パートの休職で損をしないための手続き

パートやアルバイトが休職する際の手順と注意点

パートやアルバイトの方が、病気やケガで仕事を休む際の手順をまとめています。休職中の社会保険料の負担や、傷病手当金を受け取るための条件、退職後の保険の選び方など、生活を守るために知っておきたい情報を整理しました。

  • 休職の手続きは会社への連絡から始まります
  • 傷病手当金は健康保険の被保険者が対象です
  • 退職後の保険は任意継続などの選択肢があります

最終更新: / 出典: 全国健康保険協会

パートやアルバイトが休職する際の手順

パートやアルバイトの方が、病気やケガで仕事を休む際の手順をまとめました。
ご自身の状況に合わせて、順を追って確認を進めてください。

まず、ご自身が健康保険の被保険者であるかを確認します。
週の所定労働時間が 20時間未満であれば、健康保険の対象外となる場合があります。
ただし、勤務先の規模や契約内容によって条件は異なります。

また、通常の労働者の 4分の3以上の労働時間がある場合も、加入条件が異なります。
さらに、特定適用事業所では、令和9年10月から厚生年金保険の被保険者数が 36人以上の企業等で働き、他の加入要件も満たす短時間労働者が対象となります。

参考:短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大|日本年金機構

次に、以下の5つの工程で進めるのが一般的です。

  1. 医師の診断を受ける
    医師に現在の状況を伝え、診断書を作成してもらいます。
    診断書は休職手続で求められることがありますが、傷病手当金の申請には申請書上の医師の意見が必要です。
    ただし、診断書の作成には別途費用がかかる場合があります。
  2. 会社へ休職の連絡をする
    体調を伝え、休職の手続きについて相談します。
    就業規則によってルールが異なるため、事前の確認が要ります。
    連絡先は、直属の上司か、人事・総務などの担当部署かを確認しましょう。
  3. 休職の手続きを行う
    会社から指示された書類を提出します。
    傷病手当金の申請についても、会社を通じて進める方法を確認しておくとスムーズです。
    在職中の期間を申請する場合は、原則として会社による「事業主の証明」が必要です。
  4. 待期期間を過ごす
    傷病手当金を受け取るには、連続して 3日間休む必要があります。
    ただし、待期には土日祝などの公休日や有給休暇も含まれます。
    4日目から支給の対象となります。
  5. 支給申請を行う
    休職期間中、または退職後に、必要書類を提出して申請します。
    申請には医師の証明が必要なため、早めに準備を進めることが大切です。
    なお、退職後に継続して受給するには、資格喪失日の前日までに 1年以上の被保険者期間があり、退職日に受給中か支給要件を満たしている必要があります。

支給される傷病手当金の額は、標準報酬月額の平均を30で割った額に 3分の2を掛けて算出されます。
支給期間は、支給を開始した日から通算して 1年6か月までです。

参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

手続きの詳細は、勤務先の担当部署や、加入している保険者に相談してください。
また、雇用保険に関する手続きについては、管轄のハローワークで確認できます。

参考:雇用保険の具体的な手続き|厚生労働省

休職の手続きで確認すべき期限

休職の手続きを進める際は、ご自身の雇用形態や、その後の保険の選び方によって、確認すべきタイミングが異なります。

特に、契約期間や加入している保険の種類によって、手続きの期限や対象となる制度が変わるため、事前の確認が要ります。

以下の表に、立場ごとの一般的な扱いをまとめています。ご自身の状況に近いものを参考にしてください。

立場別の保険と手続きの目安
いまの立場 保険の扱い 次に見るところ
正社員 健康保険・厚生年金 会社の休職制度
契約社員 健康保険・厚生年金 契約期間と更新
パート・アルバイト 条件により健康保険 加入要件の確認
休職中で在籍している人 健康保険・厚生年金 傷病手当金の申請
退職して任意継続を選んだ人 任意継続被保険者 保険料の納付
退職して国民健康保険に入った人 国民健康保険 市区町村の窓口
家族の扶養に入った人 被扶養者 扶養認定の手続き
産前産後・育児休業の人 健康保険・厚生年金 保険料の免除申請

