不当解雇の疑いがあるときに弁護士へ相談して解決を目指す手順
解雇が不当だと感じている労働者の方が、弁護士を通じて解決を図るための具体的な流れを解説します。会社との交渉を弁護士に依頼する手順や、解雇予告に関する法律のルール、手続きの期限について、この記事で確認できます。
- 解雇の有効性を争うには証拠の確保が重要です
- 会社との交渉を依頼できるのは弁護士などの資格を持つ人です
- 解雇予告に関するルールは労働基準法で定められています

不当解雇を疑ったときの解決までの流れ
解雇が不当であると感じた場合、解決に向けた手順は大きく分けて5つの工程があります。状況によって進め方は変わりますが、一般的な流れを整理しました。

- 解雇の理由と内容を記録する
- 証拠を集める
- 解決の方法を選択する
- 交渉または手続きを行う
- 解決(合意または判断)
まずは、解雇の理由を明確にすることが重要です。口頭での指示だけでなく、書面での通知を求めることが一つの方法です。ただし、会社が書面交付を拒む場合もあります。
次に、解雇が不当であることを示す証拠を集めます。雇用契約書や就業規則、解雇通知書、やり取りの記録などが対象になります。これらは後の交渉や手続きで重要です。
証拠が集まったら、どのように解決したいかを考えます。会社との話し合いで解決を目指すのか、公的な機関を利用するのかを検討します。解決のゴールは人それぞれです。
会社との話し合いで解決を目指す場合、交渉の権限がある人に依頼するかどうかを判断します。退職代行などの民間サービスでは、会社との交渉は扱えません。
次の各号のいずれかに該当する者は、二年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。 一 第二十七条(第三十条の二十一において準用する場合を含む。)の規定に違反した者 二 第二十八条(第三十条の二十一において準用する場合を含む。)の規定に違反した者 三 第七十二条の規定に違反した者 四 第七十三条の規定に違反した者
引用:弁護士法 第77条(e-Gov法令検索)
参考:弁護士法 第77条(e-Gov法令検索)|e-Gov法令検索
交渉が必要な事案であれば、弁護士へ相談することが一つの選択肢です。弁護士でない者が報酬を得て交渉を行うことは、法律で禁じられています。2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金
公的な機関を利用する場合は、労働局のあっせんや、労働審判などの手続きがあります。これらは、要件を満たせば利用できる仕組みです。裁判所での手続きは、より厳格な判断を仰げます。
解雇の予告に関するルールについては、労働基準法に定めがあります。会社が解雇を行う際には、原則として30日前前に予告しなければなりません。
予告をしない場合は、30日分以上の平均賃金を支払う必要があります。ただし、天災事変などのやむを得ない事由がある場合は例外となります。
また、業務上の負傷などで療養中の期間などは、解雇が制限される場合があります。この制限期間は、休業期間およびその後30日間です。
手続きや請求を間に合わせるための期限
不当な解雇への対応を進める際、法律に基づく請求には期限があります。期限を過ぎると、権利を行使できなくなる場合があるため、事前の確認が要ります。

解雇予告手当(解雇の予告をせずに、即時に解雇する場合に支払われる手当)の未払いに伴う請求には、以下のルールがあります。
| 請求の内容 | 期限の目安 | 根拠となる法律 |
|---|---|---|
| 付加金の請求 | 3年以内 | 労働基準法 第114条 |
(もとにした一次情報と確認日:2026-08-23)
解雇予告手当が支払われない場合、裁判所は、未払いの手当金とは別に、同額の付加金の支払を命ずることがあります。ただし、この付加金の請求は、違反があった時から3年以内にしなければなりません。
付加金は、裁判所の判断によって決まるものであり、要件を満たせば支払われる仕組みです。手続きを検討する場合は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。
また、解雇の制限に関するルールも確認が必要です。業務上の負傷や疾病により療養のために休業している期間、およびその後の30日間は、原則として解雇が禁止されています。
ただし、私傷病による休職の場合は、この制限には該当しません。
試用期間中の労働者についても注意が必要です。試用期間中であっても、継続して14日を超えて使用されている場合は、解雇予告の規定が適用されます。予告なしの解雇を行うには、一定の条件を満たす必要があります。
解雇予告を行う際は、原則として30日前前に予告しなければなりません。もし予告をせずに即時解雇を行う場合は、30日分以上の平均賃金を支払う必要があります。
ただし、1日につき平均賃金を支払うことで、予告日数を短縮することも可能です。また、天災事変などやむを得ない事由がある場合は例外となることがあります。
なお、労働者の責に帰すべき事由による解雇であっても、即時解雇が認められるには行政官庁の認定が必要となる場合があります。手続きの詳細は、労働基準監督署などの窓口で確認してください。
参考:労働基準法 第20条(解雇の予告)|e-Gov法令検索(デジタル庁)
解雇の予告や手当に関するルール
解雇の手続きには、労働基準法で定められたルールがあります。解雇のタイミングや、支払われるべき手当の有無は、労働者の状況によって異なります。

