有給休暇の取得率を上げるための、正しい権利の確認方法と取得の手順
労働者として、自分が持っている有給休暇を計画的に使うための方法をまとめています。会社に休みを申請する前に、自分が何日間の休みをもらえる権利があるのか、いつまでに使わないと権利が消えてしまうのかを確認しましょう。
- 付与される日数は、継続勤務期間や出勤率によって決まります
- 使用者は、一定の条件を満たす労働者に対し、年5日の時季指定を行う義務があります
- 未使用の有給休暇は、付与日から2年で時効となります

有給休暇を計画的に取得するための5つのステップ
有給休暇を計画的に使うには、事前の準備が役立ちます。仕事の状況や会社のルールを確認しながら、以下の5つの工程を進めてみてください。

- 現在の付与日数を確認する
- 取得したい時期の業務状況を把握する
- 会社の休暇申請ルールを確認する
- 周囲への相談と業務の調整を行う
- 休暇の申請手続きを行う
ステップ1では、自分が今、何労働日の有給休暇を持っているかを確認します。残りの日数がわかれば、いつ休めるかの見通しが立ちやすくなります。
付与日数は、雇入れの日から 6か月 勤務し、全労働日の 80% 以上を出勤した際に発生します。
ステップ2では、仕事のスケジュールを確認します。繁忙期を避けることで、周囲への負担を抑える検討ができます。ただし、会社が時季を指定する場合もあります。
ステップ3では、会社独自のルールを調べます。申請の期限や、申請の方法(書面かシステムかなど)は会社によって異なります。就業規則などを確認しましょう。
ステップ4では、上司や同僚に相談します。早めに伝えることで、休暇中の業務を誰に任せるかなどの調整がスムーズに進むことがあります。ただし、業務上の都合により時期の変更を求められる可能性もあります。
ステップ5では、決まったルールに従って申請します。年次有給休暇は、使用者の承認がなくても、原則として労働者が指定した時季に成立します。会社によっては、事前に計画的な取得を促す仕組みがある場合もあります。
有給休暇の請求権には時効があります。付与日から 2年 で時効となるため、計画的な利用が大切です。
未使用分は翌年度へ繰り越せますが、繰り越せるのは前年度分のみです。ただし、比例付与の対象となる労働者の場合は、付与日数の計算方法が異なります。
週の所定労働時間が30時間未満かつ週の所定労働日数が4日以下の場合は、比例付与の対象となります。一方、週30時間以上や週5日以上の場合は、通常の労働者と同じ日数です。
また、法定の年次有給休暇が 10労働日 以上付与される労働者に対しては、使用者に時季指定の義務があります。
使用者は、基準日から1年以内に 5労働日 を確実に取得させる必要があります。ただし、本人の請求による取得分もこれに含まれます。
休みを申請するタイミングと、権利が消える期限
有給休暇の権利には有効期限があります。付与された日から一定の期間を過ぎると、その権利は消滅します。

年次有給休暇の請求権には、2年の時効があります。
時効が成立すると、残っていた日数があっても使うことができなくなります。ただし、未使用分を翌年度へ繰り越すことは可能です。
繰り越せるのは前年度の未使用分のみです。例えば、前年度に使い切れなかった分は、翌年度の付与日数に加算して利用できます。
| 区分 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 時効の期間 | 2年 | 付与日から数える |
| 繰り越し | 可能 | 前年度の未使用分のみ |
休暇を申請するタイミングについては、会社の就業規則を確認してください。申請の期限や方法は、会社によってルールが異なります。
「休む日の前日まで」や「1週間前まで」といった決まりがある場合、その期限を守る必要があります。ただし、緊急時の対応は規則により異なる場合があります。
申請方法も、書面での提出か、社内システムでの入力かなど、会社ごとに分かれます。事前に就業規則や社内マニュアルを確認しておきましょう。
