失業保険をパートがいくらもらえるか計算の仕組み

失業保険をパートがいくらもらえるか

パートやアルバイトの方が失業保険(基本手当)をいくら受け取れるかは、離職直前の賃金日額と雇用保険の加入期間によって決まります。この記事では、受給できる条件や金額の計算方法、社会保険の加入状況による違いをまとめています。

  • 基本手当日額は、離職前6か月間の賃金に基づき計算されます
  • 受給できる金額には、年齢や賃金に応じた上限と下限があります
  • 雇用保険の被保険者として、一定期間の加入が必要です

最終更新: / 出典: 厚生労働省

失業保険をパートがいくらもらえるか決まる仕組み

パートとして働いていた人が失業保険(雇用保険)を受け取る場合、もらえる金額は一定の計算に基づきます。

支給されるのは基本手当です。この金額は、退職前の賃金日額(退職直前の賃金を1日あたりの金額に換算したもの)によって決まります。

基本手当を受け取れる条件

基本手当は、働く意思と能力があるにもかかわらず、仕事に就けない失業状態の人に支給されます。

雇用保険の被保険者として、一定期間の加入実績が必要です。ただし、離職理由や加入期間によって、もらえる日数や条件が変わります。

自己都合による退職の場合、原則として1か月の給付制限期間があります。ただし、正当な理由がある場合などは例外となります。

なお、離職理由が自己都合であっても、教育訓練等を受ける場合などは給付制限が解除されるケースがあります。ただし、条件の詳細はハローワークでの確認が必要です。

また、直前5年間に正当な理由のない自己都合退職が2回以上ある場合は、給付制限が3か月となる場合もあります。

基本手当が決まる仕組み

基本手当日額は、賃金日額をもとに計算されます。賃金日額には、年齢や収入に応じた上限と下限が設けられています。

基本手当日額には、全年齢共通の下限額と、年齢ごとの上限額があります。

図は、賃金日額から基本手当日額が算出されるまでの流れを示しています。

賃金日額の上限と基本手当日額の範囲
区分 賃金日額の上限 基本手当日額の範囲
29歳以下 14,900円 2,562円7,450円
30〜44歳 16,540円 2,562円8,270円
45〜59歳 18,220円 2,562円9,110円
60〜64歳 17,400円 2,562円7,830円

厚生労働省(確認日:2026-08-23)

表に示した通り、年齢によって上限額が異なります。ご自身の状況に合う範囲を確認してください。

参考:雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ[PDF]|厚生労働省

基本手当の受給期間は、離職日の翌日から原則として1年です。ただし、この期間を過ぎると、所定給付日数が残っていても支給されません。

妊娠や出産、育児などの理由で引き続き30日以上働けない場合は、公共職業安定所長へ申し出ることで、最長4年まで延長できる場合があります。

また、受給中に早く再就職が決まった場合、一定の条件を満たせば「再就職手当」を受け取れる可能性があります。

支給残日数が所定給付日数の3分の1以上であることなど、複数の要件を満たす必要があります。ただし、過去に受給歴がある場合などは対象外となることもあります。

給料が高いほど、もらえる割合は下がる1日にもらえる額8,270円2,562円16,540円賃金日額→もし割合が下がらなければ実際の額ここから下がる上限は30〜44歳16,540円から上は増えません
賃金日額から基本手当日額が決まるまで制度の適用時点:令和8年8月1日/確認日:2026-08-10/出典:厚生労働省

自分が失業保険を受け取れるか確認する条件

基本手当を受け取るには、離職理由やこれまでの加入状況によって、いくつかの条件を満たす必要があります。ご自身の状況が、以下のどちらの立場に近いかを確認してください。

離職の理由による違い

離職の理由によって、手続きの進み方や、給付が始まるまでの期間が変わります。まずは、ご自身がどのような理由で退職したのかを整理しましょう。

離職理由による待期期間と給付制限の例
離職の理由 待期期間 給付制限
会社都合など 7日 なし
自己都合(原則) 7日 1か月
自己都合(繰り返し) 7日 3か月

離職理由によって、受給までの待ち時間が異なることがわかります。ただし、自己都合であっても、教育訓練等を受ける場合などは給付制限が解除されるケースがあります。

参考:令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます|厚生労働省

会社の都合なら、待つのは7日だけ待期7日会社都合基本手当が出る自己都合1か月基本手当が出るくり返し3か月茶色は出ない期間、青緑は出る期目もりは実際の日数どおりですそのあと認定日5営業日4週間後
退職の理由でどれだけ待つかが変わる制度の適用時点:令和8年8月1日/確認日:2026-08-10/出典:厚生労働省