解雇の予告や手当が必要な場合
会社が労働者を解雇しようとする場合、原則として事前の予告が必要です。予告ができない場合には、代わりに手当を支払う仕組みがあります。
- 解雇の予告が必要な日数:30日前
- 解雇予告手当の日数:30日分以上
- 試用期間中に解雇予告が要らなくなる上限:14日
解雇の予告は、労働基準法第20条に基づいています。ただし、天災などのやむを得ない事由がある場合や、労働者に重大な過失がある場合は例外となることがあります。
ただし、例外として予告を不要とするには、行政官庁の認定が必要です。認定がないまま即時解雇を行った場合、法違反となる可能性があります。
参考:労働基準法 第20条(解雇の予告)|e-Gov法令検索(デジタル庁)
予告と手当は組み合わせることも可能です。例えば、予告の日数が足りない場合、不足する日数分の平均賃金を支払うことで、予告期間を短縮できます。
試用期間中の労働者についても、一定の条件では解雇予告の規定が適用されます。試用期間中であっても、14日を超えて雇用されている場合は、原則通り解雇予告が必要です。
なお、解雇予告手当を支払わない使用者に対しては、裁判所の判断により、未払金と同額の付加金の支払いが命じられることがあります。この請求は、違反のあった時から3年以内に行う必要があります。
解雇が制限される特定の状況
特定の状況にある労働者に対しては、法律によって解雇が制限されています。これに該当する場合、法律上の例外を除き、会社は解雇を行うことができません。
業務上の理由で怪我や病気をし、療養のために休んでいる期間とその後の30日間は、解雇が禁止されています。このルールは、仕事が原因で休んでいる場合に適用されます。
なお、仕事が原因ではない私傷病(プライベートな病気や怪我)による休職には、この解雇制限の規定は適用されません。ただし、産前産後の休業期間およびその後の30日間についても、同様に解雇が制限されます。
参考:労働基準法 第19条(解雇制限)|e-Gov法令検索(デジタル庁)
解雇の制限に関する具体的な判断や、会社との交渉で困ったときは、労働基準監督署などの行政窓口へ相談してください。状況に応じて、適切なアドバイスを受けられる場合があります。
会社とうまくいかないときの相談先
会社とのトラブルが発生したとき、どこに相談するかは状況によって分かれます。
いまの自分の立場や、解決したい内容に合わせて窓口を選んでください。

| いまの立場 | 扱いの種類 | 次に見るところ |
|---|---|---|
| 正社員 | 雇用契約のトラブル | 労働基準監督署・弁護士 |
| 契約社員 | 契約更新のトラブル | 労働基準監督署・弁護士 |
| パート・アルバイト | 賃金や労働条件のトラブル | 労働基準監督署・労働局 |
| 休職中で在籍している人 | 解雇や休職中の扱い | 会社・労働局・弁護士 |
| 退職して任意継続を選んだ人 | 社会保険の継続手続き | 健康保険組合・協会けんぽ |
| 退職して国民健康保険に入った人 | 保険料の支払い手続き | 市区町村の窓口 |
| 家族の扶養に入った人 | 扶養認定の条件 | 健康保険組合・協会けんぽ |
| 産前産後・育児休業の人 | 休業中の手当や権利 | ハローワーク・会社 |
解雇の無効を訴えたり、未払いの賃金を請求したりする場合、交渉の権限がある相手を選ぶ必要があります。
民間業者が運営する退職代行サービスの中には、会社と直接交渉を行うものもあります。
しかし、弁護士でない者が報酬を得て、他人の代わりに会社と交渉することは法律で禁じられています。
弁護士法第77条に違反する行為(非弁行為)として、罰則が定められています。
次の各号のいずれかに該当する者は、二年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。 一 第二十七条(第三十条の二十一において準用する場合を含む。)の規定に違反した者 二 第二十八条(第三十条の二十一において準用する場合を含む。)の規定に違反した者 三 第七十二条の規定に違反した者 四 第七十三条の規定に違反した者
引用:弁護士法 第77条(e-Gov法令検索)
2025年(令和7年)6月1日の施行により、罰則の内容は「懲役」から「2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金」へと変わりました。
会社との交渉が必要な事案については、弁護士へ相談することを検討してください。
労働条件のルールについて確認したい場合は、管轄の労働基準監督署や労働局に相談できます。
これらは行政機関であり、会社への指導や助言を行う役割を持っています。
労働基準監督署は、主に労働基準法違反の事案を扱います。
一方、労働局は、紛争解決の援助(あっせん)など、より広い範囲の相談に対応可能です。
ただし、行政機関の助言・指導やあっせんには、当事者に解決案の受諾を強制する権限はありません。
参考:弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)第77条|e-Gov法令検索
解雇に関するよくある勘違い
解雇されたら、すぐに会社と交渉して解決できますか
本人は自ら交渉できるほか、弁護士や、要件を満たす労働組合も交渉できます。

