インフルエンザで傷病手当金をもらう手順と退職後の保険料

インフルエンザで働けないときに傷病手当金を受け取る手順

インフルエンザなどの病気で会社を休み、給与が出ない場合に、健康保険から支給されるのが傷病手当金です。この記事では、会社員の方が支給を受けるための具体的な流れや、退職後に保険料の負担が変わる仕組みについて解説します。

  • 連続して3日間休むことが支給の条件です
  • 支給される額は標準報酬日額の3分の2です
  • 退職後も一定の条件を満たせば継続して受け取れます

最終更新: / 出典: 全国健康保険協会(協会けんぽ)

インフルエンザで休むときの傷病手当金の手続きの流れ

インフルエンザなどの病気で医師の指示により仕事を休む場合、傷病手当金を受け取れる可能性があります。支給を受けるには、以下の手順で進めるのが一般的です。

  1. 医師の診察を受け、就業が困難であるとの診断を受ける
  2. 会社へ欠勤の連絡をし、休職や傷病手当金の申請方法を確認する
  3. 3日間、連続して仕事に就けない状態が続くことを確認する
  4. 医師に傷病手当金の申請書(療養担当者記入欄)への記入を依頼する
  5. 会社を通じて、加入している健康保険組合へ書類を提出する

待期期間については、連続して3日間、病気などで働けない状態が続くことが条件です。この期間には、土日祝などの公休日や有給休暇も含まれます。

待期期間を満たした後の4日目から、支給対象となります。支給される金額は、標準報酬日額の3分の2が目安です。ただし、会社から給与が支払われている場合は、その分が調整されます。

支給期間は、支給を開始した日から通算して1年6か月までです。2022年(令和4年)1月1日以降は、連続ではなく通算方式で計算されます。

退職後に継続して手当を受け取りたい場合は、退職日までに、継続して1年以上、被保険者であったことが条件の一つです。ただし、退職日にすでに傷病手当金を受けているか、受けられる状態である必要があります。

退職後に任意継続被保険者や国民健康保険に切り替えた場合でも、退職前の健康保険について要件を満たせば、この継続給付を受けられます。事前の確認が重要です。

申請にあたっては、医師の証明が不可欠です。申請書には、本人が記入する欄のほかに、医師が「労務不能であること」を証明する「療養担当者記入欄」があります。

会社が健康保険組合へ書類を提出する際、給与の支払い状況もあわせて報告されます。欠勤期間中に会社から「休業手当」などの給与が出ていると、手当金が減額される場合があります。

退職後の継続給付を受けるには、資格喪失日の前日までに、被保険者期間が1年以上あることが必要です。ただし、退職時にすでに支給要件を満たしていることが前提となります。

退職後に国民健康保険へ加入した場合でも、退職前の健康保険について要件を満たせば、傷病手当金の継続給付を受けられます。また、任意継続被保険者として手続きを行った場合でも、要件を満たせば継続給付の対象となります。

参考:任意継続(任意継続の被保険者期間・保険料・保険給付)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

申請を忘れないための期限とタイミング

傷病手当金の申請には、書類の提出に関する期限があります。
手続きのタイミングを逃すと、支給を受けられないことがあります。

申請の手順と、それぞれのタイミングをまとめました。
会社への報告や、医師への依頼をスムーズに進めるための参考にしてください。

傷病手当金の申請に関するタイミング
工程 タイミング 内容
会社への連絡 病気で休むとき 欠勤の連絡と、休職の相談を行います。
医師への依頼 療養中 申請書の「医師記入欄」への記入を依頼します。
会社への提出 書類が揃ったあと 記入済みの申請書を会社へ提出します。
保険者への申請 会社への提出後 会社から健康保険組合などへ書類が送られます。

申請書には、医師が療養の状況を記入する欄があります。
医師の記入には時間がかかる場合があるため、早めに依頼を検討してください。

申請書は、療養した期間ごとに作成する必要があります。
インフルエンザなどの症状が長引いた場合は、月ごとにまとめて依頼するか、都度依頼するかを会社や医師と相談しましょう。

