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退職代行には、労働組合が運営するものと弁護士が担当するものがあります。組合が運営するサービスでは、組合員として団体交渉の形で会社と話し合える場合があります(労働組合法第6条)。ただし、訴訟や損害賠償の請求など法律事務にあたるものは弁護士に限られます(弁護士法第72条)。利用する前に、運営しているのがどこか、組合への加入がどうなるかを確かめてください。
解雇の理由が正当かどうか、手続きが正しいかを確認する方法
解雇の理由が妥当かどうか、あるいは解雇の手続きが法律に従っているかを知りたいと考えている方へ。会社から解雇を言い渡された場合や、解雇の可能性を感じている場合、労働基準法に基づいたルールが適用されます。この記事では、解雇の予告期間や、解雇が認められるための条件について解説します。
- 解雇には事前の予告や手当の支払いが必要です
- 解雇できない期間が法律で定められています
- 解雇の理由には客観的な合理性が求められます

解雇が検討されるときから終了までの流れ
解雇は会社による一方的な労働契約の解約ですが、その有効性には法律上の制約があり、進め方にも法律で定められた手順があります。

解雇が検討される段階から、雇用関係が終了するまでの一般的な流れを5つの工程に分けて説明します。
- 解雇の理由の検討と事実確認
- 解雇予告の通知
- 解雇予告手当の支払い、または解雇予告期間の経過
- 離職票などの書類の交付
- 雇用保険などの各種手続き
第1の工程では、会社が解雇の理由を検討します。客観的に合理的な理由があるか、社会通念上相当であるかが判断の基準となります。
会社は、解雇の理由となる事実を調査します。このとき、労働者に弁明の機会(自分の言い分を伝える機会)が与えられることもあります。
ただし、業務上の負傷や疾病で療養のために休業している期間、およびその後 30日間 は、解雇が制限される点に注意が必要です。
第2の工程では、会社が解雇の予告を行います。労働基準法第20条に基づき、解雇する日の少なくとも 30日前 前までに予告をする必要があります。
なお、試用期間中の場合でも、継続して 14日 を超えて雇用されているときは、この予告規定が適用されます。
第3の工程は、予告期間の経過、または手当の支払いによる解雇の効力発生です。予告をまったくしない場合は、会社は 30日分以上 の平均賃金を支払わなければなりません。
参考:労働基準法 第20条(解雇の予告)|e-Gov法令検索(デジタル庁)
予告日数を短縮したい場合、不足する日数分の平均賃金を支払うことで、即時の解雇も可能です。ただし、天災事変などの例外には行政官庁の認定が必要です。
万が一、解雇予告手当が支払われない場合、裁判所の判断により、未払金と同額の付加金の支払いが命じられることもあります。
第4の工程では、会社から離職票などの書類を受け取ります。離職票は、失業保険の申請などに必要な書類です。
雇用保険法施行規則第16条により、会社は労働者が離職票を請求するため離職証明書を求めたときは、これを交付しなければならないと定められています。
第5の工程は、離職後の各種手続きです。ハローワークでの失業給付の申請や、健康保険の切り替えなどを行います。
手続きの内容や、ご自身の状況に合わせた具体的な進め方は、管轄のハローワークで確認してください。
未払い分の請求など、会社との交渉が要る場合は弁護士へ。ここでは扱えません(弁護士法72条)。
解雇の予告や手当に関する期限の目安
解雇の手続きには、法律で定められた期間や条件があります。会社が守るべきルールを、立場や状況別にまとめました。

| いまの立場 | 扱い | 次に見るところ |
|---|---|---|
| 正社員 | 解雇の予告が必要 | 解雇の手続きの流れ |
| 契約社員 | 解雇の予告が必要 | 解雇の手続きの流れ |
| パート・アルバイト | 解雇の予告が必要 | 解雇の手続きの流れ |
| 試用期間中の人(14日超) | 解雇の予告が必要 | 解雇の手続きの流れ |
| 試用期間中の人(14日以内) | 解雇の予告が不要な場合がある | 解雇の手続きの流れ |
| 業務上の負傷・疾病で休業中 | 解雇が制限される | 解雇の理由と有効性 |
| 産前産後休業中の人 | 解雇が制限される | 解雇の理由と有効性 |
