病気で退職したあとに失業保険を受け取る手順
病気を理由に退職した人が、失業保険(基本手当)を受け取るための具体的な流れを解説します。体調が優れないなかで手続きを進めるのは大変ですが、離職票の準備やハローワークへの申請など、決まった手順があります。この記事では、いつまでに何をすべきかを整理しました。
- 離職票を会社から受け取る
- ハローワークで求職の申し込みをする
- 待期期間を経て失業認定を受ける
- 認定日から数日後に基本手当が振り込まれる

病気で退職したあとの失業保険受給までの流れ
病気で退職したあとに、基本手当(失業の状態にあるときに支給される手当)を受け取るまでの手順をまとめました。

受給までの流れは、大きく分けて次の5つの工程になります。
- 会社から離職票を受け取る
- ハローワークで求職の申し込みをする
- 待期期間(求職の申し込みをしたあとの、支給対象とならない期間)を過ごす
- 失業認定を受ける
- 基本手当を受け取る
離職票は、退職した会社からハローワークへ提出されたあとに発行されます。ただし、会社の手続き状況により到着まで時間がかかる場合があります。
離職票を提出して求職を申し込み、受給資格の決定を受けた日から、7日の待期期間が始まります。この期間は、基本手当の支給対象にはなりません。
待期期間終了後は、定期的な失業認定を受ける必要があります。認定の間隔は、原則として4週間です。
認定を受けたあとの振込時期は、5営業日程度が目安となります。ただし、振込日は金融機関の休業日によって前後します。
図からわかるように、退職の理由によって、給付制限の有無や期間が異なります。
自己都合による退職の場合、原則として1か月の給付制限がかかります。ただし、その退職を除く直前5年間に、正当な理由のない自己都合退職が2回以上ある場合は、3か月となります。
病気による退職の場合、要件を満たせば特定理由離職者として認められ、給付制限がかからないことがあります。受給期間は、離職日の翌日から原則として1年です。
もし病状により受給期間内に就職できない場合は、延長の手続きを検討してください。ただし、延長は自動ではなく、管轄のハローワークへ申し出る必要があります。加算後の上限は4年です。
ご自身の状況がどの区分に該当するかは、管轄のハローワークで確認してください。
なお、受給期間の延長には、病状により就職活動が困難であることなどの条件があります。また、妊娠・出産・育児などの理由で30日以上働けない場合も、受給期間の加算が可能です。
早期に再就職が決まった場合には、再就職手当を受け取れる可能性があります。ただし、支給残日数が3分の1以上であることなど、複数の要件を満たす必要があります。
基本手当日額には上限があり、年齢によって異なります。例えば、30〜44歳の場合は8,270円が上限です。
計算のもとになる賃金日額にも、年齢ごとの上限があります。30〜44歳であれば16,540円です。賃金日額に給付率を掛けて基本手当日額を求める方法や、賃金日額・基本手当日額それぞれの下限額については、管轄のハローワークへ詳細を確認してください。
手続きを忘れないための期限とスケジュール
基本手当を受け取る権利には、期限があります。期限を過ぎると、たとえ受給資格があっても支給されなくなります。

| 項目 | 期間 | 備考 |
|---|---|---|
| 受給できる期間 | 1年 | 離職日の翌日から起算 |
| 延長できる上限 | 4年 | 所定の手続きが必要 |
基本手当は、離職日の翌日から原則として1年の間、受給できる仕組みです。この期間を過ぎると、所定の給付日数が残っていても支給されません。
ただし、病気による療養などで引き続き30日以上職業に就けない場合などは、受給期間を延長できることがあります。延長後の期間は、最長で4年です。
受給期間の延長は自動で行われません。厚生労働省令に基づき、管轄の公共職業安定所長へ申し出る必要があります。妊娠、出産、育児などの理由も延長の対象となります。
延長の手続きには、病状を証明する書類が必要になる場合があります。具体的な必要書類や申請方法については、事前に管轄のハローワークへ相談することをおすすめします。
また、早くに仕事が決まった場合の「再就職手当」についても、期限と条件があります。再就職手当を受け取るには、基本手当の支給残日数が、所定給付日数の3分の1以上であることが要件の1つです。
再就職手当は、要件を満たせば支給されるものですが、厚生労働省令で定める安定した職業に就いたことなどが求められます。公共職業安定所長が必要と認める場合も対象となります。
ただし、早く就職すれば必ずもらえるわけではありません。過去に就業促進手当を受けたことがある場合など、受給状況によっては支給されないケースもあります。
受給期間の延長手続きについては、病状の回復具合や、今後の就職活動の見通しを伝えることが大切です。受給期間内に就職できない見込みがある場合は、早めの相談を検討してください。
