障害者の失業保険をもらう手順と受給のタイミング

障害者の失業保険は、離職後の手続きを経て受給できます

障害のある方が失業保険(基本手当)を受け取るには、ハローワークでの求職申し込みなどの手続きが必要です。この記事では、離職した方がスムーズに給付を受けるための手順や、受給までの期間、注意すべき期限について解説します。

  • 離職後にハローワークで求職の申し込みを行う
  • 待期期間を経てから支給対象となる
  • 受給期間には原則として1年の期限がある
  • 状況により受給期間の延長ができる場合がある

最終更新: / 出典: 厚生労働省

障害者の失業保険を受け取るための5つの工程

障害のある方が基本手当(就職する意思と能力があり、求職中であるにもかかわらず職業に就けないときに支給される手当)を受け取るまでの流れは、大きく分けて5つの工程があります。

  1. 離職票(会社から発行される、離職したことを証明する書類)を準備する
  2. ハローワークで求職の申し込みと、障害の状態を伝える手続きを行う
  3. 待期(失業保険の支給が始まる前に、必ず経過しなければならない7日間)を終える
  4. 失業認定(ハローワークで、失業の状態にあることを確認する手続き)を受ける
  5. 基本手当の支給を受ける

ハローワークでの手続きでは、障害の状態を適切に伝えることが重要です。障害者手帳の提示が必要になる場合があります。

基本手当日額は、離職前の賃金に基づいて決まります。以下の表に、年齢や賃金による上限と下限の例をまとめました。

基本手当日額と賃金日額の基準
区分 基本手当日額 賃金日額
全年齢(下限) 2,562円 3,203円
29歳以下(上限) 7,450円 14,900円
30〜44歳(上限) 8,270円 16,540円
45〜59歳(上限) 9,110円 18,220円
60〜64歳(上限) 7,830円 17,400円

厚生労働省「雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ」を参考に作成

支給される金額は、賃金日額から算出されます。

給料が高いほど、もらえる割合は下がる1日にもらえる額8,270円2,562円16,540円賃金日額→もし割合が下がらなければ実際の額ここから下がる上限は30〜44歳16,540円から上は増えません
賃金日額から基本手当日額が決まるまで制度の適用時点:令和8年8月1日/確認日:2026-08-10/出典:厚生労働省

図は、賃金日額がどのように基本手当日額へ反映されるかの仕組みを示しています。

基本手当の受給期間は、原則として離職日の翌日から1年間です。ただし、事情により延長できる場合があります。

待期は7日ですが、妊娠・出産・育児などの理由で引き続き30日以上職業に就けないときは、その日数を受給期間に加算できます。加算後の期間は最長で4年です。

延長は自動で行われません。厚生労働省令の定めるところにより、公共職業安定所長に申し出る必要があります。

失業認定は、通常4週間の間隔で行われます。認定日から振込までの日数は、原則として5営業日です。

なお、自己都合による離職の場合、原則として1か月の給付制限があります。ただし、直前5年間に正当な理由のない自己都合退職が2回以上ある場合は、3か月となる場合があります。

手続きの際は、障害の状態によって受給できる条件や、求職活動の進め方が変わることがあります。事前の確認が要ります。

参考:雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ|厚生労働省


参考:ハローワークインターネットサービス|雇用保険の具体的な手続き|厚生労働省

手続きを遅らせないための期限とタイミング

基本手当を受け取るには、決められた期間内に手続きを進める必要があります。受給できる期間や、お金が振り込まれるまでの目安をまとめました。

基本手当に関する主な期間の目安
項目 期間の目安 備考
受給できる期間 1年 離職日の翌日から起算
失業の認定の間隔 4週間 ハローワークでの手続き
振込までの日数 5営業日 認定日から数えて

厚生労働省「雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ」を参考に作成

基本手当は、離職日の翌日から原則として1年の間、受給できる仕組みです。この期間を過ぎると、たとえ所定給付日数が残っていても支給されなくなります。

ただし、妊娠や出産、育児などの理由で、引き続き30日以上職業に就けないときは、その日数を加算できる場合があります。加算後の期間は、最長で4年です。

受給期間の延長は自動で行われません。厚生労働省令の定めるところにより、公共職業安定所長(ハローワーク)に申し出る必要があります。対象となる方は、早めに窓口へ相談してください。

また、60歳以上の定年などの場合は、求職の申込みをしない期間(1年を限度)を合算できる仕組みもあります。ご自身の状況に当てはまるかどうかは、事前の確認が要ります。

