妊娠中に失業保険をもらうための手続きと受給期間の延長

妊娠中に失業保険を受給するための手続きと、働けない期間の延長について

離職して失業保険(基本手当)の受給を考えている方や、受給中に妊娠がわかった方向けに、手続きの進め方を解説します。妊娠や出産により、一定の期間働けない状態になっても、受給期間を延長できる仕組みがあります。

  • 受給中に妊娠がわかった場合は、ハローワークへ状況を伝える必要があります
  • 妊娠や出産により30日以上働けないときは、受給期間の延長を申し込めます
  • 延長後の受給期間は、最長で4年までとなります

最終更新: / 出典: 厚生労働省

妊娠中に失業保険の手続きを進める5つの工程

妊娠中に失業保険(働く意思と能力があるのに仕事に就けない状態の人に支給される手当)の手続きを進める場合、以下の5つの工程が目安となります。

  1. 離職票(会社が発行する、離職したことを証明する書類)を準備する
  2. ハローワークへ行き、求職の申し込みを行う
  3. 待期期間(失業の状態であることを確認するための、支給前の一定期間)を過ごす
  4. 失業認定を受ける(ハローワークで、失業の状態にあることを定期的に確認してもらう手続き)
  5. 基本手当(失業中に支給される給付金)を受け取る

離職理由が自己都合の場合、原則として1か月の給付制限期間があります。ただし、離職日前5年間に正当な理由のない自己都合離職で2回以上受給資格決定を受けた場合は、3か月となるため注意が必要です。

ハローワークでの手続き後、まずは7日の待期期間を過ごします。その後は、おおよそ4週間の間隔で失業認定を受ける流れが一般的です。

基本手当日額は、離職前の賃金日額をもとに決まります。基本手当日額は、年齢や離職前の賃金によって決まるため、事前の確認が要ります。

ただし、時給・日給・出来高払いの場合は、70%の最低保障が適用される場合があります。

賃金日額と基本手当日額の基準額
区分 賃金日額(上限) 基本手当日額(上限)
29歳以下 14,900円 7,450円
30〜44歳 16,540円 8,270円
45〜59歳 18,220円 9,110円
60〜64歳 17,400円 7,830円
全年齢(下限) 3,203円 2,562円

厚生労働省「雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ」をもとに作成

給料が高いほど、もらえる割合は下がる1日にもらえる額8,270円2,562円16,540円賃金日額→もし割合が下がらなければ実際の額ここから下がる上限は30〜44歳16,540円から上は増えません
賃金日額から基本手当日額が決まるまで制度の適用時点:令和8年8月1日/確認日:2026-08-10/出典:厚生労働省

図は、賃金日額から基本手当日額が算出される仕組みを示しています。

基本手当の受給には、離職日の翌日から1年の受給期間があります。ただし、妊娠や出産などで引き続き1年以上職業に就けないときは、その日数を加算できます。加算後の期間は、最長で4年です。

受給期間の延長は自動ではありません。厚生労働省令の定めるところにより、公共職業安定所長に申し出る必要があります。手続きを忘れると、所定給付日数が残っていても支給されないため注意が必要です。

失業認定を受けた後、基本手当が振り込まれるまでは、認定日から5営業日ほどかかります。

参考:雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ|厚生労働省

手続きの期限と、いつまでに何をすべきか

基本手当を受け取るには、受給できる期間に限りがあります。この期間を過ぎると、たとえ給付日数が残っていても支給されなくなります。

基本手当の受給期間
区分 期間 備考
原則 1年 離職日の翌日から起算
延長できる場合 4年 妊娠・出産・育児などの理由

厚生労働省「雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ」をもとに作成

受給期間の延長は、自動で行われるものではありません。妊娠や出産、育児などの理由で、引き続き30日以上職業に就けないときは、公共職業安定所長に申し出る必要があります。

延長できる期間には上限があります。加算された後の期間が 4年 を超えるときは、その上限が適用されます。

離職票を提出して求職を申し込み、受給資格決定を受けた日から、失業している日が通算7日に達するまでが待期期間です。その後、定期的な失業認定を受ける流れとなります。

失業認定の間隔は、原則として 4週間 です。認定を受けた後、基本手当が振り込まれるまでは、認定日から 5営業日 かかります。

自己都合による離職の場合、原則として 1か月 の給付制限期間があります。ただし、離職日前5年間に正当な理由のない自己都合離職で2回以上受給資格決定を受けた場合は、3か月 となります。

早期に再就職が決まった際は、再就職手当の検討も可能です。支給残日数が所定給付日数の 3分の1以上 であることなど、一定の要件を満たす必要があります。

ただし、再就職手当は「厚生労働省令で定める安定した職業に就いたこと」などの要件も必要です。また、過去に受給歴がある場合などは支給されないこともあるため、詳細は窓口で確認してください。