ご自身の受給期間や、再就職手当の対象となるかについては、管轄のハローワークで詳細を確認してください。手続きの漏れを防ぐため、スケジュール管理を徹底しましょう。
参考:雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ[PDF]|厚生労働省
離職票の受け取りから受給開始までの手順
離職票が手元に届いたら、管轄のハローワークで手続きを行います。受給開始までの流れは、ご自身の現在の状況によって異なります。

離職票が届いてからハローワークへ行く場合
退職した会社から離職票が届いたあとに、手続きを進めるパターンです。まずは離職票と本人確認書類、写真などを持って、お住まいの地域を管轄するハローワークへ向かいます。
ハローワークでの手続きが終わると、待期期間である 7日 を経て、失業の認定を受けることになります。認定を受ける際は、賃金の計算や手続きの日程について、以下の数値が関係する場合があります。
- 時給・日給・出来高払の最低保障の率は 70%
- 失業の認定の間隔は、原則として 4週間
- 認定日から振込までの日数は、おおよそ 5営業日
なお、自己都合による退職の場合、原則として 1か月 の給付制限期間があります。ただし、直前5年間に正当な理由のない自己都合退職が2回以上ある場合は、3か月 となるため注意が必要です。
また、基本手当日額には上限があります。年齢によって異なり、30〜44歳では 8,270円、45〜59歳では 9,110円 と定められています。なお、60〜64歳の場合は 7,830円 です。
病気などで働けない期間がある場合
病気などの理由で、すぐに求職活動ができない状況にあるパターンです。この場合は、まず医師の診断書などをもとに、働ける状態にあるかを確認する必要があります。
受給の要件は「いつでも働ける状態にあること」です。そのため、病気で働けない期間は基本手当の対象外ですが、受給資格決定後の傷病なら雇用保険の傷病手当を受けられる場合があります。まずは体調を整えることが優先されます。
体調が回復し、働ける状態になってから、ハローワークで求職の申し込みを行います。受給のタイミングや手続きの進め方は、体調や医師の意見によって変わります。
もし、離職日の翌日から 1年 の受給期間のうちに働ける状態へ戻れない恐れがある場合は、期間が過ぎる前に受給期間の延長手続きを検討してください。延長は自動で行われません。公共職業安定所長へ申し出る必要があります。
延長により、受給期間は通算で最長 4年 となります。ただし、延長の対象となる理由は厚生労働省令で定められており、個別の判断が必要となります。
いまの状況によって変わる、失業保険の扱い
失業保険の給付額は、退職前の賃金に基づいて計算されます。計算の基準となるのは、賃金日額(1日あたりの賃金)です。

賃金日額は、年齢や退職前の給与額によって上限と下限が決まっています。以下の表に、それぞれの数値をまとめています。
| 区分 | 賃金日額 | 基本手当日額 |
|---|---|---|
| 29歳以下 | 3,203円 〜 14,900円 | 2,562円 〜 7,450円 |
| 30〜44歳 | 3,203円 〜 16,540円 | 2,562円 〜 8,270円 |
| 45〜59歳 | 3,203円 〜 18,220円 | 2,562円 〜 9,110円 |
| 60〜64歳 | 3,203円 〜 17,400円 | 2,562円 〜 7,830円 |
参考:雇用保険法 第17条(e-Gov法令検索)|e-Gov法令検索
この表から、年齢によって計算の基準となる金額の範囲が異なることがわかります。ただし、賃金日額の算出には、時給・日給・出来高払の最低保障の率(70%)が関係する場合もあります。
基本手当日額は、2,562円を下回ることはありません。
基本手当の受給期間は、原則として離職日の翌日から1年です。ただし、病気や出産などで働けない期間がある場合は、一定の条件を満たすことで受給期間の延長が可能です。
受給期間の延長は、厚生労働省令に基づき、公共職業安定所長(ハローワーク)へ申し出る必要があります。延長後の期間は、最長で4年までとなります。
退職後の生活を支えるための制度は、現在の立場によって適用されるルールが異なります。以下の表に、主なケースをまとめています。
| いまの立場 | 扱い | 次に見るところ |
|---|---|---|
| 正社員 | 雇用保険の被保険者 | 基本手当の受給 |
| 契約社員 | 雇用保険の被保険者 | 基本手当の受給 |
| パート・アルバイト | 雇用保険の要件により異なる | 基本手当の受給 |
| 休職中で在籍している人 | 社会保険の資格を継続 | 休職制度の確認 |
| 退職して任意継続を選んだ人 | 健康保険の資格を継続 | 保険料の支払い |
