休職中の生活を守るための手続きと期限

休職中の生活を支える制度と手続き

病気やケガで休職している方が、生活を維持するために利用できる傷病手当金や、退職後の健康保険(任意継続)の手続きについて解説します。休職期間が長引く場合や、退職を検討する場合に、いつまでに何をすべきかが分かります。

  • 傷病手当金は、連続して3日間の待期期間を経て支給されます
  • 退職後の任意継続は、退職日の翌日から20日以内に申し込む必要があります
  • 休職中の社会保険料は、給与の有無にかかわらず労使折半のままです

最終更新: / 出典: 全国健康保険協会(協会けんぽ)

休職から退職までの手続きの流れ

体調を崩して休職している状態から、退職に至るまでの一般的な流れをまとめました。状況によって手順は変わりますが、一つの目安として確認してください。

1. 休職期間中の生活費を確保する

まずは、傷病手当金の申請を検討します。支給を受けるには、連続して3日間の待期が必要です。ただし、待期には公休日や有給休暇も含まれます。

支給額は、標準報酬月額の平均を30で割った額に3分の2を掛けた金額が目安です。支給期間は、開始日から通算して1年6か月となります。

参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

2. 社会保険料の支払いを継続する

休職中も健康保険と厚生年金の資格は続きます。保険料は、会社と本人が半分ずつ負担する労使折半のままです。厚生年金保険料率は18.3%です。

給与がない場合は、本人負担分を会社にどう渡すか、事前の確認が要ります。退職時にまとめて精算するか、振込で支払うかなど、会社によって対応が異なります。

3. 退職の意思を伝え、退職日を決める

会社と退職日を相談します。退職が決まると、社会保険の資格を失う時期が決まります。退職後の保険について、任意継続か国民健康保険かを選択する時期です。

なお、退職日までに続けて1年以上被保険者であった場合、一定の条件を満たせば退職後も傷病手当金の継続給付を受けられる可能性があります。

4. 退職後の保険の手続きを行う

退職後は、新しい保険への加入手続きが必要です。協会けんぽの任意継続を選ぶ場合は、退職日の翌日から20日以内に申し出る必要があります。ただし、20日目が休日の場合は翌営業日が期限です。

郵送の場合は20日以内に必着させる必要があるため、早めの確認が要ります。期限を過ぎると任意継続は選べなくなるため、退職後にいちばん先に確かめるべき期限のひとつです。

参考:任意継続(任意継続の被保険者期間・保険料・保険給付)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

5. 失業保険などの給付を受ける

退職後すぐに働けない状態では基本手当を受給できないため、30日以上働けない場合は、管轄のハローワークで受給期間延長を申請してください。離職票を受け取ったあとに、手続きを進めることになります。

正当な理由のない自己都合による退職の場合、原則として1か月の給付制限があります。ただし、一定の条件を満たす教育訓練を受ける場合などは、制限が解除されることがあります。

参考:ハローワークインターネットサービス|雇用保険の具体的な手続き|厚生労働省


参考:令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます|厚生労働省

手続きを忘れないための期限一覧

退職後の生活を支えるための手続きには、それぞれ期限があります。期限を過ぎると、受け取れるはずの給付が受けられなくなったり、希望する保険に加入できなくなったりすることがあります。

手続きのタイミングを把握するために、主な期限をまとめました。ご自身の状況に合わせて、事前の確認が必要です。

退職後の主な手続きの期限
手続きの内容 期限の目安 備考
任意継続への加入 退職日の翌日から20日以内 健康保険の加入方法を選択する場合
傷病手当金の継続給付 資格喪失日の前日に現に受給しているか、受けられる状態であること 退職後も継続して給付を受ける場合
失業保険の手続き 離職票を受け取ったあと 管轄のハローワークで確認が必要です

任意継続の加入については、退職後の日数に制限があります。申請が遅れると、その制度を利用できなくなるため、退職後すぐに確認が必要です。20日以内目が土日・祝日の場合は翌営業日が期限となります。

郵送を利用する場合は、期限内に書類が必着するように注意してください。

参考:任意継続被保険者制度 | 全国健康保険協会(協会けんぽ)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

傷病手当金の継続給付は、退職日にも出勤せず、受給要件を満たしていることが重要です。雇用保険の待期は7日ですが、傷病手当金の継続給付は、資格喪失日の前日(通常は退職日)までに連続3日の待期を完成し、1年以上の被保険者期間があることが必要です。

ただし、退職日に現に傷病手当金を受けているか、受けられる状態である必要があります。退職後でも、在職中や退職後の支給対象期間について申請できます。支給額は、標準報酬月額の平均を30で割った額に3分の2を掛けて算出されます。

傷病手当金の支給期間は、支給開始日から通算して1年6か月です。通算方式は令和4年1月1日に施行され、令和2年7月2日以降に支給が開始された傷病手当金が対象です。

参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金) | 全国健康保険協会(協会けんぽ)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