もし、会社が定める申請期限を守らないと、休暇の申請が受理されないことも考えられます。円滑に休みを取るために、早めの準備を心がけてください。
また、会社側には、一定の条件を満たす労働者に対して、年5日の有給休暇を取得させる義務があります。
この義務は、法定の年次有給休暇が10労働日以上付与される労働者が対象です。会社が時季を指定して取得させるケースもあります。
使用者が時季を指定して取得させる日数は、本人の請求による取得分と合わせて、基準日から1年以内に5労働日を確実に取得させる必要があります。
ただし、会社が時季を指定する際には、労働者の意見を聴取し、その意見を尊重するよう努めなければなりません。
もし、会社がこの取得義務を果たしていない場合は、労働基準監督署などの行政機関へ相談することも検討しましょう。ただし、まずは社内の相談窓口や人事担当者に確認することが先決です。
付与される日数の決まり方と、会社が義務を持つ条件
年次有給休暇が最初に付与される条件は、雇入れの日から6か月勤務し、出勤率の要件を満たすことです。

出勤率の要件は、全労働日の80%以上であることが基準となります。
この条件を満たすと、通常の労働者には最初に10労働日付与されます。
付与される日数の上限は、1回につき20労働日です。ただし、前年度の繰り越し分を含めた保有日数の上限ではありません。
労働時間や日数によって、付与される日数は変わります。
週の所定労働時間が30時間未満で、かつ週の所定労働日数が4日以下の場合は、比例付与の対象となります。
一方で、週30時間以上、または週5日以上、あるいは年間217日以上のいずれかに該当する場合は、通常の労働者と同じ日数になります。
また、付与された休暇の権利には時効があります。
年次有給休暇の請求権は、付与日から2年で時効となります。ただし、未使用分は翌年度へ繰り越せます。
会社には、法定の年次有給休暇が10労働日以上付与される労働者に、年5労働日を取得させる義務があります。
この義務は、基準日から1年以内に、本人の請求や計画的な取得を含めて5労働日取得させる必要があります。
もし、本人の請求による取得と計画年休の合計が5労働日に不足する場合は、会社が不足日数の時季を指定しなければなりません。なお、事業の正常な運営を妨げる場合の時季変更権は、労働者が指定した取得時季についての制度です。
| 立場 | 付与日数などの条件 | 備考 | 補足 |
|---|---|---|---|
| 通常の労働者(初回) | 10労働日 | 継続勤務6か月・出勤率80%が前提 | – |
| 通常の労働者(上限) | 20労働日 | 1回あたりの法定付与日数 | – |
| 比例付与の対象者 | 週の所定労働時間が30時間未満で、かつ週の所定労働日数が4日以下に該当する人 | 所定労働日数に応じた日数 | – |
| 時季指定義務の対象 | 10労働日以上付与される人 | 会社に取得させる義務がある | – |
| 会社が取得させる日数 | 5労働日 | 1年以内に取得させる必要がある | – |
| 正社員 | 通常の労働者と同じ扱い | 週30時間以上・週5日以上など | – |
| パート・アルバイト | 週の労働時間等により変動 | 比例付与になることがある | – |
| 契約社員 | 契約内容により変動 | 比例付与になることがある | – |
厚生労働省(確認日:2026-08-23)
休みが取れないときに相談できる窓口
有給休暇の取得について、会社との間でトラブルが生じている場合、状況に応じて相談できる場所が異なります。

ご自身の置かれた立場や、解決したい内容に合わせて、以下の窓口を検討してください。
会社との関係を改善したい場合
まずは、社内の相談窓口や人事部門へ相談する方法があります。就業規則を確認し、休暇申請の手続きや取得ルールに不備がないか確かめてください。
会社に対して、有給休暇の取得を妨げる行為の改善を求める権限は、労働者自身にあります。ただし、会社との直接の話し合いが難しい場合もあります。
