失業保険を自己都合でもらうための条件

失業保険を自己都合で退職したとき、もらえないことはありませんか

自己都合で退職した方でも、要件を満たせば失業保険(基本手当)を受け取れます。ただし、会社都合の退職とは異なり、給付が始まるまでに一定の待ち時間が発生する場合があります。この記事では、受給の条件や自己都合による制限について解説します。

  • 自己都合退職でも受給資格があれば基本手当は支給されます
  • 給付制限期間があるため、受給開始時期が遅れることがあります
  • 離職理由によって、給付制限の長さが変わる場合があります

最終更新: / 出典: 厚生労働省

自己都合で退職した場合でも、雇用保険の加入期間などの条件を満たしていれば、基本手当を受け取ることが可能です。

ただし、会社都合の離職とは異なり、一定の待期期間や給付制限期間が設けられる点に注意が必要です。

受給の可否やタイミングは、離職理由や過去の離職歴によって変動します。

参考:雇用保険法|e-Gov法令検索

読みどころは、受給を開始できる期間の期限です。

所定の給付日数が残っていても、この期間を過ぎると支給されなくなるため、早めの手続きが求められます。

ただし、妊娠や出産、育児などの理由で働けない場合は、受給期間を延長できる仕組みもあります。

失業保険の受給条件と法律の決まり

失業保険とは、働く意思と能力があるにもかかわらず、仕事に就けない状態の人に支給される制度です。主な給付として、基本手当(失業の状態にある期間に、一定の条件を満たしたときに支払われる手当)があります。

基本手当には、原則として離職前2年間に被保険者期間が12か月以上あることなどの要件があります。ただし、離職理由によっては給付制限が適用される場合もあります。

基本手当の受給に関する法律の決まり

基本手当の支給については、雇用保険法によってルールが定められています。受給にあたっては、まず「失業していること」の証明が必要です。

雇用保険法第21条では、受給にあたっての待期期間について次のように定めています。

基本手当は、受給資格者が当該基本手当の受給資格に係る離職後最初に公共職業安定所に求職の申込みをした日以後において、失業している日(疾病又は負傷のため職業に就くことができない日を含む。)が通算して七日に満たない間は、支給しない。

引用:雇用保険法 第21条(e-Gov法令検索)

読みどころは、求職の申し込みをした後に、7日間の待期期間が必要であるという点です。

また、基本手当の受給期間は、離職日の翌日から起算して原則として1年です。ただし、妊娠・出産・育児などの理由で30日以上就業できない場合は、その日数を加算できます。加算後の期間は最長で4年です。

受給期間の延長は自動ではありません。厚生労働省令の定めるところにより、公共職業安定所長に申し出る必要があります。

なお、60歳以上の定年退職等の場合は、求職の申し込みをしない期間(1年を限度)を合算できる仕組みがあります。

基本手当の金額が決まる仕組み

基本手当の金額は、離職前を基準とした賃金日額をもとに計算されます。賃金日額とは、原則として離職前6か月間の賃金総額を、180で割った1日あたりの金額です。

基本手当日額は、年齢や賃金の額によって上限額や下限額が決まっています。年齢区分によって、適用される上限額が異なる点に注意が必要です。

基本手当日額の基準
区分 上限額 下限額
29歳以下 7,450円 2,562円
30〜44歳 8,270円 2,562円
45〜59歳 9,110円 2,562円
60〜64歳 7,830円 2,562円

基本手当日額は、賃金日額の範囲内で決定されます。

給料が高いほど、もらえる割合は下がる1日にもらえる額8,270円2,562円16,540円賃金日額→もし割合が下がらなければ実際の額ここから下がる上限は30〜44歳16,540円から上は増えません
賃金日額から基本手当日額が決まるまで制度の適用時点:令和8年8月1日/確認日:2026-08-10/出典:厚生労働省

図を見ると、賃金日額がいくらであるかによって、基本手当日額がどのように決まるかがわかります。

賃金日額の基準
区分 上限額 下限額
29歳以下 14,900円 3,203円
30〜44歳 16,540円 3,203円
45〜59歳 18,220円 3,203円
60〜64歳 17,400円 3,203円

厚生労働省「雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ」

参考:雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ[PDF]|厚生労働省

自分が失業保険をもらえるか確認する基準

基本手当を受け取るためには、離職理由や雇用保険の加入期間などの要件を満たす必要があります。ご自身の状況が、以下のどの立場に当てはまるかを確認してください。

離職の理由による違い

離職の理由によって、受給までの流れや、給付が始まる時期が変わります。まずは、ご自身の離職理由がどちらの区分に近いかを確認してください。

離職理由による区分の例
区分 離職理由の例 給付の仕組み
特定受給資格者 倒産、解雇、契約満了など 給付制限なし
特定理由離職者 正当な理由のある自己都合など 給付制限あり
自己都合離職者 自身の希望による退職など 給付制限あり