受給期間の延長手続きについては、ハローワークの窓口で詳細を確認しましょう。妊娠中の方は、受給期間が終了する前に、早めに申し出を行うことが推奨されます。

参考:雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ|厚生労働省

受給中に妊娠がわかったときの対応

失業保険の手続きを進めている間に妊娠がわかった場合、その後の受給の進め方は、求職・就労が可能な状態かどうかによって異なります。

まずは、ご自身がどのような離職理由で手続きをしているかを確認してください。

離職理由によって変わる待期期間と給付制限

失業保険の手続きには、まず共通の待期期間があります。そのあとに、離職理由に応じた給付制限(一定期間、手当が支給されない期間)が続く場合があります。

  • 離職理由にかかわらず、最初に7日の待期期間があります
  • 自己都合による離職の場合、原則として1か月の給付制限があります
  • 直前5年間に正当な理由のない自己都合退職が2回以上ある場合は、3か月の給付制限があります
会社の都合なら、待つのは7日だけ待期7日会社都合基本手当が出る自己都合1か月基本手当が出るくり返し3か月茶色は出ない期間、青緑は出る期目もりは実際の日数どおりですそのあと認定日5営業日4週間後
退職の理由でどれだけ待つかが変わる制度の適用時点:令和8年8月1日/確認日:2026-08-10/出典:厚生労働省

図は、離職理由の違いによって、手当を受け取れるようになるまでの期間が異なることを示しています。

体調により働けない場合の判断

妊娠の影響で、一時的に仕事を探したり働いたりすることが難しい状態になった場合、受給の進め方が変わることがあります。

基本手当は、働く意思と能力がある状態が条件です。体調により就労が困難な場合は、管轄のハローワークへ相談してください。

例えば、つわりなどで求職活動ができない状態は、受給要件を満たさないと判断される可能性があります。ただし、医師の診断書などにより、受給期間の延長ができる場合もあります。

受給期間の延長手続き

妊娠や出産により、引き続き30日以上職業に就けないときは、受給期間を延長できる仕組みがあります。

延長は自動で行われません。公共職業安定所長(ハローワーク)へ申し出る必要があります。延長後の期間は、最長で4年までとなります。

手続きのタイミングや必要書類は、状況により異なるため、早めに管轄のハローワークへ確認しましょう。

参考:雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ[PDF]|厚生労働省


参考:ハローワークインターネットサービス|雇用保険の具体的な手続き|厚生労働省

妊娠中で働けないときに受給期間を延ばす方法

妊娠や出産の影響で、すぐに仕事を探すことが難しい場合は、受給期間の延長手続きが検討できます。この手続きを行うことで、手当を受け取れる期間を後ろにずらすことが可能です。

延長の手続きは、公共職業安定所(ハローワーク)へ申し出ることで進められます。受給期間の延長は、妊娠や出産などの理由で、引き続き30日以上職業に就けない場合に検討できる仕組みです。

延長が認められた場合、失業の認定を受けるタイミングや、手当の振込時期も変わります。失業の認定の間隔は、原則として4週間です。認定日から振込までの日数は、5営業日となります。

基本手当の受給期間は、離職日の翌日から1年が原則です。ただし、妊娠や出産などの理由で引き続き30日以上職業に就けないときは、その日数を加算できます。加算後の期間は、最長で4年となります。

延長の手続きは自動で行われません。延長後の受給期間の最後の日まで申請できますが、遅いと全日数を受給できないことがあります。具体的な要件や必要書類は、管轄のハローワークへ事前に確認してください。

現在の状況によって、受給の進め方や、次に確認すべき制度は異なります。以下の表に、立場別の例をまとめています。

離職理由や状況による違いの例
いまの立場 扱い 次に見るところ
正社員 離職理由により受給条件が異なる 離職理由の確認
契約社員 離職理由により受給条件が異なる 離職理由の確認
パート・アルバイト 離職理由により受給条件が異なる 離職理由の確認
休職中で在籍している人 失業保険の対象外 会社の休職制度
退職して任意継続を選んだ人 健康保険の仕組みが異なる 保険料の支払い
退職して国民健康保険に入った人 健康保険の仕組みが異なる 保険料の支払い
家族の扶養に入った人 健康保険の仕組みが異なる 扶養の条件
産前産後休業や育児休業の人 雇用保険の仕組みが異なる 休業中の給付