失業保険などの雇用保険に関する給付については、管轄のハローワークが判断します。離職票が届いたら、早めに窓口へ相談してください。

参考:雇用保険の具体的な手続き | 厚生労働省|厚生労働省

自己都合による離職の場合、原則として1か月の給付制限期間があります。ただし、一定の条件を満たす教育訓練を受ける場合などは、制限が解除されるケースもあります。

参考:令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます | 厚生労働省|厚生労働省

1か月ほど休職する場合の動き

1か月程度の休職であれば、会社に在籍したままの状態が続きます。この期間は、傷病手当金の受給要件を確認しながら、生活費の確保と保険料の支払いに備える時期です。

傷病手当金を受け取るには、連続して 3日 の待期期間が必要です。待期期間には、土日や祝日、有給休暇も含まれます。

支給が開始されると、標準報酬月額の平均を30で割った額に 3分の2 を掛けた金額が目安となります。支給期間は、開始した日から通算して 1年6か月 です。

休んだ3日のあと、4日目から支給されます1日目2日目3日目4日目から支給待期(3日)は支給されません。土日・祝日や有給休暇も入ります支給される期間通算1年6か月1日あたりの額標準報酬日額の3分の2
傷病手当金は、いつから・どれくらい出るか制度の適用時点:2026-07/確認日:2026-07-26/出典:全国健康保険協会(協会けんぽ)

図は、傷病手当金がいつから、どのくらいの期間支給されるかの目安を示しています。

休職中から退職後の主な立場と扱い
いまの立場 社会保険の扱い 次に見るところ
正社員 会社の健康保険に加入 休職中の保険料負担
契約社員 会社の健康保険に加入 休職中の保険料負担
パート・アルバイト 会社の健康保険に加入 休職中の保険料負担
休職中で在籍している人 会社の健康保険に加入 傷病手当金の申請
退職して任意継続を選んだ人 自分で保険料を全額負担 加入の申請期限
退職して国民健康保険に入った人 自分で保険料を納付 市区町村の窓口
家族の扶養に入った人 家族の被扶養者になる 扶養認定の手続き
産前産後・育児休業の人 保険料の免除制度がある 免除の申請方法

在籍している間は、健康保険料と厚生年金保険料の負担割合は変わりません。保険料は会社と本人が半分ずつ負担します。ただし、厚生年金保険料率は 18.3% です。

休職中で給与が発生しない場合、本人負担分の保険料をどう支払うかを確認しましょう。給与から天引きできないときは、会社へ直接振り込むなどの方法を検討する必要があります。

ただし、会社によって徴収ルールが異なるため、事前に人事や総務などの担当部署へ確認してください。

健康保険料の計算には、都道府県ごとの料率が用いられます。例えば東京都の場合、令和8年度の料率は 9.85% です。これに子ども・子育て支援金率が別途加わります。

なお、全国には 9.21% のように、地域によって異なる料率が設定されています。例えば佐賀県では 10.55% となり、地域差があります。

参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

任意継続の保険料と上限額の仕組み

退職後に健康保険の任意継続を選ぶ場合、保険料の計算方法や継続できる期間に決まりがあります。ご自身の状況に合わせて、以下の仕組みを確認してください。

保険料の負担割合と計算の目安

任意継続被保険者は、保険料の全額を自分で負担します。在籍中とは異なり、会社が半分を負担することはありません。

東京都の協会けんぽに加入している場合、保険料率は10.08%です。40歳から64歳までの人は、これに介護保険料率が加わります。

保険料の額は、この保険料率と、標準報酬月額によって決まります。なお、標準報酬月額には上限が設けられています。

参考:任意継続(任意継続の被保険者期間・保険料・保険給付)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

標準報酬月額の上限による影響

退職時の標準報酬月額が一定の金額を超えている人は、保険料が上限で計算されます。上限額によって、退職後の保険料が在籍時より安くなるケースが見られます。

上限額は、前年9月30日時点の全被保険者の標準報酬月額の平均額を報酬月額とみなして決めた標準報酬月額です。320,000円

参考:【健康保険】令和8年度の任意継続被保険者の標準報酬月額の上限について|全国健康保険協会(協会けんぽ)

ただし、標準報酬月額は毎年度見直されます。制度の内容は変わることがあるため、事前の確認が要ります。

参考:全国健康保険協会(協会けんぽ)の任意継続被保険者の方の保険料額(令和8年4月分〜・東京支部)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

手続きの期限と注意点

協会けんぽの任意継続には、退職日まで継続して2か月以上加入し、退職日の翌日から20日以内に申出書を提出する必要があります。この期限を過ぎると、任意継続は選べなくなります。

郵送で手続きを行う場合は、20日以内に書類が相手方に届く(必着)必要があるため、余裕を持って準備しましょう。20日目が土日・祝日の場合は、翌営業日まで認められます。