受給までの流れと振込の目安

離職した後は、管轄のハローワークで手続きを行います。手続きの進み方は、離職理由やその後の状況によって変わるため、事前の確認が要ります。

手続きに関する数値の目安
項目 内容 備考
待期期間 7日 共通の期間
自己都合の給付制限 1か月 原則の期間
繰り返しの給付制限 3か月 直前5年間の実績による
振込までの日数 5営業日 認定日から数えて
最低保障の率 70% 時給・日給などの場合

手続きの完了後、認定を受けた日から振込が行われるまでの目安は、表の通りです。失業の認定は、通常4週間の間隔で行われます。

なお、基本手当の受給期間は、離職日の翌日から原則として1年です。ただし、妊娠や出産などの理由で働けない場合は、最長で4年まで延長できる場合があります。

受給期間の延長は自動で行われません。妊娠・出産や育児などの理由で引き続き30日以上職業に就けないときは、公共職業安定所長に申し出る必要があります。

また、60歳以上の定年退職などの場合は、求職の申込みをしない期間を1年を限度として合算できる仕組みもあります。ご自身の状況に合わせて、窓口で詳細を確認しましょう。

参考:ハローワークインターネットサービス|雇用保険の具体的な手続き|厚生労働省


参考:雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ[PDF]|厚生労働省

社会保険の加入条件と失業保険の関係

パートやアルバイトとして働く場合、社会保険の加入条件によって、退職後の生活設計が変わることがあります。

特に、健康保険や厚生年金保険の被保険者(保険の対象となる人)になっているかどうかは、重要な分かれ目です。

社会保険の加入には、主に2つの基準があります。1つは、通常の労働者と比較して、労働時間や日数が一定の割合以上であることです。

この基準は、勤務先の規模に関係なく適用されます。具体的には、週の所定労働時間および1月の所定労働日数が、通常の労働者の 4分の3 以上であれば、被保険者となります。

もう1つの基準は、勤務先の規模によるものです。特定適用事業所で働く短時間労働者は、以下の要件に加え、原則として学生でなく、2か月を超えて雇用される見込みがあると加入対象になります。

短時間労働者が社会保険に加入する要件
要件の項目 基準となる数値 備考
週の所定労働時間 20時間 契約上の勤務時間で判定
月額の所定内賃金 88,000円 令和8年10月に撤廃予定
特定適用事業所の規模 51人 現在の基準
特定適用事業所の規模(将来) 36人 令和9年10月からの基準

日本年金機構(確認日:2026-08-23)

なお、特定適用事業所の範囲は段階的に拡大されています。現在は 51人 以上の企業等が対象ですが、令和9年10月からは 36人 以上の企業等でも、要件を満たせば加入の対象となります。

参考:短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大|日本年金機構


参考:適用事業所と被保険者|日本年金機構

雇用期間が 2か月 以内の短期契約の場合は、原則として被保険者とはなりません。ただし、契約更新によりその期間を超える見込みがある場合は、契約当初から被保険者となります。

健康保険・厚生年金保険への加入状況そのものは、失業保険の受給額を計算する際の基礎となる賃金には影響しません。ご自身の契約内容が、上記のどの基準に該当するか、事前に確認が必要です。

加入条件の判定には、就業規則や雇用契約書で定められた「週の所定労働時間」が用いられます。契約上の時間が 20時間 に満たなくても、通常の労働者の4分の3以上働く場合などは健康保険の被保険者となり、傷病手当金の対象になり得ます。

また、月額賃金の判定では、賞与や時間外手当、通勤手当などは除外して計算します。正確な加入要件については、勤務先の担当部署や管轄の年金事務所へ確認することをおすすめします。

失業保険の対象外だった場合に検討できる制度

雇用保険の加入要件を満たせない場合は求職者支援制度などを検討でき、受給期間延長や再就職手当、給付制限解除は基本手当の受給資格がある人の仕組みです。

受給期間の延長が検討できる場合

基本手当の受給期間は、離職日の翌日から原則として 1年です。この期間を過ぎると、支給日数が残っていても受給はできなくなります。

ただし、妊娠や出産、育児などの理由で、引き続き30日以上職業に就けないときは、受給期間を延長できる仕組みがあります。延長後の期間は、最長で 4年までとなります。

また、60歳以上の定年退職などの場合は、求職の申込みをしない期間(1年を限度)を合算できる例外もあります。延長の手続きは自動ではありません。

厚生労働省令の定めるところにより、管轄の公共職業安定所長に申し出る必要があります。手続きの詳細は、ハローワークの窓口で確認してください。

参考:雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ|厚生労働省

再就職を早めることで検討できる場合

失業の状態が続いていても、早期に仕事が決まった場合には、再就職手当を受け取れる可能性があります。ただし、以下の要件だけでなく、待期満了後の就職などを含む所定の要件をすべて満たす必要があります。