厚生労働省「雇用保険の具体的な手続き」をもとに作成

自己都合離職者の場合、原則として1か月の給付制限があります。ただし、直前5年間に正当な理由のない自己都合退職が2回以上ある場合は、制限が3か月となるため注意が必要です。

離職理由の判定は、管轄のハローワークが行います。ご自身のケースがどの区分に該当するかは、ハローワークで確認してください。

ただし、離職票の記載内容と実際の状況が異なる場合は、速やかに申し出る必要があります。

受給できる期間と手続きの期限

基本手当を受け取れる期間には、原則として期限があります。また、受給にあたっては、まず7日間の待期期間を終える必要があります。

基本手当の受給期間は、離職日の翌日から起算して1年です。この期間を過ぎると、所定給付日数が残っていても支給されません。

ただし、妊娠や出産、育児などの理由で、引き続き30日以上職業に就けないときは、受給期間を延長できる場合があります。延長後の期間は、最長で4年です。

延長は自動ではないため、公共職業安定所長に申し出る必要があります。

また、60歳以上の定年退職などの場合は、求職の申し込みをしない期間(1年を限度)を合算できる仕組みもあります。受給手続き後は、4週間ごとに失業の認定を受ける必要があります。

認定日から振込までの日数は、通常5営業日程度です。

参考:雇用保険の具体的な手続き|厚生労働省

自己都合退職で給付が制限されるケース

離職の理由によって、基本手当が支給されるまでの期間が異なります。ご自身の状況が、以下のどちらのケースに該当するかを確認してください。

自己都合による退職の場合

自身の意思で退職した場合は、原則として給付制限が適用されます。この制限により、一定期間は基本手当を受け取ることができません。

  • 自己都合による退職の場合、原則として 1か月 の給付制限があります
  • その退職を除く直前5年間に、正当な理由のない自己都合退職が2回以上ある場合は、3か月 の給付制限となります
  • 失業の認定は、原則として 4週間 ごとに行われます
会社の都合なら、待つのは7日だけ待期7日会社都合基本手当が出る自己都合1か月基本手当が出るくり返し3か月茶色は出ない期間、青緑は出る期目もりは実際の日数どおりですそのあと認定日5営業日4週間後
退職の理由でどれだけ待つかが変わる制度の適用時点:令和8年8月1日/確認日:2026-08-10/出典:厚生労働省

退職の理由によって、待期期間のあとに待たされる期間が変わります。

会社都合による退職の場合

倒産や解雇など、会社側の事情で退職した場合は、自己都合による退職とは扱いが異なります。この区分では、自己都合の場合のような給付制限は適用されません。

ただし、離職理由の判定は管轄のハローワークが行います。離職票に記載された理由が、自身の認識と異なる場合は、速やかにハローワークへ相談してください。

また、令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合は、一定の条件を満たすことで給付制限が解除され、基本手当を受給できる仕組みがあります。

参考:令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます|厚生労働省

給付制限の有無は、離職票の「離職理由」欄に基づき決定されます。自己都合であっても、病気や家族の介護など「正当な理由」があると認められれば、制限を受けない可能性があります。

具体的な判定基準や、自身の離職理由がどちらに該当するかについては、最寄りの公共職業安定所(ハローワーク)の窓口で確認することをおすすめします。

失業保険の対象外だったときに検討できること

基本手当の受給要件を満たさない場合でも、状況によっては別の制度や手当が検討の対象になります。ご自身の現在の状況に合わせて、以下の選択肢を確認してください。

まずは、早期に再就職が決まった場合の制度を確認しましょう。再就職手当は、一定の要件を満たして早くに仕事に就いたときに支払われる手当です。

再就職手当の主な支給要件は以下の通りです。ただし、厚生労働省令で定める安定した職業に就くことや、公共職業安定所長が必要と認めることが条件となります。

  • 支給残日数が、所定給付日数の 3分の1以上 であること

再就職手当は、要件を満たせば支給される可能性があります。ただし、過去に就業促進手当を受けたことがある場合などは、支給されないことがあります。

次に、健康保険の継続について検討します。退職後の健康保険には、主に以下の選択肢があります。

会社で加入していた健康保険を、退職後も継続して利用できる「任意継続」という仕組みがあります。また、お住まいの市区町村が運営する「国民健康保険」に加入する方法もあります。