失業の認定は、4週間ごとに行われます。認定を受けた後、基本手当が振り込まれるまでは、おおよそ5営業日かかります。

なお、自己都合による離職の場合、原則として1か月の給付制限期間が発生します。ただし、直前5年間に正当な理由のない自己都合退職が2回以上ある場合は、3か月となるため注意が必要です。

手続きの際は、離職後すぐにハローワークへ行くことが大切です。離職票などの書類が届かない場合は、以前の勤務先に確認しましょう。書類が揃わないと、待期期間7日の開始も遅れる可能性があります。

また、受給中に就職が決まった場合、再就職手当の検討も必要です。支給残日数が3分の1以上あることが一つの要件となります。ただし、安定した職業への就職など、他にも条件があります。

再就職手当は、過去3年以内の就職について再就職手当または常用就職支度手当を受給している場合、支給されません。また、1年を超えて引き続き雇用されると認められることなど、定められた支給要件をすべて満たす必要があります。

参考:雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ|厚生労働省

失業保険はすぐに受け取れるのか

ハローワークで手続きを開始してから、実際に手当が振り込まれるまでには一定の期間を要します。離職の理由によって、待期期間や給付が制限される期間が異なるためです。

離職理由による待期期間と制限の違い

離職票を提出して求職を申し込み、受給資格決定を受けた日から、まず全員に共通する待期期間があります。その後、退職の理由に応じて、給付が始まるまでの待ち時間が変わります。

  • 全員に共通する待期期間:7日
  • 自己都合退職の場合の給付制限:1か月
  • 自己都合退職を繰り返した場合の給付制限:3か月
会社の都合なら、待つのは7日だけ待期7日会社都合基本手当が出る自己都合1か月基本手当が出るくり返し3か月茶色は出ない期間、青緑は出る期目もりは実際の日数どおりですそのあと認定日5営業日4週間後
退職の理由でどれだけ待つかが変わる制度の適用時点:令和8年8月1日/確認日:2026-08-10/出典:厚生労働省

退職の理由によって、受給開始までの期間が変化することが図からわかります。ただし、会社都合による離職などの場合は、給付制限がかからないことがあります。

受給までの流れを左右する条件

自己都合による離職の場合は、一定期間の制限を受けることが一般的です。一方で、特定の条件を満たす場合は、制限が解除されるケースもあります。

例えば、令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できる仕組みがあります。

参考:令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます|厚生労働省

制限の有無や期間については、個別の事情によって判断が分かれます。ご自身の状況がどの区分に該当するかは、管轄のハローワークで確認してください。

受給期間の延長と振込のタイミング

基本手当の受給期間は、離職日の翌日から原則として1年です。この期間を過ぎると、所定給付日数が残っていても支給されません。

ただし、妊娠や出産、育児などの理由で引き続き30日以上職業に就けないときは、その日数を加算できる場合があります。

参考:雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ[PDF]|厚生労働省

受給期間の延長は、公共職業安定所長(ハローワーク)へ申し出ることで手続きが可能です。自動的に延長されるわけではないため、注意が必要です。

また、失業の認定を受けた後、基本手当が振り込まれるまでは、おおよそ5営業日かかります。認定の間隔は、通常4週間ごとに行われます。

いまの状況によって変わる、失業保険の扱い

失業保険の仕組みは、退職後の生活を支えるためのものです。しかし、退職後の選択や現在の働き方によって、受けられる制度や負担が変わります。

たとえば、再就職手当を受け取る条件の一つに、支給残日数の規定があります。基本手当の支給残日数が、所定給付日数の 3分の1以上あることが要件の一つです。

ただし、再就職手当は、1年を超えて引き続き雇用されると認められることや、待期満了後に就職したことなどが条件となります。

参考:雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ|厚生労働省

過去3年以内の就職について再就職手当または常用就職支度手当を受けた場合は、支給されません。ただし、個別の事情により判断が異なるため、詳細はハローワークへ確認してください。

また、賃金に関する保障についても決まりがあります。時給や日給、出来高払いの最低保障の率は 70% です。

参考:雇用保険法第17条(賃金日額)|e-Gov法令検索

基本手当日額には、年齢に応じた上限額や下限額が設定されています。例えば、30〜44歳の方の上限額は 8,270円、下限額は 2,562円 です。

賃金日額は、年齢によって上限額が異なります。30〜44歳の場合、上限額は 16,540円、全年齢共通の下限額は 3,203円 と定められています。

いまの状況による扱いの違い
いまの状況 扱い 次に見るところ
正社員として在籍中 社会保険の被保険者 休職制度の確認
休職中で在籍している人 社会保険の被保険者 傷病手当金の確認
退職して任意継続を選んだ人 健康保険の被保険者 保険料の支払い方法
退職して国民健康保険に入った人 国民健康保険の被保険者 保険料の支払い方法
家族の扶養に入った人 家族の被保険者の扶養 扶養の条件
産前産後・育児休業中の人 社会保険料の免除対象 免除の手続き
契約社員として働いている人 雇用保険の被保険者 失業保険の受給条件
パート・アルバイトの人 条件を満たせば雇用保険の被保険者 失業保険の受給条件

