かない、あるいは内容に不備がある場合は、速やかに会社へ連絡してください。会社側の事務手続きの遅れが、本人の給付開始時期を左右することもあります。
会社役員として雇用保険の対象になる条件
自分が雇用保険の対象になるかどうかは、役員としての働き方によって分かれます。役員としての立場が強いか、労働者としての実態が強いかを確認してください。

役員としての性質が強い場合
取締役や監査役など、経営に参画する立場にある人は、原則として雇用保険の対象にはなりません。会社から受ける報酬が、業務の対価としての賃金ではなく、経営への貢献に対する役員報酬であるためです。
この場合、会社と雇用関係にあるとはみなされません。そのため、失業給付などの制度を利用することはできません。ただし、役員であっても実態が労働者であれば、例外的に加入できる可能性があります。
例えば、経営権を持たず、会社から具体的な業務指示を受けて働く場合などが挙げられます。このとき、報酬が役員報酬ではなく、労働の対価としての「賃金」として支払われていることが重要です。
労働者としての性質が強い場合
役員の肩書きを持っていても、実際の働き方が労働者と同じであれば、要件を満たせば対象になることがあります。具体的には、業務内容を会社から指揮命令されており、労働の対価として賃金を得ている状態です。
判断のポイントとして、出勤時間や勤務場所が定められているか、業務の進め方に具体的な指示があるかなどが挙げられます。また、報酬が役員報酬ではなく、労働に対する「賃金」として支払われているかも重要です。
ただし、実態が労働者であるかどうかの最終的な判断は、管轄のハローワークが行います。加入の可否を判断する際は、就業規則や雇用契約書、賃金台帳などの書類が確認の根拠となる場合があります。
もし判断に迷う場合は、事前に管轄のハローワークへ相談することをおすすめします。役員としての権限と、労働者としての実態が混在している場合、個別の状況に基づいた確認が必要になるためです。
具体的には、役員としての決定権の有無や、他の従業員と同様の管理体制下にあるかなどが精査されます。また、社会保険(健康保険・厚生年金)の加入状況も、実態を判断する一つの材料となります。
手続きの際には、会社側が作成する雇用契約書や、日々の業務内容を証明できる資料を準備しておくとスムーズです。判断基準は複雑なため、会社と本人が認識を合わせておくことが大切です。
取締役が雇用保険に加入できる例外的なケース
役員の肩書きがあっても、実態が労働者であれば、雇用保険の対象となる可能性があります。ただし、単に「仕事をしている」だけでは不十分です。

判断の基準となるのは、会社との契約内容ではなく、実際の働き方です。会社から具体的な業務の指示を受け、その対価として給与を得ているかが重要になります。
具体的にどのような状況が検討対象となるのか、主な例をまとめました。
| 状況 | 具体的な内容 | 判断のポイント |
|---|---|---|
| 業務内容 | 定まった勤務時間や場所がある | 指揮命令を受けているか |
| 報酬の性質 | 労働の対価としての賃金である | 役員報酬ではなく給与か |
| 権限の範囲 | 経営判断への関与が限定的である | 決定権が会社にあるか |
例えば、取締役でありながら、実際には現場の作業に従事し、上司の指示に従って動いているケースなどが挙げられます。この場合、実態が労働者であるとみなされる余地があります。
また、報酬についても、経営への貢献度に応じた「役員報酬」ではなく、労働時間や業務量に基づいた「給与」として支払われているかどうかが、重要な判断材料となります。
さらに、会社における権限の範囲も影響します。取締役としての決定権を持たず、あくまで従業員の一員として業務を遂行している実態があれば、検討の対象になり得ます。
ただし、これらの条件を満たしているからといって、自動的に加入が認められるわけではありません。判断には、就業規則や雇用契約書、賃金台帳などの客観的な資料が必要となります。
最終的な判断は、管轄のハローワークが行います。もし加入の可否について判断に迷う場合は、会社を通じて、または直接ハローワークの窓口へ相談してください。
相談の際は、役員としての権限の有無や、実際の業務指示の流れ、報酬の決定方法などを整理しておくと、スムーズに確認が進む可能性があります。
なお、判断にあたっては、社会保険(健康保険・厚生年金)の加入状況も、実態を測る一つの材料として参照されることがあります。
ただし、社会保険に加入していることが、直ちに雇用保険の対象となることを意味するわけではありません。
また、会社が「役員である」と主張していても、労働基準監督署の調査などで労働者性が認められた場合、その結果が雇用保険の判断に影響を及ぼすケースもあります。
手続きの際は、会社側が用意する雇用契約書の内容と、実際の勤務実態に乖離がないか、改めて確認しておきましょう。
手続きがうまくいかないときの相談先
