欠勤と休職の違いは、会社との約束や保障の有無にあります
体調を崩して仕事を休む際、欠勤と休職のどちらになるかで、給与の有無や社会保険の扱いは異なります。会社に在籍したまま休む場合でも、制度の仕組みを理解しておくことが大切です。
- 欠勤は主に無給で、会社との個別の合意に基づく休みです
- 休職は会社の規定に基づき、一定期間の身分を保障する休みです
- 休職中は傷病手当金を受け取れる可能性があります

欠勤と休職の違いと、それぞれの特徴
欠勤と休職は、どちらも仕事を休む状態を指しますが、会社との約束や仕組みが異なります。

欠勤は、所定労働日に有給休暇などの休暇を取得せず、仕事を休む状態です。
休職は、会社の規定(就業規則に定められたルール)に基づき、一定期間、籍を置いたまま仕事を休む制度です。
欠勤は、一時的な体調不良などで、数日から数週間程度の短い期間を想定する場合が多いです。
一方で休職は、病気などの理由で長期間、継続して働けない場合に利用される仕組みです。
休職制度を利用すれば、籍を維持しながら療養に専念できる可能性があります。ただし、休職ができるかどうかは、お勤め先の就業規則の内容によります。
休職期間中は、傷病手当金(病気やケガで働けない期間に、健康保険から支給される手当)を受け取れる場合があります。
支給を受けるには、医師の診断や、健康保険法に定められた要件を満たす必要があります。
支給を受けるには、連続して3日間の待期期間が必要です。待期には土日祝などの公休日や有給休暇も含まれます。
支給される額は、標準報酬月額の平均を30で割った額に3分の2を掛けた金額が目安です。
支給期間は、支給を開始した日から通算して1年6か月となります。ただし、支給開始日前の被保険者期間が12か月未満の場合、本人の平均額と320,000円のうち低い額を使います。
参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会(協会けんぽ)
退職後も傷病手当金を継続して受給するには、退職日までに続けて1年以上の被保険者期間が必要です。ただし、退職時にすでに手当を受けているなどの条件があります。
欠勤のまま期間が長引くと、欠勤扱いとして給与が支払われないだけでなく、退職の手続きが必要になることもあります。まずはご自身の会社の就業規則を確認し、必要であれば会社へ相談してください。
欠勤と休職を比べる3つのポイント
欠勤と休職のどちらがご自身の状況に適しているかを考えるとき、以下の3つの視点が目安になります。

| 比べるポイント | 欠勤 | 休職 | 補足 |
|---|---|---|---|
| 会社との関係 | 所定労働日に仕事を休む | 籍を置いたまま休む | 休職は会社の規定に基づく |
| 休める期間 | 比較的短い期間 | 比較的長い期間 | 会社規定による |
| 給与の有無 | 原則として支払われない | 原則として支払われない | 会社規定による |
それぞれの違いを、3つの観点で詳しく見ていきましょう。
1. 休める期間と性質の違い
欠勤は、急な体調不良や冠婚葬祭などで、数日から数週間程度の短い期間を想定して利用されます。
ただし、欠勤が長引くと、欠勤扱いとして給与が支払われないだけでなく、退職の手続きが必要になることもあります。
一方、休職は、病気などの理由で長期間、継続して働けない場合に利用される仕組みです。
休職できる期間や、復職に向けた条件は、お勤め先の就業規則によって細かく定められています。
2. 給与と手当の有無
欠勤期間中は、原則として給与は支払われません。ただし、有給休暇を消化できる場合は、休暇として給与を受け取りながら休むことが可能です。
休職中も、基本的には給与は支払われないケースが多いですが、会社によっては独自の休職手当を設けている場合もあります。
また、一定の要件を満たせば、健康保険から「傷病手当金」を受け取れる可能性があります。
傷病手当金は、連続して3日を経て、4日目から支給対象となります。
1日当たりの支給額は、標準報酬月額の平均を30で割った額の3分の2が原則です。
参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会(協会けんぽ)
休職中の生活を支えるための、健康保険の給付制度について確認しておきましょう。
3. 制度利用の手順と窓口
欠勤の場合は、まずは直属の上司や部署のルールに従って、速やかに欠勤の連絡を行うことが基本です。
欠勤が続く場合は、人事担当部署へ今後の働き方について相談しましょう。
休職を検討する場合は、まず就業規則を確認し、休職の対象となる条件や期間、復職のルールを把握してください。
手続きの際は、医師の診断書が必要になることが一般的です。
休職期間が長くなり、退職を検討する場合には、健康保険の継続手続きも重要になります。
退職後の保険については、後述する「退職して健康保険を継続する選択肢」の項目で詳しく解説します。
傷病手当金を受け取れる期間と条件
病気やケガで仕事を休む期間の生活を支える仕組みとして、傷病手当金があります。
この給付を受けるには、一定の条件を満たす必要があります。