| 退職して国民健康保険に入った人 | 国民健康保険の被保険者 | 保険料の支払い |
| 家族の扶養に入った人 | 被扶養者 | 扶養の条件確認 |
| 産前産後・育児休業の人 | 社会保険の資格を継続 | 休業中の保険料 |
ご自身の状況がどのケースに該当するかは、管轄のハローワークで確認してください。
参考:雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ[PDF]|厚生労働省
手続きがうまくいかないときの相談先
病気で辞めた場合、自己都合退職として扱われ、給付制限がかかりますか。
病気や心身の障害による離職は、特定理由離職者に該当する場合があります。特定理由離職者として認められれば、給付制限がかからないことがあります。
ただし、離職理由の判定は管轄のハローワークが行います。診断書などの証明書類が必要になる場合があるため、事前に窓口へ確認してください。
退職代行業者に依頼すれば、会社と失業保険の手続きについて交渉してもらえますか。
いいえ、退職代行業者は会社と交渉する権限がありません。会社に対して、失業保険の離職理由の変更などを求める交渉が必要な場合は、弁護士へ相談してください。
退職代行業者では、法律で定められた交渉業務は扱えません(弁護士法72条)。
ハローワークのホームページで求人情報を閲覧すれば、求職活動実績になりますか。
いいえ、求人情報を閲覧しただけでは、求職活動実績にはなりません。求人への応募や、許可・届け出のある職業紹介事業者が行う職業相談などが対象です。
具体的な実績の数え方は、管轄のハローワークで確認してください。
待期期間中にアルバイトをしても、待期期間はやり直しになりませんか。
待期期間中に就労した日は、待期の 7日に算入されません。失業している日が通算で 7日に達するまで、待期の満了日は後ろにずれます。
ただし、待期期間の扱いについては、管轄のハローワークで詳細を確認してください。
基本手当は、病気で働けない期間の生活を支えるための手当ですか。
いいえ、基本手当は、働く意思と能力があるにもかかわらず、職業に就けない失業状態の人に支給されるものです。病気などで働けない状態が続いている間は、受給の要件を満たさないことがあります。
ご自身の状態が受給の対象になるかは、管轄のハローワークで確認してください。
受給期間が過ぎてしまったら、もう基本手当はもらえませんか。
基本手当の受給期間は、原則として離職日の翌日から 1年です。この期間を過ぎると、所定給付日数が残っていても支給されません。
ただし、妊娠・出産・育児などの理由で30日以上職業に就けないときは、受給期間を 4年を上限として延長できる場合があります。延長は自動ではないため、公共職業安定所長へ申し出る必要があります。
再就職手当は、早く就職すれば必ずもらえるものですか。
再就職手当は、一定の要件を満たした場合に支給されます。支給残日数が所定給付日数の 3分の1以上であることなどが条件の一つです。
ただし、厚生労働省令で定める安定した職業に就くことや、公共職業安定所長が必要と認めることが求められます。過去に受給歴がある場合など、条件により支給されないケースもあります。
参考:雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ[PDF]|厚生労働省
まとめ
病気による退職に関連する、失業保険の受給に関する要点は以下の通りです。
- 病気や心身の障害による離職は、要件を満たせば特定理由離職者に該当し、給付制限がかからないことがあります。
- 離職理由の判定や、受給の要件を満たしているかの判断は、管轄のハローワークが行います。
- 基本手当は、働く意思と能力があるにもかかわらず、職業に就けない失業状態の人に支給されるものです。
- 受給には期限があるため、退職後の手続きや受給期間の延長手続きは、早めの確認が必要です。
- 離職票が届いたあとに、管轄のハローワークで手続きを進めます。
基本手当の受給期間は、離職日の翌日から1年が原則です。ただし、病気などで働けない状態が続く場合は、ハローワークへ申し出ることで受給期間の延長ができる場合があります。延長後の期間は最長で4年です。
手続きに必要な書類や、具体的な流れについては、厚生労働省のハローワークインターネットサービスも参考にしてください。
この記事の根拠(本文内59か所・台帳19項目・一次資料4件)
制度の数値(台帳から出しています)
- 待期期間7日時点:令和8年8月1日確認:2026-08-10厚生労働省|ハローワークインターネットサービス|雇用保険の具体的な手続き
- 失業の認定の間隔4週間時点:令和8年8月1日確認:2026-08-10厚生労働省|ハローワークインターネットサービス|雇用保険の具体的な手続き
- 認定日から振込までの日数5営業日時点:令和8年8月1日確認:2026-08-10厚生労働省|ハローワークインターネットサービス|雇用保険の具体的な手続き