(各制度の規定に基づき作成)

ご自身の状況がどの区分に該当するか、どのような手続きが必要かは、管轄のハローワークや市区町村の窓口で確認してください。ただし、自治体によって詳細が異なる場合があります。

手続きがうまくいかないときの相談先

ハローワークに相談すれば、すべての問題を解決できますか。

いいえ、ハローワークで解決できる範囲には限りがあります。ハローワークは雇用保険の手続きや求職活動の相談を行う窓口です。

会社との退職条件や未払い賃金の交渉などは、ハローワークの権限ではありません。ただし、離職理由の確認などは相談可能です。

会社とのトラブルについて、ハローワークに交渉を頼めますか。

いいえ、ハローワークが会社と直接交渉する権限はありません。退職に伴う金品の返還や、労働条件に関する争いについては、弁護士へ相談してください。

会社との労働条件などの紛争は、弁護士への相談のほか、労働組合や都道府県労働局の個別労働紛争解決制度も利用できます。労働基準監督署が窓口となるケースもあります。

求人情報を閲覧しただけで、求職活動の実績になりますか。

いいえ、求人情報を閲覧しただけでは実績になりません。求職活動の実績として認められるには、求人への応募や、許可を受けた職業紹介事業者による職業相談などが必要です。

具体的な実績の数え方は、管轄のハローワークで確認してください。ただし、窓口での相談も実績に含まれる場合があります。

障害の状態について、ハローワークの窓口で相談できますか。

はい、相談できます。障害の状態によって、受給できる条件や求職活動の進め方が変わることがあります。

ご自身の状況に合わせた手続きについて、管轄のハローワークの窓口で確認してください。障害者手帳の有無なども併せて伝えるとスムーズです。

手続きの過程で疑問が生じた場合、窓口によって対応できる内容が異なります。状況に合わせて適切な相談先を選びましょう。

離職理由が自己都合か会社都合かで、給付制限の期間が変わる場合があります。例えば、自己都合の場合は原則として1か月の制限がかかります。

受給期間の延長についても確認が必要です。原則として受給期間は離職日の翌日から1年ですが、妊娠や出産などの理由で働けない期間がある場合は、最長4年まで延長できる可能性があります。

ただし、延長は自動ではないため、公共職業安定所長への申し出が必要です。

再就職手当についても、条件を事前に把握しておきましょう。基本手当の支給残日数が3分の1以上であることなどが要件の一つです。ただし、安定した職業に就くことなど、他にも複数の要件を満たす必要があります。

参考:ハローワークインターネットサービス|雇用保険の具体的な手続き | 厚生労働省|厚生労働省


参考:雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ[PDF] | 厚生労働省|厚生労働省

まとめ

障害のある方が基本手当を受け取るためのポイントを整理しました。

  • 離職理由が自己都合の場合、原則として 1か月 の給付制限があります。ただし、直前5年間に正当な理由のない自己都合退職が2回以上ある場合は 3か月 になるため注意が必要です。
  • 受給期間は離職日の翌日から原則 1年 です。ただし、妊娠・出産・育児などの理由で30日以上就業できない場合は、最長 4年 まで延長できる場合があります。
  • 再就職手当は、基本手当の支給残日数が所定給付日数の 3分の1以上あるなどの要件を満たす必要があります。ただし、過去に受給歴がある場合など、支給されないケースもあります。
  • 求職活動の実績は、求人情報の閲覧だけでは認められません。ハローワークでの相談や求人への応募など、具体的な活動が必要です。

手続きの詳細は、手続きの流れ障害の状態による違いを確認しながら進めてください。不明な点は、管轄のハローワークの窓口で確認してください。

この記事の根拠(本文内56か所・台帳19項目・一次資料4件)

制度の数値(台帳から出しています)

一次資料

数値は一次情報で確かめてから台帳に入れています(情報源について)。リンク先の内容が変わっているのを見つけたら訂正の受付までお知らせください。

この記事の編集責任者

JPSM INTERNET SERVICE 代表

小笠原 治輝おがさわら はるき

休職から退職までの手続きを自分で経験しました。傷病手当金の申請、雇用保険の受給期間延長、健康保険と年金の切り替えを実際に進めた経験があります。記事は、厚生労働省・e-Gov法令検索・ハローワークの一次情報と突き合わせて確認しています。