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諭旨解雇後の再就職は難しいのか
諭旨解雇(会社から退職を勧告され、合意の上で辞めること)を受けた方は、再就職の際に前職の離職理由が影響する場合があります。この記事では、解雇の手続きに関する法的なルールや、会社とのやり取りで確認すべき期限、トラブル時の相談先について解説します。
- 解雇の予告には一定のルールがあります
- 解雇予告手当が支払われる場合があります
- 不当な解雇には争う権利があります

諭旨解雇から再就職へ向かうまでの流れ
諭旨解雇(会社から解雇の処分を提案され、本人が同意して退職する仕組み)を受けた後の流れは、大きく分けて5つの工程があります。

会社との手続きを終えてから、次の仕事を探す準備を整えるまでの手順を整理しました。
- 会社との退職手続きと合意
- 離職票などの書類の受け取り
- 失業保険の受給手続き
- 再就職に向けた準備
- 求職活動の開始
最初の工程は、会社から提示された条件を確認し、退職の意思を固める段階です。諭旨解雇は、会社側が解雇の手続きを進める前に、本人に退職の機会を与えるものです。
合意した場合は、退職日や退職金の有無、離職理由などの条件を、書面で確認することが重要です。後から「言った、言わない」のトラブルを防ぐため、事前の確認が要ります。
次に、会社から離職票(りしょくひょう:失業保険の申請に必要な書類)などの書類を受け取ります。離職票には、離職理由が記載されます。
離職理由の記載内容は、その後の失業保険の受給条件に影響することがあります。書類の内容に誤りがないか、受け取った時点で確認してください。
書類が揃ったら、管轄のハローワーク(公共職業安定所)で失業保険の受給手続きを行います。受給できるかどうかは、雇用保険の加入期間などの要件を満たせば、ハローワークが判断します。
手続きが終わったら、再就職に向けた準備を進めます。これには、履歴書の作成や、これまでの経験を整理する作業が含まれます。
最後に、求職活動を開始します。諭旨解雇という経緯がある場合でも、要件を満たせば、ハローワークなどの窓口を通じて仕事を探すことは可能です。
ただし、手続きの進め方は、状況によって異なる場合があります。以下に、一般的な流れから外れる主なケースを挙げます。
- 会社との合意に至らず、解雇を争う場合:諭旨解雇の提案を拒否し、通常の解雇として争う際は、労働基準法に基づく手続きや法的手段が必要になります。
- 離職理由の記載に相違がある場合:離職票の理由が事実と異なる場合は、ハローワークの窓口で異議を申し立てるなどの対応が求められます。
- 失業保険の受給が制限される場合:自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇と判断されると、待期満了後3か月の給付制限があります。ただし、会社側の事情による場合は異なります。
- 試用期間中の場合:試用期間中であっても、14日を超えて勤務している場合は、解雇予告の規定が適用されるのが原則です。
参考:労働基準法 第20条(解雇の予告)(e-Gov法令検索)|デジタル庁
解雇の手続きで確認しておくべき期限
解雇の手続きが進む際、会社側が守るべきルールがあります。
これには、解雇を予告するタイミングや、予告ができない場合の支払いに関する決まりが含まれます。

会社が解雇を行う場合、原則として30日前前に予告をする必要があります。
ただし、予告の日数が足りない場合は、不足する日数分の平均賃金を支払うことで、予告に代えることが可能です。
予告をせずに、即座に解雇を行う場合には、会社は労働者に対して解雇予告手当を支払わなければなりません。
手当の金額は、30日分以上の平均賃金が基準となります。
ただし、解雇予告手当の支払いが不要になる例外的なケースもあります。
天災事変その他やむを得ない事由により事業の継続が不可能になった場合などが該当します。
また、労働者の責めに帰すべき事由による解雇の場合も、例外となる可能性があります。
ただし、労働者の責めに帰すべき事由による解雇で手当を支払わない場合には、労働基準監督署長の認定が必要です。
認定がないまま支払わないと、労働基準法違反となる恐れがあります。
万が一、未払いの手当がある場合は、裁判所への請求により、同額の付加金の支払いが命じられることもあります。
付加金の請求には期限があり、違反のあった時から3年以内に行う必要があります。
なお、解雇自体が制限される期間についても注意が必要です。
業務上の負傷や疾病により療養のために休業している期間、およびその後30日間は、解雇することができません。
ただし、業務外の私傷病による休職期間には、この解雇制限は適用されません。
また、試用期間中の労働者であっても、14日を超えて継続して使用されている場合は、解雇予告の規定が適用されます。
ご自身の状況がどのケースに該当するかは、事前の確認が要ります。
| 項目 | 内容 | 根拠となる法律 |
|---|---|---|
| 解雇の予告 | 30日前前に予告を行う | 労働基準法 第20条 |
| 解雇予告手当 | 30日分以上の平均賃金 | 労働基準法 第20条 |
| 予告なしの例外 | 行政官庁の認定などが必要 | 労働基準法 第20条 |
(もとにした一次情報と確認日:労働基準法 第20条)
参考:労働基準法 第20条(解雇の予告)|e-Gov法令検索(デジタル庁)
解雇の予告や手当に関するルール
解雇のルールには、労働者を守るための期間の定めがあります。
会社が解雇を行う際、どのような状況で制限がかかるのかを整理しました。