退職代行などの民間業者が、会社と直接交渉を行うことは法律で禁じられています。
会社との話し合いが必要な場合は、弁護士へ相談することを検討してください。
解雇通知書がなくても、解雇は成立しますか
解雇理由の書面がないだけでは手続きの不備とは限りませんが、労働者が請求した場合、会社は証明書を交付しなければなりません。
労働基準法では、労働者が請求した場合、解雇理由を記載した証明書を交付することが求められています。
書面がない場合は、管轄の労働基準監督署へ相談してください。
会社から「辞めてほしい」と言われたら、拒否できませんか
会社からの退職勧奨は拒否できますが、解雇は労働者の承諾を必要としない一方的な意思表示です。
解雇が客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、無効となることがあります。
解雇の妥当性については、個別の状況によって判断が分かれます。
解雇予告手当をもらえば、不当解雇の問題は解決しますか
いいえ、手当の支払いと、解雇そのものの正当性は別の問題です。
手当が支払われていても、解雇の理由に問題があれば、不当解雇として争う余地があります。
解雇の有効性を確認したい場合は、専門家への相談を検討してください。
試用期間中なら、いつでも予告なしで解雇できますか
試用期間中であっても、継続して 14日 を超えて使用されている場合は、解雇予告の規定が適用されます。
ただし、試用期間中の者であっても、使用期間が 14日 以内であれば、解雇予告は不要です。
自身の雇用形態や継続期間を確認することが重要です。
解雇予告の手続きを無視されたら、どうすればよいですか
使用者は、解雇の 30日前 前に予告を行う必要があります。
予告がない場合は、 30日分以上 の平均賃金を支払わなければなりません。
参考:労働基準法 第20条(解雇の予告)|e-Gov法令検索
ただし、行政官庁の認定が必要な例外規定も存在します。
業務上の怪我で休んでいる間は、解雇されませんか
業務上の負傷や疾病により療養のために休業している期間、およびその後 30日間 は、解雇が禁止されています。
ただし、この制限は業務上の負傷・疾病にのみ適用されます。
私傷病による休職の場合は、この規定による解雇制限はかかりません。
未払いの解雇予告手当は、いつまで請求できますか
解雇予告手当を支払わない使用者に対し、裁判所は未払金と同額の付加金の支払を命じることがあります。
この付加金の請求は、違反のあった時から 3年以内以内に行う必要があります。
付加金は自動的に支払われるものではなく、裁判所の判断によります。
まとめ
不当解雇の疑いがあるときは、冷静に状況を整理することが重要です。まずは解雇理由を記した書面を会社に求め、客観的な証拠を集めてください。

解雇予告手当の未払いがある場合は、労働基準法第20条に基づき、30日分以上の平均賃金を請求できる可能性があります 。ただし、天災事変などの例外があるため注意が必要です。
また、解雇予告手当の未払いに対する付加金の請求期間は、当分の間、違反があった時から3年以内です。期限を過ぎないよう、早めの対応を検討しましょう。
参考:労働基準法 第114条|e-Gov法令検索(デジタル庁)
会社とのトラブルを整理したいときは、必要となる書類の確認に役立ててください。法的な判断が必要な場合は、お金のかからない相談先もあわせて確認しておくとよいでしょう。
この記事の根拠(本文内24か所・台帳6項目・一次資料2件)
制度の数値(台帳から出しています)
- 非弁行為(弁護士法72条違反)の罰則2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金時点:2026-07確認:2026-07-26e-Gov法令検索|弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)第77条
- 解雇の予告が必要な日数(労働基準法第20条)30日前時点:2026-08確認:2026-08-19e-Gov法令検索(デジタル庁)|労働基準法 第20条(解雇の予告)
- 解雇予告手当の日数(予告しない場合・労働基準法第20条)30日分以上時点:2026-08確認:2026-08-19e-Gov法令検索(デジタル庁)|労働基準法 第20条(解雇の予告)
- 解雇してはならない期間(療養・産前産後の休業後・労働基準法第19条)30日間時点:2026-08確認:2026-08-19e-Gov法令検索(デジタル庁)|労働基準法 第19条(解雇制限)
- 付加金を請求できる期限(違反のあった時から・労働基準法第114条)3年以内時点:2026-08確認:2026-08-24e-Gov法令検索(デジタル庁)|労働基準法 第114条ただし書・附則第143条第2項
- 試用期間中に解雇予告が要らなくなる上限(労働基準法第21条)14日時点:2026-08確認:2026-08-19e-Gov法令検索(デジタル庁)|労働基準法 第21条
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