どちらの制度を利用するかは、保険料の負担額や加入条件によって異なります。ご自身の状況に合うものを、管轄の窓口で確認してください。

また、基本手当の受給期間についても注意が必要です。原則として、離職日の翌日から 1年 間が受給期間となります。

この期間を過ぎると、所定給付日数が残っていても支給されません。ただし、妊娠・出産・育児などの理由で引き続き30日以上職業に就けないときは、その日数を加算できます。

加算後の期間は、最長で 4年 までです。なお、60歳以上の定年等の場合は、求職の申込みをしない期間(1年を限度)を合算できる仕組みもあります。

延長は自動ではないため、厚生労働省令の定めるところにより公共職業安定所長へ申し出る必要があります。手続きの詳細は、ハローワークの窓口で確認しましょう。

なお、令和7年4月以降は、対象となる教育訓練等を受講し、申し出た場合に給付制限が解除される仕組みがあります。詳細は厚生労働省の情報を参照してください。

参考:令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます|厚生労働省

失業保険の受給に関するよくある勘違い

自己都合で辞めたら、失業保険は一切もらえませんか

いいえ、自己都合による退職であっても、要件を満たせば基本手当を受け取れます。離職理由が自己都合の場合、1か月の給付制限がかかることがありますが、制限期間が終われば支給対象となります。

ただし、退職前5年間に正当な理由のない自己都合退職が2回以上ある場合は、3か月の制限が適用されるため注意が必要です。

離職理由によって、待期期間の長さが変わりますか

いいえ、待期期間の長さは離職理由にかかわらず共通です。待期期間は、離職票を提出して求職を申し込んだ受給資格決定日から通算7日間です。

離職理由によって変わるのは、給付制限の有無や、基本手当が支給されるまでの期間です。受給期間の計算についても、離職理由により条件が異なる場合があります。

ハローワークへの登録や求人情報の閲覧だけで、求職活動実績になりますか

いいえ、登録しただけでは求職活動実績になりません。求人情報の閲覧も、実績には含まれません。求人への応募や、許可を受けた職業紹介事業者による職業相談などが対象となります。

実績として認められる具体的な内容は、ハローワークの窓口で確認してください。自己判断で活動を止めてしまうと、失業の認定が受けられない可能性があります。

待期期間中にアルバイトをすると、待期期間がやり直しになりますか

いいえ、待期期間中に就労したとしても、期間が最初からやり直しになることはありません。ただし、就労した日は待期期間の7日に算入されません。

失業している日が通算で7日に達するまで、待期期間の満了が後ろにずれる仕組みです。短時間の内職・手伝いは待期に算入される場合があるため、就労状況をハローワークへ申告してください。

退職代行サービスを使えば、会社と交渉して受給条件を変えられますか

いいえ、退職代行サービスに、会社と交渉する権限はありません。離職理由の判定や、給付に関する交渉が必要な場合は、弁護士へ相談してください。退職代行では、法律に基づいた交渉は扱えません(弁護士法72条)。

離職票に記載される離職理由が事実と異なる場合は、ハローワークの窓口で相談し、会社へ事実確認を求める手順が必要です。代行業者にすべてを任せきりにするのは避けましょう。

参考:ハローワークインターネットサービス|雇用保険の具体的な手続き | 厚生労働省|厚生労働省

まとめ

この記事の要点は以下の通りです。

  • 自己都合退職でも、要件を満たせば基本手当を受け取れます。
  • 離職理由が自己都合の場合、原則 1か月 の給付制限がかかります。
  • ただし、直前5年間に正当な理由のない自己都合退職が2回以上ある場合は 3か月 になります。
  • 待期期間 7日 は離職理由にかかわらず共通です。
  • 待期期間中に就労した日は、待期期間の算入から除外され、満了日が後ろにずれます。
  • 求職活動の実績は、求人情報の閲覧だけでは認められません。
  • 退職代行サービスには、会社と離職理由などを交渉する権限はありません。

失業保険の受給期間は、離職日の翌日から原則 1年 です。ただし、妊娠や出産などの理由で働けない場合は、公共職業安定所へ申し出ることで、最長 4年 まで延長できる場合があります。

失業保険の仕組みや手続きについて、より詳しく知りたい方は失業保険の解説ページも参考にしてください。

この記事の根拠(本文内45か所・台帳18項目・一次資料4件)

制度の数値(台帳から出しています)

一次資料

数値は一次情報で確かめてから台帳に入れています(情報源について)。リンク先の内容が変わっているのを見つけたら訂正の受付までお知らせください。

この記事の編集責任者

JPSM INTERNET SERVICE 代表

小笠原 治輝おがさわら はるき

休職から退職までの手続きを自分で経験しました。傷病手当金の申請、雇用保険の受給期間延長、健康保険と年金の切り替えを実際に進めた経験があります。記事は、厚生労働省・e-Gov法令検索・ハローワークの一次情報と突き合わせて確認しています。