退職後に継続して給付を受ける場合も、期限の確認が重要です。
継続給付を受けるには、退職日までに続けて1年以上、被保険者である必要があります。

ただし、退職後に任意継続被保険者や国民健康保険に切り替えた場合でも、要件を満たせば、この継続給付を受けられます。

参考:任意継続被保険者制度|全国健康保険協会(協会けんぽ)

また、退職後に「任意継続被保険者」になる場合は、加入手続きの期限に注意してください。
協会けんぽの場合、任意継続への加入は退職日の翌日から20日以内に申し出る必要があります。

この期限を過ぎると、任意継続を選択できなくなるため、退職後は早めに加入手続きを進めましょう。
郵送で申請する場合は、期限内に保険者が書類に到達している必要があるため注意が必要です。

申請書類の不備や、医師の記入漏れがあると、支給が遅れる原因になります。
不明な点がある場合は、加入している健康保険組合の窓口へ直接問い合わせるのが確実です。

いまの状況で確認すべきこと

傷病手当金の受給や退職後の手続きは、現在の立場によって内容が異なります。ご自身の状況が以下の表のどこに当てはまるか、確認してください。

現在の立場と、確認すべき事項の例
いまの立場 扱い 次に見るところ
正社員 健康保険の被保険者 傷病手当金の受給要件
契約社員 健康保険の被保険者 傷病手当金の受給要件
パート・アルバイト 条件を満たせば健康保険の被保険者 傷病手当金の受給要件
休職中で在籍している人 健康保険の被保険者 保険料の支払い方法
退職して任意継続を選んだ人 任意継続被保険者 継続給付の要件
退職して国民健康保険に入った人 国民健康保険の被保険者 継続給付の要件
家族の扶養に入った人 被扶養者 継続給付の要件
産前産後・育児休業の人 健康保険の被保険者 保険料の免除制度

全国健康保険協会(協会けんぽ)を参考に作成

任意継続被保険者になった場合、新たに病気やケガをしても傷病手当金は支給されません。ただし、退職前に受けていた支給が続く「継続給付」の対象になる場合があります。

継続給付を受けるには、資格喪失日の前日までに、続けて1年以上被保険者であったことなどの要件が必要です。また、資格喪失日の前日に、現に傷病手当金を受けているか、受けられる状態であることも条件となります。

参考:任意継続(任意継続の被保険者期間・保険料・保険給付)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

傷病手当金の日額は、支給開始日以前の一定期間における標準報酬月額の平均を基に3分の2を掛けて計算します。被保険者期間が一定期間未満の場合、本人の標準報酬月額の平均額と320,000円の低い方で計算されます。

参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

任意継続への加入を検討している方は、退職日の翌日から20日以内に申し出る必要があります。郵送の場合は、この期限までに書類が相手方に届いている必要があるため注意してください。

なお、任意継続の被保険者期間は原則として2年です。ただし、他の健康保険に加入した場合や、保険料を納付期限までに納めなかった場合などは、途中で資格を失います。

参考:任意継続(任意継続の被保険者期間・保険料・保険給付)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

支給の条件となる待期期間の数え方

傷病手当金を受け取るためには、まず連続して休む期間が必要です。この期間を待期期間と呼びます。

連続して休む必要がある日数

支給の要件として、連続して3日間の待期が必要です。この期間には、土日や祝日、有給休暇などの公休日も含まれます。

待期期間のあとに、4日目から支給の対象となる仕組みです。ただし、連続して休んだ日数が3日に満たない場合は、支給の対象外となることがあります。

例えば、インフルエンザ等で2日間だけ休み、3日目に復帰した場合は、待期期間を満たさないため支給されません。連続して休むことが条件となります。

待期期間のカウントは、療養のため実際に仕事に就けなかった日を基準にします。会社が定める休業のルールによって、法律上の待期期間のカウント開始日が変わるものではありません。

休んだ3日のあと、4日目から支給されます1日目2日目3日目4日目から支給待期(3日)は支給されません。土日・祝日や有給休暇も入ります支給される期間通算1年6か月1日あたりの額標準報酬日額の3分の2
傷病手当金は、いつから・どれくらい出るか制度の適用時点:2026-07/確認日:2026-07-26/出典:全国健康保険協会(協会けんぽ)