| 退職して任意継続を選んだ人 | 社会保険の継続 | 退職後の手続き |
| 退職して国民健康保険に入った人 | 社会保険の切り替え | 退職後の手続き |
解雇の予告に関する具体的な基準は、以下の表の通りです。要件を満たせば、会社はこれらを遵守する義務があります。
| 項目 | 基準となる数値 | 根拠となる法律 |
|---|---|---|
| 解雇の予告が必要な日数 | 30日前 | 労働基準法第20条 |
| 解雇予告手当の日数 | 30日分以上 | 労働基準法第20条 |
| 解雇してはならない期間(業務上の負傷・疾病) | 30日間 | 労働基準法第19条 |
| 試用期間中に予告が不要となる上限 | 14日 | 労働基準法第21条 |
| 付加金を請求できる期限 | 3年以内 | 労働基準法第114条 |
解雇予告手当は、予告期間を置かずに解雇する場合に支払われるものです。ただし、労働者の責に帰すべき事由による解雇などは、労働基準監督署長の認定を受けた場合に例外となります。
予告日数を短縮したいときは、不足する日数分の平均賃金を支払うことで対応可能です。ただし、天災事変などの例外には行政官庁の認定が必要です。
試用期間中の人であっても、働き始めてから14日を超えている場合は、解雇予告のルールが適用されます。試用期間中だからといって、無条件に予告なしの解雇ができるわけではありません。
業務上の負傷や疾病で療養のために休業している期間、およびその後の30日間は、解雇が制限されます。これは、仕事が原因の怪我や病気が対象です。ただし、私傷病による休職にはこの制限は適用されません。
解雇予告手当の支払いをめぐって裁判になった場合、未払金と同額の付加金の支払いが命じられることがあります。この請求は、違反があった時から3年以内に行う必要があります。
参考:労働基準法 第114条|e-Gov法令検索(デジタル庁)
解雇の理由として認められる条件と事由
会社が労働者を解雇するには、その理由が客観的に合理的で社会通念上相当である必要があり、有期契約の途中ではさらにやむを得ない事由が必要です。

解雇の理由が認められるかどうかは、個別の状況によって判断が分かれます。大きく分けて、労働者自身の問題によるものと、会社の経営状況によるものの2つの立場があります。
労働者自身の行為や状態に理由がある場合
労働者の働き方や、会社との関係性に問題があるケースです。これには、以下のような事由が含まれます。
- 業務上の命令に従わない、または重大な規律違反がある
- 無断欠勤を繰り返すなど、労働契約上の義務を果たさない
- 職務遂行能力が著しく低く、改善の見込みがない
- 経歴詐称や、会社に重大な損害を与える行為をした
ただし、これらがあったとしても、直ちに解雇が認められるわけではありません。事由の重さと、解雇という手段が釣り合っているかが検討されます。
例えば、能力不足を理由とする場合、会社側が教育訓練や配置転換などの改善機会を与えたかどうかも、判断の重要な要素となります。また、就業規則に定められた懲戒規定に該当するかどうかも確認が必要です。
会社の経営状況に理由がある場合
労働者本人に問題がなくても、会社側の事情で解雇が必要になるケースです。これは「整理解雇」と呼ばれることもあります。
経営悪化による人員削減などがこれに当たります。整理解雇が認められるためには、一般的に以下の4つの要素が考慮されます。
- 人員削減を行う必要性があるか
- 解雇を避けるための努力をしたか
- 解雇する対象者の選定が公平か
- 手続きにおいて労働者と十分に話し合ったか
経営上の理由であっても、これらの要件を満たさない場合は、解雇が無効となることがあります。ただし、倒産が避けられないような極端な状況では判断が異なる場合もあります。
解雇の有効性を争う際は、就業規則に定められた解雇事由に該当するかだけでなく、客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性があるかも確認が必要です。労働基準法第20条に基づく解雇の予告や手当は必要ですが、解雇理由の合理性・相当性とは別の確認事項です。
参考:労働基準法 第20条(解雇の予告)|e-Gov法令検索(デジタル庁)
解雇が有効であるために必要な要件
労働者自身の問題が理由となる場合