- 自己都合の給付制限(原則)1か月時点:令和8年8月1日確認:2026-08-10厚生労働省|令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます
- その退職を除く直前5年間に正当な理由のない自己都合退職が2回以上ある場合の給付制限3か月時点:令和8年8月1日確認:2026-08-10厚生労働省|令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます
- 基本手当の受給期間(離職日の翌日から・原則)1年時点:2026-08確認:2026-08-19e-Gov法令検索(デジタル庁)|雇用保険法 第20条第1項第1号(支給の期間及び日数)
- 受給期間を延長できる上限(加算後の期間・雇用保険法第20条第1項)4年時点:2026-08確認:2026-08-19e-Gov法令検索(デジタル庁)|雇用保険法 第20条第1項(支給の期間及び日数)
- 再就職手当の対象になる支給残日数(所定給付日数に対する割合)3分の1以上時点:2026-08確認:2026-08-19e-Gov法令検索(デジタル庁)|雇用保険法 第56条の3第1項第1号(就業促進手当)
- 基本手当日額の上限額(30〜44歳)8,270円時点:令和8年8月1日確認:2026-08-10厚生労働省|雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ[PDF]
- 賃金日額の上限額(30〜44歳)16,540円時点:令和8年8月1日確認:2026-08-10厚生労働省|雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ[PDF]
- 時給・日給・出来高払の最低保障の率(雇用保険法17条2項1号)70%時点:令和8年8月1日確認:2026-08-10e-Gov法令検索|雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第17条(賃金日額)
- 基本手当日額の上限額(45〜59歳)9,110円時点:令和8年8月1日確認:2026-08-10厚生労働省|雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ[PDF]
- 基本手当日額の上限額(60〜64歳)7,830円時点:令和8年8月1日確認:2026-08-10厚生労働省|雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ[PDF]
- 賃金日額の下限額(全年齢)3,203円時点:令和8年8月1日確認:2026-08-10厚生労働省|雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ[PDF]
- 賃金日額の上限額(29歳以下)14,900円時点:令和8年8月1日確認:2026-08-10厚生労働省|雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ[PDF]
- 基本手当日額の下限額(全年齢)2,562円時点:令和8年8月1日確認:2026-08-10厚生労働省|雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ[PDF]
- 基本手当日額の上限額(29歳以下)7,450円時点:令和8年8月1日確認:2026-08-10厚生労働省|雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ[PDF]
- 賃金日額の上限額(45〜59歳)18,220円時点:令和8年8月1日確認:2026-08-10厚生労働省|雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ[PDF]
- 賃金日額の上限額(60〜64歳)17,400円時点:令和8年8月1日確認:2026-08-10厚生労働省|雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ[PDF]
一次資料
- 厚生労働省|ハローワークインターネットサービス|雇用保険の具体的な手続き
- 厚生労働省|令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます
- e-Gov法令検索(デジタル庁)|雇用保険法 第20条第1項第1号(支給の期間及び日数)
- 厚生労働省|雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ[PDF]
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