図は、支給が始まるまでの流れと、受け取れる期間の目安を示しています。

支給される金額と期間の目安

支給される金額や期間は、以下の通りです。

  • 支給額は、標準報酬日額の3分の2です
  • 支給期間は、通算して1年6か月です
  • 待期期間は、連続して3日です

支給額の計算には、原則として支給開始日以前12か月間の標準報酬月額の平均額を用います。被保険者期間が12か月未満で、支給開始日が令和7年4月1日以降の場合は、本人の平均額と320,000円の低い方を用います。

支給期間については、2022年(令和4年)1月1日から「通算方式」が採用されています。これにより、一度復職した後でも、病状が再発して再び休んだ場合に、通算して1年6か月まで受給可能です。

ただし、最初の待期完成後は、欠勤期間が「連続して3日間」に満たない場合でも、支給対象となり得ます。同一の傷病について支給が継続する場合、改めて3日間の待期期間を満たす必要はありません。

参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

退職後の保険料を抑えるための上限額

退職後に健康保険の任意継続を選ぶ場合、支払う保険料の計算方法が変わります。退職後の負担額を検討する際は、以下の2つの視点が判断材料になります。

在籍中の給与が高い場合

退職時の標準報酬月額が一定の金額を超えている人は、任意継続の保険料が安くなることがあります。健康保険法第47条第1項により、任意継続被保険者の標準報酬月額には上限が設けられているためです。

  • 任意継続被保険者の標準報酬月額の上限(協会けんぽ・令和8年度):320,000円

退職時の標準報酬月額がこの数値を超える人は、この上限で頭打ちになります。そのため、退職後のほうが健康保険料が安くなるケースが見られます。ただし、数値は毎年度見直されるため、事前の確認が要ります。

参考:【健康保険】令和8年度の任意継続被保険者の標準報酬月額の上限について|全国健康保険協会(協会けんぽ)

保険料の負担割合を確認する場合

任意継続被保険者は、保険料の全額を自分で負担します。在籍中のように会社と半分ずつ負担する仕組みではありません。

参考:任意継続(任意継続の被保険者期間・保険料・保険給付)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

  • 任意継続の保険料率(協会けんぽ 東京支部・令和8年4月分から):10.08%

この率は、東京都における東京支部の健康保険料率と子ども・子育て支援金率の合計です。40歳から64歳までの人は、これに介護保険料率も加わります。

参考:全国健康保険協会(協会けんぽ)の任意継続被保険者の方の保険料額(令和8年4月分〜・東京支部)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

ご自身の負担額を計算する際は、お住まいの都道府県の数値を確認してください。なお、任意継続の被保険者期間は原則2年間ですが、保険料を納付期限までに納めなかった場合などは、途中で資格を失うことがあります。

参考:任意継続被保険者制度|全国健康保険協会(協会けんぽ)

手続きの期限と注意点

任意継続を希望する場合、退職日の翌日から20日以内に申し出る必要があります。ただし、正当な理由があると保険者が認めたときは、20日を過ぎた申し出が認められる場合があります(健康保険法第37条第1項ただし書き)。この期限を過ぎると、任意継続を選択できなくなるため注意が必要です。

郵送で手続きを行う際は、20日以内に書類が相手方に届く「必着」の扱いとなります。また、20日目が土日や祝日の場合は、翌営業日まで認められるケースがあります。

なお、任意継続の資格は、他の健康保険に加入した場合や、保険料の納付期限を守れなかった場合などは、2年を待たずに終了することがあります。

手続きがうまくいかないときの相談先

書類の書き方や、自分がどの制度に該当するかで迷う場面は少なくありません。
手続きの判断に迷ったときは、適切な窓口へ相談してください。

退職後の傷病手当金について、会社に相談すれば解決しますか?

いいえ、会社は傷病手当金の支給を決定する権限を持っていません。
支給の可否や金額を判断するのは、加入している健康保険組合や協会けんぽです。

会社には、申請書の事業主記入欄で勤務状況や賃金支給状況を証明する役割があります。

参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

ただし、退職後の継続給付については、元の保険者へ直接確認が必要です。

退職後に国民健康保険に入っても、傷病手当金はもらえませんか?