業務上の理由で病気やケガをして休んでいる場合は、注意が必要です。
療養のために休んでいる期間と、その後の 30日間 は、解雇が制限されます。
ただし、この制限は仕事が原因の負傷や疾病(業務上の事由)に限られます。
私傷病(仕事が原因ではない病気やケガ)による休職には、この規定は適用されません。
また、試用期間中の人についても、解雇予告のルールが適用される場合があります。
試用期間中の者であっても、 14日 を超えて働き続けている場合は、解雇予告の規定が適用されます。
解雇予告の手続きや手当に関して、法律で定められた基準は以下の通りです。
| 項目 | 内容 | 根拠となる法律 |
|---|---|---|
| 解雇の予告 | 30日前 | 労働基準法 第20条 |
| 解雇制限期間 | 30日間 | 労働基準法 第19条 |
| 試用期間の例外 | 14日 | 労働基準法 第21条 |
| 付加金の請求期限 | 3年以内 | 労働基準法 第114条 |
(もとにした一次情報:労働基準法)
解雇予告の手続きには、予告日数と手当の支払いを組み合わせる方法もあります。
例えば、予告の日数が足りない場合、不足する日数分の平均賃金を支払えば、その予告日数を経過した日に解雇できます。
一方で、予告なしの解雇を行う場合は、 30日分以上分以上の平均賃金を支払う必要があります。
ただし、天災事変や労働者の重大な過失による解雇など、例外的なケースも存在します。
なお、労働者の責めに帰すべき事由による解雇で、手当の支払いが不要となるには、
行政官庁の認定が必要となる場合があります。ご自身の状況が該当するかは確認が必要です。
解雇予告手当の支払いをめぐって争いになった場合、裁判所が判断を下すことがあります。
会社が規定に違反して手当を支払わなかったときは、未払金と同額の付加金の支払いが命じられるケースがあります。
この付加金を請求できる期間は、違反があった時から 3年以内 です。
期限を過ぎると請求できなくなるため、事前の確認が要ります。
参考:労働基準法 第20条(e-Gov法令検索)|デジタル庁
会社とのやり取りで困ったときの相談先
会社との話し合いで、納得がいかない状況になったときの相談先をまとめました。