会社に在籍しながら受給する場合
会社に籍を置いたまま休むときは、まず「待期期間」が必要です。
連続して3日を含む、4日以上仕事に就けなかったことが条件となります。
この期間には、土日祝などの公休日や有給休暇も含まれます。
支給される金額は、標準報酬月額の平均を30で割った額に、3分の2を掛けた額です。
ただし、支給開始日前の被保険者期間が12か月未満の場合、本人の平均額と320,000円のうち低い額を使います。
この比較に使う基準額は、年度替わりで見直される点に注意してください。
支給される期間は、支給を開始した日から通算して1年6か月です。
2022年(令和4年)1月1日からは、連続ではなく通算して計算される方式となっています。
ただし、支給期間の計算において、途中で復職した期間などは含まれません。
図は、受給までの流れと期間の目安を示しています。
| 項目 | 内容 | 数値・条件 |
|---|---|---|
| 待期期間 | 連続して休む日数 | 3日 |
| 支給期間 | 通算での上限 | 1年6か月 |
| 支給割合 | 標準報酬日額に対する割合 | 3分の2 |
| 計算の基準額 | 被保険者期間が12か月未満の場合の比較対象 | 320,000円 |
| 継続給付の要件 | 退職日までに続けて加入していた期間 | 1年 |
全国健康保険協会(協会けんぽ)を確認
退職後に受給を継続する場合
退職後も継続して給付を受けるには、資格を喪失する前日までに、1年以上続けて被保険者であったことが必要です。
このとき、任意継続被保険者や国民健康保険の加入期間は含みません。
また、資格を喪失した際に、現に傷病手当金を受けているか、受けられる状態であることも条件となります。
要件を満たせば、退職後も継続して受給できる場合があります。
受給の手続きは、加入している健康保険組合や協会けんぽへ申請を行います。
申請には医師の証明が必要となるため、あらかじめ医療機関へ相談しておきましょう。
窓口は、会社を通じて行う場合と、自身で直接保険者へ申請する場合で手順が異なることがあります。
参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会(協会けんぽ)
退職して健康保険を継続する選択肢
会社を辞めたあとも、これまでの健康保険を使い続ける方法があります。
退職後の生活設計を立てるうえで、保険料の負担や手続きの期限を知っておくことは大切です。