労働者の行為や状態が理由となる場合、その内容が客観的に見て妥当である必要があります。職務上の義務違反や、会社に重大な損害を与えたケースなどがこれに該当します。

ただし、単なるミスや能力不足という理由だけで、直ちに解雇が認められるわけではありません。そのミスが、解雇という重い処分を下すのにふさわしい程度であるかが問われます。
また、解雇の制限に関する規定にも注意が必要です。業務上の負傷や疾病で療養のために休業している期間、およびその後 30日間 は、解雇してはならないと定められています。
なお、私傷病による休職の場合は、この解雇制限の規定は適用されません。ただし、就業規則などで別途定められている場合があるため、あわせて確認が必要です。
会社の経営状況が理由となる場合
会社側の事情で解雇が必要になる場合は、整理解雇の要件を満たす必要があります。経営悪化による人員削減などがこれに当たりますが、会社側には慎重な判断が求められます。
具体的には、人員削減の必要性、解雇を避けるための努力、対象者の公平な選定、労働者との十分な話し合いといった要素が検討されます。これらが欠けると、解雇が無効となる可能性があります。
解雇の予告についても、労働基準法に基づいた手続きが必要です。原則として、解雇しようとする場合は 30日前 前までに予告をしなければなりません。
参考:労働基準法 第20条(解雇の予告)|e-Gov法令検索(デジタル庁)
予告をしない場合は、 30日分以上 の平均賃金を支払う必要があります。ただし、労働者の責に帰すべき事由による解雇などの例外があり、これには行政官庁の認定が必要となる場合があります。
なお、予告日数を短縮したい場合は、不足する日数分の平均賃金を支払うことで対応可能です。ただし、天災事変などで事業の継続が不可能となり、労働基準監督署長の認定を受けた場合は例外となります。
試用期間中の労働者についても、 14日 を超えて継続して使用されている場合は、原則として解雇予告の規定が適用されます。試用期間中であれば、いつでも予告なしに解雇できるわけではありません。
もし解雇予告手当が支払われない場合、裁判所の判断により、未払金と同額の付加金の支払が命じられることもあります。この請求は、違反のあった時から 3年以内に行う必要があります。
解雇の理由が正当であるかどうかの最終的な判断は、個別の事情に基づいて裁判所が行います。判断に迷う場合は、労働局の総合労働相談コーナー、労働組合または弁護士へ相談してください。
解雇について相談できる窓口
解雇の理由や手続きに納得がいかない場合、一人で抱え込まずに外部の窓口を利用してください。状況によって、相談できる相手や解決に向けた進め方が異なります。
労働問題の解決を目指す場合
会社との話し合いや、解雇の無効を求めるための交渉が必要なケースです。この場合、相談先によってできることが決まっています。
労働組合の代表者や、会社から委任を受けた者は、労働組合や組合員のために使用者と交渉する権限があります。
労働組合の代表者又は労働組合の委任を受けた者は、労働組合又は組合員のために使用者又はその団体と労働協約の締結その他の事項に関して交渉する権限を有する。
引用:労働組合法 第6条(e-Gov法令検索)
一方で、弁護士や労働組合の代表者以外の者が、報酬を得て他人の代わりに交渉を行うことは法律で制限されています。
社会保険労務士又は社会保険労務士法人でない者は、他人の求めに応じ報酬を得て、第二条第一項第一号から第二号までに掲げる事務を業として行つてはならない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合及び政令で定める業務に付随して行う場合は、この限りでない。
引用:社会保険労務士法 第27条(e-Gov法令検索)
もし、会社との交渉を専門家に依頼したいと考えているなら、弁護士への相談を検討してください。交渉が必要な段階で、あとから依頼し直すと費用が二重にかかることがあります。
行政の支援や制度を確認したい場合
解雇の理由が妥当かどうかの判断や、失業保険などの手続きについて確認したいケースです。公的な機関が窓口となります。
労働局や労働基準監督署は、労働条件に関する相談を受け付けています。解雇のルールが守られているか、行政の視点から確認したいときに適しています。
ハローワーク(公共職業安定所)は、失業手当(雇用保険から支払われる給付金)の手続きを行う場所です。解雇された後の生活支援や、次の仕事探しに関する相談ができます。