状況によって、相談できる窓口や、相談できる内容の範囲が異なります。
会社との交渉や金銭の請求を考えている場合
解雇の無効を訴えたり、未払いの手当を請求したりしたい場合は、弁護士への相談が適しています。
弁護士は、法律に基づいて相手方と交渉する権限を持っています。
一方で、弁護士資格や労働組合としての交渉権限がない退職代行業者は、会社との交渉や金銭請求を代行できません。これは、弁護士でない者が報酬目的で法律事務を扱うことを原則禁止する、弁護士法第72条に関わるためです。
解雇予告手当の未払いや、裁判所による付加金の請求を検討する場合は、早めに専門家へ相談しましょう。ただし、付加金の請求には期限があるため注意が必要です。
労働条件や手続きについて確認したい場合
解雇の手続きが法律通りか、離職票が正しく発行されるかなどを確認したいときは、労働局やハローワークが窓口になります。
労働局の「総合労働相談コーナー」では、労働問題に関する相談を受け付けています。労働条件のトラブルや、解雇に関する法的な仕組みについて相談が可能です。
ハローワークでは、失業保険の受給に関する手続きや、離職理由の確認について相談できます。給付制限の有無は単純な「自己都合」「会社都合」の区分ではなく、ハローワークが決定する離職理由によって変わります。
ただし、個別のトラブルに対して、行政が会社に直接的な命令を下すとは限りません。具体的な解決策については、管轄の窓口で確認してください。
相談先を選ぶ際のポイント
相談先を選ぶ際は、「何を解決したいか」を明確にすることが大切です。金銭的な争いや法的権利の主張が目的であれば、弁護士が有力な選択肢となります。
一方で、手続きの進め方や、制度の仕組みを教えてほしいといった場合は、行政の窓口が適しています。ただし、行政窓口はあくまで助言や指導を行う場であり、個別の紛争を解決する強制力を持たない場合があります。
まずは、自分が「法律的な争い」をしたいのか、「制度の確認」をしたいのかを整理してから、適切な窓口へ連絡するようにしましょう。
解雇や再就職に関するよくある勘違い
諭旨解雇になると、二度と再就職はできないのでしょうか。
いいえ、諭旨解雇を受けたからといって、再就職が法律で禁止されることはありません。新しい職場を探す権利は、解雇の理由にかかわらず維持されます。
ただし、履歴書への記載や前職の調査により、採用選考に影響が出る可能性はあります。
解雇の予告期間を満たさない場合は、解雇予告手当はもらえませんか。
いいえ、30日前までに予告しない場合は、30日分以上から予告日数を差し引いた日数分の平均賃金を支払う必要があります。ただし、労働者の責に帰すべき事由による解雇など、一部の例外があります。
例外に該当するかは、行政官庁の認定が必要となる場合があります。
試用期間中であれば、いつでも予告なしで解雇できるのでしょうか。
いいえ、試用期間中であっても、継続して14日を超えて雇用されている場合は、解雇予告の規定が適用されます 。試用期間中だからといって、無条件に予告なしの解雇が認められるわけではありません。
離職票の離職理由を、自分の希望通りに書き換えてもらうことはできますか。
いいえ、会社が事実と異なる離職理由を記載することは適切ではありません。離職理由によって失業保険の受給条件が変わるため、記載内容に疑問がある場合は、管轄のハローワークへ相談してください。
ハローワークでは、離職理由の確認や手続きの相談を受け付けています。
解雇された場合、会社に対してすぐに金銭の支払いを求めてもよいですか。
はい、解雇予告手当などの法的な支払義務がある場合は、会社に直接支払いを求めることができます。解雇予告手当の未払いについて付加金を裁判上請求する場合、違反があった時から3年以内以内に行う必要があります。
ただし、具体的な解決には専門的な判断が不可欠です。
まとめ
諭旨解雇に関する重要事項を整理しました。解雇のルールには、状況に応じた例外が存在します。
業務上の負傷などで療養している期間や、その後の 30日間 は、原則として解雇が制限されます。ただし、私傷病による休職にはこの制限は適用されません。
試用期間中の場合でも、継続して 14日を超えて働いているなら、解雇予告の規定が適用されます。予告を行わない場合は、30日分以上分以上の平均賃金の支払いが必要です。
参考:労働基準法 第20条|e-Gov法令検索(デジタル庁)
解雇予告手当の未払いで裁判を行い、付加金の支払いが命じられた場合、その請求は違反のあった時から 3年以内 に行う必要があります。
離職理由に疑問があるときは、管轄のハローワークへ相談してください。会社との交渉が必要な場合は、弁護士への相談も検討しましょう。諭旨解雇を受けたとしても、再就職が法律で禁止されることはありません。
手続きの詳細は、退職の手続きに関する解説や、失業保険の仕組みもあわせて確認してください。
この記事の根拠(本文内23か所・台帳5項目・一次資料1件)
制度の数値(台帳から出しています)
- 試用期間中に解雇予告が要らなくなる上限(労働基準法第21条)14日時点:2026-08確認:2026-08-19e-Gov法令検索(デジタル庁)|労働基準法 第21条
- 解雇の予告が必要な日数(労働基準法第20条)30日前時点:2026-08確認:2026-08-19e-Gov法令検索(デジタル庁)|労働基準法 第20条(解雇の予告)
- 解雇予告手当の日数(予告しない場合・労働基準法第20条)30日分以上時点:2026-08確認:2026-08-19e-Gov法令検索(デジタル庁)|労働基準法 第20条(解雇の予告)
- 付加金を請求できる期限(違反のあった時から・労働基準法第114条)3年以内時点:2026-08確認:2026-08-24e-Gov法令検索(デジタル庁)|労働基準法 第114条ただし書・附則第143条第2項
- 解雇してはならない期間(療養・産前産後の休業後・労働基準法第19条)30日間時点:2026-08確認:2026-08-19e-Gov法令検索(デジタル庁)|労働基準法 第19条(解雇制限)
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