また、任意継続ができる期間は原則として2年です。ただし、他の健康保険に加入した場合や、保険料を期限までに納めなかった場合などは、途中で資格を失います。

参考:任意継続被保険者制度|全国健康保険協会(協会けんぽ)

加入手続きは、退職後にいち早く確認すべき重要な事項です。書類の提出方法や必要書類については、加入先の協会けんぽへ事前に問い合わせておくとスムーズです。

困ったときの相談先

手続きを進める中で、判断に迷う場面が出てくるかもしれません。
状況に応じて、相談できる窓口が異なります。

会社とのやり取りに関する窓口

社会保険料の支払い方法や退職手続きを確認したい場合は、勤務先の担当部署へ相談してください。
在籍中は会社が保険料の納付義務を負うため、支払い方法の調整が必要になります。

金品の返還や退職手続きについて法的な争いが生じている場合は、弁護士へ相談してください。
退職代行業者では、弁護士でなければ扱えない用件を扱う権限がありません。

公的な制度に関する窓口

失業保険や離職票の受け取りについては、管轄のハローワークへ相談してください。
受給要件を満たせば、基本手当を受け取れる場合があります。

ただし、正当な理由のない自己都合による離職の場合は、原則として1か月の給付制限期間があります。

参考:雇用保険の具体的な手続き|厚生労働省

教育訓練を受ける場合など、一定の条件を満たせば給付制限が解除されるケースもあります。

参考:令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます|厚生労働省

健康保険や年金の手続き、傷病手当金の詳細は、加入中の健康保険組合や市区町村の窓口へ相談してください。
傷病手当金は、連続して3日を経て、4日目から支給対象となります。

支給期間は、支給開始日から通算して1年6か月です。
ただし、支給開始日前の被保険者期間が12か月未満の場合、本人の標準報酬月額の平均額と全被保険者の平均額の低い方を使います。

参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

退職後に任意継続を検討する場合は、加入中の健康保険組合へ詳細を確認してください。
協会けんぽの場合、退職日の翌日から20日以内に申し出る必要があります。

参考:任意継続(任意継続の被保険者期間・保険料・保険給付)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

任意継続ができる期間は原則として2年です。
制度の適用範囲や具体的な申請方法について、窓口で案内を受けることができます。

参考:任意継続被保険者制度|全国健康保険協会(協会けんぽ)

休職中のよくある勘違い

傷病手当金の待期期間は、土日を含めずに数えますか?

いいえ、待期期間は連続して3日間です。土日祝などの公休日や有給休暇も、この期間に含まれます。


参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

退職後も、傷病手当金は無制限に受け取れますか?

いいえ、支給期間は支給開始日から通算して1年6か月です。ただし、退職後も継続して受給するには、被保険者期間が1年以上あるなどの条件があります。

参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

自己都合退職でも、失業保険はすぐに受給できますか?

いいえ、正当な理由のない自己都合による退職の場合、原則として1か月の給付制限期間があります。この期間は、基本手当を受け取ることができません。

参考:令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます|厚生労働省

退職後の健康保険は、必ず「任意継続」にするべきですか?

いいえ、国民健康保険への加入や、家族の扶養に入る選択肢もあります。任意継続を希望する場合、退職日の翌日から20日以内に申し出る必要があります。

ただし、保険料負担が大きくなる場合もあるため、比較検討が必要です。

参考:任意継続被保険者制度|全国健康保険協会(協会けんぽ)

まとめ

休職から退職に至るまでの流れで、確認すべき重要事項を整理しました。

  • 傷病手当金は、連続する3日の待期を完成した後、4日目以降の休業日が支給対象です。ただし、支給期間は通算して1年6か月が上限となります。
  • 退職後の健康保険で「任意継続」を選ぶ場合、保険料は全額が本人の負担です。協会けんぽ東京支部の令和8年度の保険料率は10.08%です。
  • 任意継続の申出は、退職日の翌日から20日以内に行う必要があります。ただし、郵送の場合は期限内の必着が必要です。
  • 失業保険(基本手当)は、自己都合による退職の場合、原則として1か月の給付制限期間があります。

制度の詳細は、傷病手当金退職後の手続きの解説ページにまとめています。

この記事の根拠(本文内43か所・台帳14項目・一次資料9件)

制度の数値(台帳から出しています)

一次資料

数値は一次情報で確かめてから台帳に入れています(情報源について)。リンク先の内容が変わっているのを見つけたら訂正の受付までお知らせください。

この記事の編集責任者

JPSM INTERNET SERVICE 代表

小笠原 治輝おがさわら はるき

休職から退職までの手続きを自分で経験しました。傷病手当金の申請、雇用保険の受給期間延長、健康保険と年金の切り替えを実際に進めた経験があります。記事は、厚生労働省・e-Gov法令検索・ハローワークの一次情報と突き合わせて確認しています。