任意継続被保険者として保険を続ける場合
退職後も、以前加入していた健康保険の被保険者として残る仕組みです。
手続きには期限があるため、退職後すぐに確認が必要です。
- 申出の期限は、退職日の翌日から 20日以内 です。
- 被保険者としていられる期間は 2年 です。
- 東京都の場合、保険料率は 10.08% です。
- 標準報酬月額の上限は 320,000円 です。
任意継続被保険者は、保険料の全額を自分で負担します。
在籍中とは異なり、会社が半分を負担することはありません。
退職時の標準報酬月額が上限を超えている人は、保険料が一定額で止まるため、負担が軽くなることがあります。
ただし、毎年度見直されるため、事前の確認が要ります。
なお、他の健康保険の被保険者になった場合や、保険料を納付期限までに納めなかった場合などは、途中で資格を失います。
また、本人が申し出たときも同様です。
国民健康保険に加入する場合
お住まいの市区町村が運営する国民健康保険に加入する方法です。
自治体によって保険料の計算方法が異なります。
都道府県によって保険料率には幅があります。
例えば、令和8年度の協会けんぽの全国平均は 9.90% ですが、
最も低い新潟県は 9.21%、最も高い佐賀県は 10.55% となっています。
どちらの制度を選ぶかは、ご自身の収入やこれまでの加入状況によって変わります。
どちらが適しているかは、加入する保険者へ相談できます。
手続きの窓口は、お住まいの市区町村の役所です。
加入にあたっては、離職票などの書類が必要になる場合があります。
参考:任意継続(任意継続の被保険者期間・保険料・保険給付)|全国健康保険協会(協会けんぽ)
欠勤や休職に関するよくある勘違い
傷病手当金を受け取るには、まず7日間の休みが必要です。
いいえ、連続して3日の休みが必要です。土日や有給休暇も待期期間に含まれます。ただし、支給開始後は通算して1年6か月まで受けられます。

自己都合で退職した場合、失業保険はすぐにもらえません。
はい、原則として1か月の給付制限期間があります。ただし、教育訓練を受ける場合など、要件を満たせば制限が解除されることがあります。
休職中も、社会保険料の支払いは止まります。
いいえ、休職中も健康保険と厚生年金の資格が続く場合、原則として保険料の支払いは止まりません。給与の有無にかかわらず、保険料の負担割合は変わりません。厚生年金保険料率は18.3%です。
退職後の保険料を安くするために、会社と交渉できます。
いいえ、保険料の額について会社と交渉する権限はありません。計算や制度の適用については、加入している保険者へ相談してください。なお、法的な問題については、弁護士でなければ扱えない用件があります。
任意継続の加入期限を過ぎたら、もう選べません。
はい、協会けんぽの場合、退職日の翌日から20日以内に資格取得申出書を提出する必要があります。期限を過ぎると任意継続は選べなくなるため、退職後にいちばん先に確認すべき期限のひとつです。
傷病手当金の支給額は、給与の全額がカバーされますか?
いいえ、1日当たりの支給額は、支給開始前12か月の標準報酬月額の平均を30で割った額の3分の2です。ただし、支給開始日前の被保険者期間が12か月未満の場合、本人の平均額と320,000円のうち低い額を使います。
任意継続の保険料は、会社が半分負担してくれますか?
いいえ、任意継続被保険者は保険料の全額を自己負担します。例えば東京都の協会けんぽの場合、令和8年4月分からは健康保険料率に0.23%を加えた率が適用されます。なお、任意継続ができる期間は2年です。
退職後も傷病手当金をもらい続けることはできますか?
はい、一定の条件を満たせば可能です。退職日までに続けて1年以上被保険者であったことなどが条件となります。ただし、資格喪失日の前日に、現に傷病手当金を受けているか、受けられる状態である必要があります。
まとめ
欠勤と休職、および退職後の制度について、確認した内容をまとめます。