いいえ、退職前から継続して受給している場合は、支給が続くことがあります。
退職日までに続けて1年以上の被保険者期間があれば、要件を満たす可能性があります。

参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

ただし、資格喪失日の前日に、現に傷病手当金を受けているか、受けられる状態である必要があります。

給付金の計算や、雇用保険の手続きについて相談したいときはどこへ行けばよいですか?

雇用保険に関する手続きや、失業手当などの相談は、管轄のハローワークで行えます。

ご自身の状況に合わせた具体的な手続きについては、ハローワークの窓口で確認してください。

参考:雇用保険の具体的な手続き|厚生労働省

ただし、傷病手当金そのものの計算は、健康保険の窓口が担当します。

会社と保険料の支払いでトラブルになった場合、弁護士に頼むべきですか?

会社との間で、未払い分の保険料の返済方法などの交渉が必要な場合は、弁護士でなければ扱えない用件にあたることがあります。
まずは、会社との契約内容や就業規則を改めて確認してください。

解決しない場合は、労働基準監督署などの公的な相談窓口も検討しましょう。

申請書の「医師の証明」欄が書けないときはどうすればよいですか?

医師の証明は、療養のために仕事を休んだことを証明する重要な項目です。
まずは、受診した医療機関の窓口へ、傷病手当金の申請書への記入が可能か相談してください。

ただし、診察を受けていない期間については、医師が証明できない場合があります。

健康保険組合の連絡先がわからないときはどうすればよいですか?

ご自身の加入している保険者がわからない場合は、会社の人事・労務担当者へ確認してください。
会社が不明な場合は、年金手帳や健康保険証を確認しましょう。

協会けんぽに加入していることがわかれば、各都道府県の支部へ問い合わせが可能です。

支給額が想定より少ないと感じた場合はどこへ相談すべきですか?

支給額の計算根拠については、加入している健康保険組合や協会けんぽへ問い合わせてください。
標準報酬月額の平均額などの算出ルールに基づいています。

参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

ただし、計算ミスではなく、支給割合3分の2が適用されているケースもあります。

退職後の任意継続の手続きについて、どこで詳しく聞けますか?

任意継続の加入条件や保険料については、加入していた健康保険組合や協会けんぽへ相談してください。
手続きには退職日の翌日から20日以内の期限があります。

参考:任意継続被保険者制度|全国健康保険協会(協会けんぽ)

ただし、自治体や保険者によって、手続きの細かなルールが異なる場合があります。

まとめ

インフルエンザなどで医師の指示により仕事を休む場合、傷病手当金を受け取れる可能性があります。支給を受けるには、連続して3日間の待期期間を満たす必要があります。

参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

支給開始後の期間は、通算で1年6か月までです。ただし、支給開始日や休業の状況によって条件が異なる場合があります。

退職後に継続して受給するには、退職日まで継続して1年以上の被保険者期間が必要です。なお、任意継続に加入する場合は、退職日の翌日から20日以内に申出書を提出する必要があります。

参考:任意継続(任意継続の被保険者期間・保険料・保険給付)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

なお、任意継続被保険者として新たに傷病手当金を受給することはできません。退職時にすでに受給している場合などに、継続して受給できるかを確認しましょう。

支給額は、標準報酬月額の平均の3分の2に相当する額が目安です。ただし、個別の支給可否や正確な金額は、加入している健康保険組合や協会けんぽが判断します。

制度の詳しい仕組みを知りたいときは傷病手当金の解説ページ傷病手当金シミュレーターも活用してください。

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この記事の編集責任者

JPSM INTERNET SERVICE 代表

小笠原 治輝おがさわら はるき

休職から退職までの手続きを自分で経験しました。傷病手当金の申請、雇用保険の受給期間延長、健康保険と年金の切り替えを実際に進めた経験があります。記事は、厚生労働省・e-Gov法令検索・ハローワークの一次情報と突き合わせて確認しています。