離職票(退職したことを証明する書類)が届かないといった、手続き上の問題がある場合は、管轄のハローワークへ相談してください。要件を満たせば、適切な手続きが進められます。
事業主は、その雇用していた被保険者が離職したことにより被保険者でなくなつた場合において、その者が離職票の交付を請求するため離職証明書の交付を求めたときは、これをその者に交付しなければならない。ただし、第七条第一項の規定により離職証明書を提出した場合は、この限りでない。
引用:雇用保険法施行規則 第16条(e-Gov法令検索)
解雇に関するよくある勘違い
会社から「明日から来なくていい」と言われたら、その通りに従うしかないですか。
いいえ、必ずしも従う必要はありません。解雇には、法律で定められた予告の手続きや、客観的に合理的な理由が必要です。
理由が不当であると考える場合は、解雇の無効を求めるための相談ができます。ただし、状況により対応が異なるため注意が必要です。
解雇の理由が「能力不足」であれば、どのような場合でも解雇は認められますか。
いいえ、能力不足という理由だけで、直ちに解雇が認められるわけではありません。
会社がどのような指導や改善の機会を与えたかといった経過が問われます。改善の努力を促すプロセスがないまま解雇することは、不当とされることがあります。
退職代行サービスに頼めば、会社との解雇に関する交渉もすべて任せられますか。
いいえ、弁護士や労働組合ではない民間の退職代行業者は、会社と法律上の争いについて交渉できません。
会社との話し合いや、解雇の無効を求めるための交渉を行う権限があるのは、弁護士や労働組合の代表者などです。交渉が必要な場合は、弁護士へ相談してください。
解雇された場合、会社に対して損害賠償を請求することはできますか。
はい、解雇が不当であったと認められる場合には、損害賠償を請求できることがあります。
なお、解雇が有効でも、その手続や態様が不法行為に当たる場合には、損害賠償が認められることがあります。具体的な請求の可否は、個別の事情や裁判所の判断によります。
会社が「就業規則に書いてあるから」と言えば、どのような解雇も有効になりますか。
いいえ、就業規則に記載があることと、その解雇が有効であることは別問題です。
就業規則の内容が、法律や社会通念に照らして適切である必要があります。規則に書かれているからといって、不当な解雇が正当化されるわけではありません。
まとめ
- 解雇には、客観的に合理的な理由と、社会通念上の妥当性が求められます。
- 解雇の理由が労働者自身の問題か、会社の経営状況によるものかで、状況は異なります。
- 解雇の手続きには、法律で定められた予告のルールや期間があります。
- 解雇が不当であると考える場合は、労働組合や弁護士などの専門家へ相談できます。
- 解雇予告手当の未払いに伴う付加金の請求は、違反のあった時から 3年以内に行う必要があります。
解雇後の生活を支えるために、失業に関する制度や社会保険の仕組みについても、あわせて確認しておきましょう。
この記事の根拠(本文内18か所・台帳5項目・一次資料1件)
制度の数値(台帳から出しています)
- 解雇してはならない期間(療養・産前産後の休業後・労働基準法第19条)30日間時点:2026-08確認:2026-08-19e-Gov法令検索(デジタル庁)|労働基準法 第19条(解雇制限)
- 解雇の予告が必要な日数(労働基準法第20条)30日前時点:2026-08確認:2026-08-19e-Gov法令検索(デジタル庁)|労働基準法 第20条(解雇の予告)
- 試用期間中に解雇予告が要らなくなる上限(労働基準法第21条)14日時点:2026-08確認:2026-08-19e-Gov法令検索(デジタル庁)|労働基準法 第21条
- 解雇予告手当の日数(予告しない場合・労働基準法第20条)30日分以上時点:2026-08確認:2026-08-19e-Gov法令検索(デジタル庁)|労働基準法 第20条(解雇の予告)
- 付加金を請求できる期限(違反のあった時から・労働基準法第114条)3年以内時点:2026-08確認:2026-08-24e-Gov法令検索(デジタル庁)|労働基準法 第114条ただし書・附則第143条第2項
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