もし、会社との話し合いで解決せず、法的な判断や交渉が必要な場合は、弁護士へ相談してください。報酬を得て法律事務として交渉することは原則として弁護士に限られますが、特定社会保険労務士は所定の紛争解決手続で代理できます。
公的な機関に相談したい場合
会社に相談しても解決しないときは、外部の公的な窓口を利用できます。労働条件や有給休暇の取得に関するトラブルは、労働局などの専門機関が扱います。
労働基準監督署は、会社が労働基準法などの法令を守っているかを監督する機関です。法令違反の疑いがある場合は、相談を受け付けています。
また、総合労働相談コーナーでは、職場でのトラブルについて、さまざまな相談を受け付けています。解決に向けた助言や、解決のための手続きの案内を受けることが可能です。
相談にあたっては、以下の点を確認しておくとスムーズです。
いつ、どのような理由で休暇を申請したか、会社からどのような回答があったかといった記録です。また、就業規則の写しや、休暇の付与日数に関する資料も準備しておきましょう。
なお、相談窓口によって、対応できる範囲が異なります。法令違反の是正を求めるのか、あるいは職場環境の改善に向けた助言を求めるのか、目的に合わせて使い分けてください。
例えば、会社が時季変更権を不当に行使している疑いがある場合や、法定の付与日数に基づいた休暇が与えられていない場合などは、労働基準監督署の役割が大きくなります。
一方で、人間関係や業務量による取得のしにくさなど、法令違反とまでは言い切れない悩みについては、総合労働相談コーナーでの助言が有効なケースもあります。
相談時には、これまでの経緯を時系列で整理し、会社側とのやり取り(メールや書面など)を可能な限り揃えておくと、より具体的なアドバイスを得やすくなります。
有給休暇の取得に関するよくある勘違い
有給休暇は、会社が指定した日に休むものですか。
原則として、有給休暇は労働者が希望する日に取得する権利です。会社には、労働者が指定した日を避けて別の日に取得させる「時季変更権」があります。
ただし、会社が自由に休む日を決められるわけではありません。時季変更権は、事業の正常な運営を妨げる場合に限り認められる権利です。
体調が悪いときに、当日に有給休暇を使うことはできますか。
はい、当日の申請でも有給休暇として扱うことは可能です。ただし、会社が「事前の申請」をルールとして定めている場合があります。
就業規則を確認し、事前の手続きが必要な範囲を確かめてください。急な体調不良などの例外的なケースについて、規定がどうなっているか把握しておくとスムーズです。
有給休暇を取得すると、給料が減ることはありますか。
有給休暇を取得した日は無給にはなりませんが、必ず通常どおりの額が支払われるとは限りません。有給休暇は、働いていなくても賃金を受け取れる制度です。
欠勤(仕事を休むこと)とは扱いが異なります。ただし、会社が定める「平均賃金」や「所定労働時間に基づく賃金」などの計算方法によって、支払われる額の詳細は異なります。
有給休暇の残日数を確認するには、どうすればよいですか。
会社に確認することで残日数を知ることができます。給与明細に記載されている場合や、社内の勤怠管理システムで確認できる場合があります。
不明なときは、人事部門や総務部門へ問い合わせてください。なお、有給休暇の請求権には時効があり、付与日から 2年 で示される期間を過ぎると消滅します。
有給休暇の取得率が低い会社は、法律違反ですか。
いいえ、取得率が低いこと自体が、直ちに法律違反になるわけではありません。ただし、一定の条件を満たす労働者に対して、会社は年5日の有給休暇を取得させる義務があります。
この義務の対象は、法定の年次有給休暇が 10労働日 以上付与される労働者です。この義務を果たしていない場合は、法令違反となります。
有給休暇の取得率を上げるために会社ができること
有給休暇の取得率を上げるには、取得を呼びかけるだけでなく、取得状況を把握し、休んでも業務が滞らない仕組みを整えることが重要です。厚生労働省の指針では、労使で取得状況を確認し、取得率向上の具体策を話し合うことや、取得率の目標設定、個人別の取得計画、業務体制の整備などが示されています。