雇用保険の手続きを進める中で、判断に迷う場面が出てくることがあります。
会社との認識が異なる場合や、自分が対象になるか確信が持てない場合です。
状況に応じて、相談できる窓口が異なります。
ご自身の状況がどちらに当てはまるかを確認してください。
雇用保険の加入や受給について相談したい場合
自分が雇用保険の対象になるか、あるいは失業給付を受け取れるかを知りたいときは、ハローワークへ相談してください。
ハローワークは、雇用保険の加入や給付に関する判断を行う公的な機関です。
役員としての実態が労働者にあたるかどうかの判断も、管轄のハローワークが行います。
個別の事情については、直接窓口で確認するのが確実です。
相談時には、雇用契約書や就業規則、賃金が支払われていることがわかる給与明細など、実態を証明できる書類を持参するとスムーズです。
ただし、ハローワークはあくまで判断を行う場であり、会社に対して加入を強制する手続きを代行するわけではありません。
会社との間でトラブルになっている場合
離職票が届かない、あるいは会社から支払われるべき金品について争いがある場合は、相談先が分かれます。
会社との交渉が必要な内容であれば、弁護士へ相談してください。
ここで扱う内容は、会社との交渉を代行するものではありません(弁護士法72条)。
金銭的な解決や、法的な権利の主張を求める場合は、専門家への依頼を検討しましょう。
会社が、退職時に支払うべき賃金や金品を返還しないといった問題については、労働基準監督署へ相談できます。
労働基準監督署は、労働基準法に基づき、会社に対して是正を求める権限を持っています。
なお、労働基準監督署は、あくまで法令違反の有無を調査する機関です。
個別の民事トラブル(損害賠償の請求など)の解決を直接行うものではない点に注意してください。
また、会社が倒産して給与が支払われないといったケースでは、都道府県労働局が実施する「未払賃金立替払制度」の利用が検討できます。
まずは、お近くの労働局や労働基準監督署の窓口へ、現在の状況を詳しく伝えてください。
役員の雇用保険に関するよくある勘違い
役員として報酬をもらっていれば、雇用保険に加入できますか
いいえ、役員としての報酬をもらっているだけでは、雇用保険に加入できません。雇用保険の対象になるには、報酬が「労働の対価としての賃金」である必要があります。
経営への貢献に対する役員報酬は、賃金とはみなされないためです。
週の労働時間が20時間以上であれば、役員でも対象になりますか
いいえ、労働時間だけで判断されるわけではありません。週の所定労働時間が20時間以上という要件を満たしていても、実態が労働者でなければ対象になりません。
業務内容が会社からの指揮命令を受けているかどうかが、判断の分かれ目になります。
会社から「役員だから加入できない」と言われたら、そのまま諦めるしかありませんか
いいえ、会社が加入できないと判断しても、管轄のハローワークが別の判断を下すことがあります。会社側の認識と、ハローワークによる実態判断が異なるケースがあるためです。
ご自身の働き方が労働者としての性質を持つ場合は、ハローワークへ相談してください。
複数の会社で役員を務めている場合、すべての会社で雇用保険に入れますか
いいえ、雇用保険は原則として、1つの事業所からのみ加入できます。複数の会社で役員を務めていても、雇用保険の被保険者になれるのは、主たる賃金を受ける1か所のみです。
ただし、65歳以上の方などで、特定の要件を満たす場合には、複数の事業所の労働時間を合算できる制度もあります。
退職後に失業給付を受け取る際、役員を辞めたことが証明できなければなりませんか
はい、役員としての立場を離れたことを証明する書類が必要になることがあります。失業給付は、労働の意思と能力がありながら仕事に就けない状態に対して支払われるものです。
役員としての職務を終了したことが確認できないと、受給の判断に影響する場合があります。
まとめ
役員の雇用保険に関する要点は、以下の通りです。
- 役員は原則として雇用保険の対象外です。
- 実態が労働者としての性質を持ち、賃金を得ている場合は、要件を満たせば対象になることがあります。
- 雇用保険は、原則として1つの事業所からのみ加入できます。
- 退職後に失業給付を受ける際は、役員としての立場を離れた証明が必要になる場合があります。
役員として雇用保険に加入している場合、退職時には「労働者としての実態」を証明する書類を求められるケースがあります。例えば、役員退任届や、役員報酬から賃金への切り替えを示す書類などが該当します。
ただし、個別の状況により必要な書類は異なるため、事前に管轄のハローワークへ確認しておくとスムーズです。また、退職理由が自己都合か会社都合かによって、給付制限の有無などが変わる点にも注意してください。
手続きの全体像については、退職の手続きのページにまとめています。失業給付の仕組みについては、失業に関する解説も参考にしてください。