  • 基本手当の支給残日数が、所定給付日数の 3分の1以上であること
  • 厚生労働省令で定める安定した職業に就いたこと
  • 公共職業安定所長が必要と認めること

早く就職すれば必ずもらえるわけではありません。就職日前3年以内の就職について再就職手当または常用就職支度手当を受けている場合は、対象外となります。要件の判定は、管轄のハローワークが行います。

参考:雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ|厚生労働省

給付制限の解除が検討できる場合

自己都合による離職の場合、原則として 1か月の給付制限期間がありますが、特定の条件を満たすことで、この制限が解除される場合があります。

例えば、令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合などが該当します。この場合、本来であれば制限がかかる場面でも、基本手当を受給できる仕組みが整えられています。

参考:令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます|厚生労働省

なお、直前5年間に正当な理由のない自己都合退職が2回以上ある場合は、制限が 3か月となるため注意が必要です。具体的な判断は、ハローワークの窓口で確認してください。

失業保険に関するよくある勘違い

基本手当は、病気やケガで働けない期間に支給されるものですか?

いいえ、基本手当は働く意思と能力があるのに仕事に就けない状態の人に支給されます。受給手続後に病気やケガで働けない期間が14日以内なら基本手当、15日以上なら原則として同額の傷病手当が支給されます。

離職理由によって、待期期間の長さは変わりますか?

いいえ、離職理由にかかわらず、待期期間は共通して 7日 間です。離職理由によって変わるのは、給付制限などの条件です。

ハローワークへの求職申し込みや、求人情報の閲覧だけで実績になりますか?

いいえ、求人情報の閲覧やハローワークへの登録だけでは、求職活動の実績にはなりません。求人への応募や、許可を受けた職業紹介事業者による相談などが対象です。

自己都合で辞めた場合、給付制限は必ず3か月間ですか?

いいえ、離職理由によっては給付制限がかからない場合もあります。直前5年間に2回以上の自己都合離職がある場合などは 3か月 の制限がかかります。

ただし、離職理由や状況により判定は異なります。詳細な判定は、管轄のハローワークが行います。

会社都合で辞めた人は、すべて「特定受給資格者」と呼ばれますか?

いいえ、倒産や解雇などは原則として「特定受給資格者」です。正当な理由がある自己都合離職などは「特定理由離職者」として区別されます。

ご自身の区分については、管轄のハローワークで確認してください。

失業保険の受給期間は、離職してから1年を過ぎるとどうなりますか?

原則として、基本手当の受給期間は離職日の翌日から 1年 です。この期間を過ぎると、たとえ所定給付日数が残っていても支給されなくなります。

ただし、妊娠・出産・育児などの理由で30日以上職業に就けないときは、受給期間を延長できる仕組みがあります。延長の手続きは、公共職業安定所長へ申し出る必要があります。

早く再就職が決まれば、必ず再就職手当がもらえますか?

いいえ、早く就職すれば必ずもらえるわけではありません。再就職手当の受給には、基本手当の支給残日数が 3分の1以上 であることなどの要件を満たす必要があります。

また、1年を超えて勤務することが確実であることなど、再就職手当のすべての支給要件を満たす必要があります。就職日前3年以内の就職について再就職手当または常用就職支度手当を受給している場合などは、支給されません。

参考:雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ[PDF]|厚生労働省

まとめ

  • 基本手当は、働く意思と能力があるのに仕事に就けない状態の人に支給されます。
  • 受給できる金額は、退職前の賃金日額によって決まります。
  • 離職理由によって、給付制限の有無や手続きの進み方が変わります。
  • 雇用保険の要件を満たせない場合でも、状況により別の制度が使えることがあります。
  • 受給手続後の病気やケガが14日以内なら基本手当、15日以上なら原則として同額の傷病手当が支給されます。

受給期間は原則として離職日の翌日から 1年 です。ただし、妊娠や出産などで30日以上働けない場合は、最長 4年 まで延長できる可能性があります。延長にはハローワークへの申し出が必要です。

また、早期に再就職が決まった際は、再就職手当を受け取れる場合があります。支給には、基本手当の支給残日数が所定給付日数の 3分の1以上であることなどの要件があります。

ただし、過去の受給状況等により支給されないケースもあります。

受給の手続きや金額の計算については、失業保険の計算ツールも活用してください。

制度の詳しい使い分けについては、失業保険の解説ページにまとめています。

この記事の根拠(本文内57か所・台帳24項目・一次資料6件)

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一次資料

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この記事の編集責任者

JPSM INTERNET SERVICE 代表

小笠原 治輝おがさわら はるき

休職から退職までの手続きを自分で経験しました。傷病手当金の申請、雇用保険の受給期間延長、健康保険と年金の切り替えを実際に進めた経験があります。記事は、厚生労働省・e-Gov法令検索・ハローワークの一次情報と突き合わせて確認しています。