会社は、部署別や個人別の取得状況を定期的に確認し、取得が少ない職場では、繁忙期への偏り、代替要員の不足、上司や同僚への遠慮など、取得を妨げている事情を調べます。そのうえで、次のような対策を組み合わせると効果的です。
- 年度の初めなどに希望日を確認し、個人別の取得予定表を作る
- 管理職が率先して休み、申請しやすい雰囲気をつくる
- 業務の共有や複数担当制を進め、休暇中の引継ぎ負担を減らす
- 取得日数と残日数を本人がいつでも確認できるようにする
- 取得が進んでいない人には、上司や人事担当者が個別に声をかける
さらに、労使協定を結び、就業規則を整備したうえで「計画的付与制度」を導入する方法があります。会社全体で同じ日に休む方式、班やグループごとに交替で休む方式、本人の希望を踏まえて個別に割り振る方式などから、業務の実態に合うものを選びます。あらかじめ取得日を決めるため、労働者の遠慮を減らし、会社も人員配置や納期を調整しやすくなります。
短時間の用事が取得の妨げになっている職場では、労使協定など所定の手続きを経て、時間単位年休を導入する選択肢もあります。ただし、制度を設けるだけでは取得率は上がりません。取得状況を継続して点検し、取得が進まない原因に応じて業務配分や職場風土を改善することが大切です。
まとめ
有給休暇を計画的に取得するためのポイントをまとめました。
- 有給休暇は、一定の条件を満たすと賃金を受け取りながら休める制度です。
- 雇入れから6か月勤務し、全労働日の80%以上を出勤していれば、最初の付与対象となります。
- 付与された日から2年で時効となります。
- 法定の付与日数が10労働日以上の労働者に対し、会社は年5労働日の取得をさせる義務があります。
- 取得の際は、会社のルールや残日数を確認してください。会社には時季変更権がありますが、原則は労働者が希望する日に取得できます。
制度の詳しい仕組みや、手続きの流れについては有給休暇の解説ページもあわせて確認してください。
この記事の根拠(本文内32か所・台帳8項目・一次資料6件)
制度の数値(台帳から出しています)
- 年次有給休暇が最初に付与されるまでの継続勤務期間6か月時点:2026-04-01確認:2026-08-18厚生労働省|年次有給休暇とはどのような制度ですか
- 年次有給休暇が付与される出勤率の下限80%時点:2026-04-01確認:2026-08-18厚生労働省|年次有給休暇をとる条件は?
- 年次有給休暇の請求権の時効2年時点:2026-04-01確認:2026-08-18厚生労働省|年次有給休暇権の時効は?
- 使用者の時季指定義務の対象となる法定付与日数10労働日時点:2026-04-01確認:2026-08-18厚生労働省|年次有給休暇の時季指定(労働者向け)
- 使用者が1年以内に確実に取得させる必要がある年次有給休暇の日数5労働日時点:2026-04-01確認:2026-08-18厚生労働省|年次有給休暇の時季指定(労働者向け)
- 通常の労働者に最初に付与される年次有給休暇の日数10労働日時点:2026-04-01確認:2026-08-18厚生労働省|年次有給休暇とはどのような制度ですか
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- 年次有給休暇が比例付与になる条件週の所定労働時間が30時間未満で、かつ週の所定労働日数が4日以下時点:2026-04-01確認:2026-08-18厚生労働省|年次有給休暇とはどのような制度ですか
一次資料
- 厚生労働省|年次有給休暇とはどのような制度ですか
- 厚生労働省|年次有給休暇をとる条件は?
- 厚生労働省|年次有給休暇権の時効は?
- 厚生労働省|年次有給休暇の時季指定(労働者向け)
- 厚生労働省|労働時間等設定改善指針
- 厚生労働省|年次有給休暇の計画的付与制度とは
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