- 欠勤は、所定労働日に有給休暇などを取得せず、仕事を休む状態です。
- 休職は、会社の就業規則に基づき、一定期間、籍を置いたまま休む制度です。
- 傷病手当金は、連続する3日間の待期期間を経て、要件を満たせば支給されます。ただし、支給開始日から通算して1年6か月間が上限です。
- 退職後の健康保険は、協会けんぽの任意継続の場合、退職日の翌日から20日以内に資格取得申出書の提出が必要です。
- 任意継続の被保険者期間は2年間ですが、他の保険に加入した際などは資格を失います。
- 失業保険は、自己都合退職の場合、原則として1か月の給付制限期間があります。ただし、教育訓練を受ける場合などは制限が解除されることがあります。
制度の詳しい仕組みについては、傷病手当金や健康保険の解説もあわせて参考にしてください。
手続きの前に、加入している保険者などの公式な最新情報を確かめてください。
この記事の根拠(本文内42か所・台帳15項目・一次資料11件)
制度の数値(台帳から出しています)
- 傷病手当金の待期期間(連続して休む必要がある日数)3日時点:2026-07確認:2026-07-26全国健康保険協会(協会けんぽ)|病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)
- 傷病手当金の支給割合(標準報酬日額に対する割合)3分の2時点:2026-07確認:2026-07-26全国健康保険協会(協会けんぽ)|病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)
- 傷病手当金の支給期間(通算)1年6か月時点:2026-07確認:2026-07-26全国健康保険協会(協会けんぽ)|病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)
- 傷病手当金の計算に使う標準報酬月額の平均額(被保険者期間が12か月未満の場合の上限)320,000円時点:2026-07確認:2026-07-26全国健康保険協会(協会けんぽ)|病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)
- 資格喪失後の継続給付に必要な被保険者期間(退職日までに続けて)1年時点:2026-07確認:2026-07-27全国健康保険協会(協会けんぽ)|病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|資格喪失後の継続給付について
- 任意継続の申出期限(退職日の翌日から)20日以内時点:2026-08確認:2026-08-14全国健康保険協会(協会けんぽ)|任意継続被保険者制度
- 任意継続被保険者でいられる期間2年時点:2026-07確認:2026-07-27全国健康保険協会(協会けんぽ)|任意継続(任意継続の被保険者期間・保険料・保険給付)
- 任意継続の保険料率(協会けんぽ 東京支部・令和8年4月分から)10.08%時点:令和8年度(令和8年4月分から)確認:2026-07-27全国健康保険協会(協会けんぽ)|全国健康保険協会(協会けんぽ)の任意継続被保険者の方の保険料額(令和8年4月分〜・東京支部)
- 任意継続被保険者の標準報酬月額の上限(協会けんぽ・令和8年度)320,000円時点:令和8年度確認:2026-07-27全国健康保険協会(協会けんぽ)|【健康保険】令和8年度の任意継続被保険者の標準報酬月額の上限について
- 健康保険料率の全国平均(協会けんぽ・令和8年度)9.90%時点:令和8年度(令和8年3月分から)確認:2026-07-27全国健康保険協会(協会けんぽ)|令和8年度保険料率のお知らせ
- 健康保険料率のいちばん低い都道府県(協会けんぽ・令和8年度)9.21%時点:令和8年度(令和8年3月分から)確認:2026-07-27全国健康保険協会(協会けんぽ)|令和8年度の協会けんぽの保険料率は3月分(4月納付分)から改定されます
- 健康保険料率のいちばん高い都道府県(協会けんぽ・令和8年度)10.55%時点:令和8年度(令和8年3月分から)確認:2026-07-27全国健康保険協会(協会けんぽ)|令和8年度の協会けんぽの保険料率は3月分(4月納付分)から改定されます
- 自己都合の給付制限(原則)1か月時点:令和8年8月1日確認:2026-08-10厚生労働省|令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます
- 厚生年金保険料率18.3%時点:平成29年9月分以後(条文本文で確認)確認:2026-07-27e-Gov法令検索(デジタル庁)|厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第81条第4項・第82条第1項
- 子ども・子育て支援金率(全国一律・令和8年度)0.23%時点:令和8年度(令和8年4月分から)確認:2026-07-27全国健康保険協会(協会けんぽ)|令和8年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京支部)
一次資料
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)|病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)|任意継続被保険者制度
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)|任意継続(任意継続の被保険者期間・保険料・保険給付)
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)|全国健康保険協会(協会けんぽ)の任意継続被保険者の方の保険料額(令和8年4月分〜・東京支部)
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)|【健康保険】令和8年度の任意継続被保険者の標準報酬月額の上限について
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)|令和8年度保険料率のお知らせ
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)|令和8年度の協会けんぽの保険料率は3月分(4月納付分)から改定されます
- 厚生労働省|令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます
- 厚生労働省|雇用保険の具体的な手続き
- e-Gov法令検索(デジタル庁)|厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第81条第4項・第82条第1項
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)|令和8年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京支部)
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