雇用形態によっては、社会保険の加入ルールが異なります。例えば、健康保険や厚生年金保険の被保険者とされない短期契約の期間は、2か月です。

この期間内の期間を定めて使用される人は、原則として被保険者とはなりません。ただし、当初の雇用期間がこの期間以内であっても、それを超えて雇用されることが見込まれる場合は、契約当初から被保険者になります。

パート・アルバイトの方が社会保険に加入するかどうかは、週の所定労働時間、月の所定労働日数、月額賃金などの条件が影響します。週の所定労働時間が20時間未満でも、通常の労働者の労働時間・労働日数の4分の3以上なら加入対象です。

また、特定の適用事業所などで働く短時間労働者の場合、企業の規模によって加入要件が変わります。

現在は厚生年金保険の被保険者数が51人以上の企業等が対象ですが、令和9年10月からは36人以上の企業等へ拡大される予定です。

参考:短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大|日本年金機構

退職後に健康保険の「任意継続」を選択する場合、手続きには厳格な期限があります。協会けんぽを利用する場合、退職日の翌日から20日以内に申し出なければなりません。

この期限を過ぎると、任意継続は選べなくなるため注意が必要です。

参考:任意継続(任意継続の被保険者期間・保険料・保険給付)|全国健康保険協会

任意継続ができる期間は、原則として2年です。ただし、他の健康保険の被保険者になった場合や、保険料を期限までに納めなかった場合などは、途中で資格を失うことがあります。

雇用保険の基本手当(失業保険)を受給する場合も、期限があります。受給資格を得た離職日の翌日から、原則として1年を過ぎると、所定の給付日数が残っていても支給されません。

参考:ハローワークインターネットサービス|雇用保険の具体的な手続き|厚生労働省

休職から復職を目指す場合や、退職して新しい保険に切り替える場合は、それぞれの制度に定められた期限があります。期限を過ぎると、希望する制度を利用できなくなることがあるため、早めの確認が必要です。

アルバイトが休職する際の中身

アルバイトの方が休職を検討する場合、ご自身が社会保険の被保険者にあたるかどうかが、その後の保障の分かれ目になります。

雇用条件によって、休職中の手当や退職後の選択肢が変わるため、まずはご自身の立場を整理しましょう。

社会保険の被保険者として休職する場合

週の所定労働時間が 20時間 以上などの要件を満たし、社会保険に加入している方は、休職中も被保険者の資格が継続します。

短時間労働者の場合、所定内賃金が月額 88,000円 以上であるなどの要件を満たせば、被保険者となります。ただし、この賃金要件は令和8年10月に撤廃される予定です。

また、令和9年10月からは、厚生年金保険の被保険者数が 36人 以上の企業等で働き、他の加入要件も満たす短時間労働者が対象となります。

参考:短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大|日本年金機構

休職中の保険料は、給与の有無にかかわらず、会社と本人が半分ずつ負担する仕組みは変わりません。ただし、休職により給与がなくなると、支払いの負担感が増す場面もあります。

被保険者であれば、病気やケガで働けなくなった際に、健康保険から傷病手当金を受け取れる可能性があります。

参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

傷病手当金は、連続して 3日 間を含み、4日以上仕事に就けなかったことが要件です。支給額は、標準報酬月額の平均を30で割った額に 3分の2 を掛けた金額となります。

支給期間は、支給を開始した日から通算して 1年6か月 です。ただし、退職後に継続して受給するには、退職日までに続けて 1年 以上被保険者で、退職日に受給中か支給要件を満たす必要があります。

社会保険の被保険者ではない場合

社会保険の加入要件を満たさず、被保険者ではない状態で休職する場合は、休職中の保障の仕組みが異なります。

この場合、休職中に病気やケガで働けなくなったとしても、健康保険から傷病手当金を受け取ることはできません。

休職期間が長くなり、そのまま退職することになった場合は、退職後の保険の切り替えについて検討が必要になります。

例えば、退職後に失業保険(基本手当)を受給する場合、離職理由や訓練を受ける状況によって給付制限が異なることがあります。

参考:令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます|厚生労働省

自己都合による退職の場合、原則として 1か月 の給付制限がかかります。ただし、直前5年間に正当な理由のない自己都合退職が2回以上ある場合は、3か月 となるため注意が必要です。

基本手当の受給期間は、離職日の翌日から原則として 1年 です。この期間を過ぎると、所定給付日数が残っていても支給されないため、早めにハローワークへ相談しましょう。

傷病手当金を受け取るための待期期間

健康保険の被保険者が、病気やケガで働けなくなったときに受け取れるのが傷病手当金です。支給を受けるためには、まず一定の期間、連続して休む必要があります。

連続して休む必要がある期間

傷病手当金を受け取るには、連続して3日休むことが要件となります。この期間には、土日や祝日、有給休暇などの公休日も含まれます。

連続して3日休んだあとに、4日目から支給の対象となります。ただし、途中で出勤した場合は待期期間がリセットされるため注意が必要です。

待期期間のカウントは、医師の診断に基づき「労務に服することができない状態」が続いていることが前提です。会社が定める休職制度の開始日とは異なる場合があるため、就業規則を確認しましょう。

休んだ3日のあと、4日目から支給されます1日目2日目3日目4日目から支給待期(3日)は支給されません。土日・祝日や有給休暇も入ります支給される期間通算1年6か月1日あたりの額標準報酬日額の3分の2
傷病手当金は、いつから・どれくらい出るか制度の適用時点:2026-07/確認日:2026-07-26/出典:全国健康保険協会(協会けんぽ)

図は、傷病手当金がいつから、どのくらいの期間支給されるかの目安を示しています。

支給される金額と期間

支給される金額や、いつまで受け取れるかは、以下の通りです。

  • 支給額は、標準報酬日額の3分の2
  • 支給期間は、支給開始日から通算して1年6か月

参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

支給額の計算には、標準報酬月額の平均額が用いられます。被保険者期間が12か月未満の場合、計算の基礎となる数値には上限が設けられています。

上限額は、支給開始日が令和7年4月1日以降であれば320,000円です。ただし、年度替わりで見直される可能性があるため、最新の情報をご確認ください。

退職後の継続給付について

退職後に傷病手当金を継続して受け取るには、資格喪失日の前日までに、継続して1年以上の被保険者期間が必要です。

ただし、退職時にすでに傷病手当金を受けているなどの条件を満たす必要があります。また、退職後に国民健康保険へ切り替えても、それだけで継続給付の対象外にはなりません。

申請の手順や必要書類については、勤務先の総務担当部署や、加入している健康保険組合へ相談してください。申請には医師の証明が必要となるため、早めに医療機関へ相談しましょう。

参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

手続きがうまくいかないときの相談先

手続きを進める中で、判断に迷ったり、会社とのやり取りで困ったりすることがあります。
状況によって、相談できる窓口は異なります。

会社とのやり取りや制度の確認に困っている場合

休職中の社会保険料の支払い方や、傷病手当金の申請書類について、会社と話がまとまらないことがあります。
まずは、勤務先の担当部署に相談してください。

給与が支払われない期間の本人負担分をどう扱うかは、会社との確認が必要です。
ただし、就業規則によって休職中の扱いが定められている場合もあります。

もし、会社との交渉が必要な事案であれば、弁護士へ相談してください。
ここでは、会社との交渉を代行することはできません(弁護士法72条)。

退職後の保険や失業の手続きについて困っている場合

退職後の健康保険の選び方や、失業保険の手続きについて確認したいときは、公的な窓口を利用してください。

退職後の健康保険(任意継続)の加入手続きについては、加入している健康保険組合や、全国健康保険協会(協会けんぽ)へ相談できます。
加入の申込みには期限があるため、早めの確認が要ります。

協会けんぽの任意継続の場合、退職日の翌日から20日以内に申し出る必要があります。
20日目が土日・祝日の場合は、翌営業日が期限となります。

郵送を利用する場合は、20日以内に必着させる必要があるため注意してください。

参考:任意継続被保険者制度|全国健康保険協会(協会けんぽ)

任意継続でいられる期間は、原則として2年間です。
ただし、他の健康保険の被保険者になったときや、保険料を期限までに納めなかったときなどは、途中で資格を失います。

参考:任意継続(任意継続の被保険者期間・保険料・保険給付)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

失業保険(雇用保険の基本手当)の受給要件や、離職票の交付について確認したいときは、管轄のハローワークへ相談してください。
受給できるかどうかは、管轄のハローワークが判断します。

基本手当の受給期間は、原則として離職日の翌日から1年間です。
この期間を過ぎると、所定給付日数が残っていても支給されません。

ただし、妊娠・出産・育児、病気やケガなどの理由で引き続き30日以上働けないときは、申請によりその日数を加算できる場合があります。

参考:雇用保険の具体的な手続き|厚生労働省

パートの休職に関するよくある勘違い

休職中も社会保険料の支払いは止まりますか

いいえ、休職中も社会保険の資格は継続するため、保険料の支払いは止まりません。
保険料が免除されるのは、産前産後休業や育児休業の期間に限られます。
給与が発生しない期間も、本人負担分の支払いは必要です。

会社と本人が保険料を折半する仕組みは、休職中も変わりません。
ただし、休職中の本人負担分の支払方法は会社によって異なるため、詳細は勤務先に確認してください。

傷病手当金を受け取っていれば、保険料は払わなくていいですか

いいえ、傷病手当金を受給していても、社会保険料の支払い義務はなくなっていません。
傷病手当金は、病気やケガで働けない期間の生活を支えるための給付です。

保険料の負担とは、全く別の仕組みとして存在しています。

傷病手当金は、標準報酬月額の平均をもとに算出した標準報酬日額の3分の2にあたる額が支給されます。

参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

退職して任意継続を選んだ場合、保険料は在籍中と同じですか

いいえ、退職して任意継続を選ぶと、保険料の負担方法は変わります。
在籍中は会社が保険料の半分を負担していますが、任意継続では本人が全額を負担します。

そのため、月々の支払額は、およそ2倍になるケースが一般的です。

なお、退職時の標準報酬月額が320,000円を超える場合は、この上限額が適用されます。

参考:【健康保険】令和8年度の任意継続被保険者の標準報酬月額の上限について|全国健康保険協会(協会けんぽ)

退職後に任意継続の加入を忘れてしまったらどうなりますか

退職後の手続きには、厳格な申込みの期限があります。
協会けんぽの場合、退職日の翌日から20日以内に資格取得申出書を提出する必要があります。
この期限を過ぎると、任意継続の資格を得ることはできません。

期限内に手続きができない場合は、国民健康保険への加入を検討してください。

参考:任意継続(任意継続の被保険者期間・保険料・保険給付)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

まとめ

パートやアルバイトの方が休職を検討する際は、以下の点を確認してください。

  • 社会保険の被保険者であれば、休職中も資格は継続し、保険料の負担割合も変わりません。
  • 給与が止まっていても、会社と本人が半分ずつ負担する仕組みは継続します。
  • 要件を満たせば、病気やケガで働けない期間の生活を支える給付を受けられます。
  • 退職して任意継続を選ぶと、保険料は全額が本人の負担になり、金額も変わります。
  • 任意継続の加入には申込みの締切があるため、早めの確認が要ります。

休職中の保障を詳しく知りたい方は、傷病手当金と休職の解説もあわせてご覧ください。

制度の具体的な申請方法については、手続きのガイドにまとめています。

傷病手当金は、連続して3日の待期期間を経て、4日目から支給対象となります 。支給期間は、支給開始日から通算して1年6か月です 。

参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会

退職後に任意継続を選ぶ場合は、退職日の翌日から20日以内に申し出る必要があります 。ただし、この期限を過ぎると加入できなくなるため注意してください。

参考:任意継続被保険者制度|全国健康保険協会

この記事の根拠(本文内39か所・台帳17項目・一次資料9件)

制度の数値(台帳から出しています)

一次資料

数値は一次情報で確かめてから台帳に入れています(情報源について)。リンク先の内容が変わっているのを見つけたら訂正の受付までお知らせください。

この記事の編集責任者

JPSM INTERNET SERVICE 代表

小笠原 治輝おがさわら はるき

休職から退職までの手続きを自分で経験しました。傷病手当金の申請、雇用保険の受給期間延長、健康保険と年金の切り替えを実際に進めた経験があります。記事は、厚生労働省・e-Gov法令検索・ハローワークの一次情報と突き合わせて確認しています。