厚生労働省の情報を参考に作成

受給期間の延長に関する具体的な要件や手続きの詳細は、管轄のハローワークで確認してください。

参考:雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ|厚生労働省

手続きで困ったときの相談先

手続きの過程で、制度の適用範囲や金額について疑問が生じる場面があります。
状況によって、相談すべき窓口や確認すべき内容が異なります。

雇用保険の給付に関する相談

失業保険の受給条件や、手当の金額に関する相談は、管轄のハローワークで行います。
給付の判定や、再就職手当の要件などは、ハローワークが判断します。

再就職手当については、以下の要件などが確認のポイントです。
ただし、過去に受給歴がある場合など、条件により支給されないケースもあります。

  • 再就職手当の対象となる支給残日数が、所定給付日数の 3分の1以上 であること
  • 厚生労働省令で定める安定した職業に就いたことなどが求められること

また、賃金日額の計算において、時給や日給の最低保障の率が 70% であるかどうかも、計算の根拠となります。

参考:雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第17条(賃金日額)|e-Gov法令検索

基本手当日額には、年齢に応じた上限額が設定されています。
7,450円 から 9,110円 までの範囲で、年齢により異なります。

参考:雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ[PDF]|厚生労働省

賃金日額の上限額についても、年齢によって 14,900円 から 17,400円 までの幅があります。
下限額は 3,203円 です。
ただし、実際の計算は離職前の賃金に基づきます。

受給期間の延長についても、ハローワークへ申し出る必要があります。
妊娠や出産により30日以上働けない場合は、延長の手続きを検討してください。
ただし、延長は自動的に行われるものではありません。

延長により、受給期間は 1年 を超えて、最長で 4年 まで加算可能です。
具体的な手続きの流れは、ハローワークのホームページでも確認できます。

参考:ハローワークインターネットサービス|雇用保険の具体的な手続き|厚生労働省

賃金や労働条件に関する相談

離職前の賃金や、会社から支払われるべき金品に関する相談は、労働基準監督署が窓口となります。
労働基準法に基づき、会社が支払うべき権利について確認が必要な場合に利用します。

会社との間で、支払われるべき賃金について争いがある場合は、専門家への相談も検討してください。
労働基準監督署は、会社との交渉を代行することはできません。

具体的な紛争解決については、弁護士などの専門家へ相談することをおすすめします。

妊娠中の失業保険に関するよくある勘違い

妊娠中や出産で働けない期間は、基本手当が支給されますか

いいえ、基本手当は働く意思と能力があるにもかかわらず、職業に就けない状態の人に支給されるものです。

参考:雇用保険法|e-Gov法令検索

妊娠や出産の影響で、医師の判断などにより30日以上職業に就けない場合は、受給期間の延長手続きを検討してください。
ただし、延長は自動ではなく、公共職業安定所長への申し出が必要です。

ハローワークへの求職申し込みをすれば、すぐに受給できますか

いいえ、申し込み後にはまず、離職理由にかかわらず共通の待期期間 7日 があります。

そのあとに、離職理由に応じた給付制限が続く場合があります。
受給できる時期は、これらの期間を経てからとなります。

求人情報を閲覧したり、ハローワークに登録したりするだけで、求職活動実績になりますか

いいえ、閲覧や登録だけでは求職活動実績になりません。
求人への応募や、許可・届け出のある職業紹介事業者が行う職業相談などが対象です。

実績として認められる回数は、給付制限の有無などで変わる場合があります。
詳細は管轄のハローワークで確認してください。

自己都合で退職した場合は、何度辞めても給付制限は同じですか

いいえ、離職の経緯によって条件が変わります。
離職日前5年間に正当な理由のない自己都合離職で2回以上受給資格決定を受けた場合、給付制限が 3か月 になります。

ご自身の状況がどの区分に該当するかは、管轄のハローワークで確認してください。

参考:雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ[PDF]|厚生労働省

まとめ

  • 基本手当は、働く意思と能力があるのに仕事に就けない状態の人に支給されます。ただし、妊娠や出産で働けない期間は支給対象外です。
  • 妊娠や出産の影響で30日以上働けないときは、受給期間の延長手続きが検討できます。受給期間は原則1年ですが、最長で 4年 まで延長可能です。
  • 受給期間の延長は、自動的には行われません。ハローワークへ申し出る必要があります。
  • 求職活動の実績は、求人への応募や職業相談などが対象です。閲覧や登録だけでは実績になりません。
  • 離職理由によって、給付制限の有無や期間が異なります。自己都合離職を繰り返した場合、給付制限が 3か月 になるケースもあります。

制度の判定や具体的な手続きについては、管轄のハローワークへ相談してください。
また、失業保険の仕組みや、各種手続きの流れについてもあわせて確認しておくと役立ちます。

この記事の根拠(本文内55か所・台帳19項目・一次資料4件)

制度の数値(台帳から出しています)

一次資料

数値は一次情報で確かめてから台帳に入れています(情報源について)。リンク先の内容が変わっているのを見つけたら訂正の受付までお知らせください。

この記事の編集責任者

JPSM INTERNET SERVICE 代表

小笠原 治輝おがさわら はるき

休職から退職までの手続きを自分で経験しました。傷病手当金の申請、雇用保険の受給期間延長、健康保険と年金の切り替えを実際に進めた経験があります。記事は、厚生労働省・e-Gov法令検索・ハローワークの一次情報と突き合わせて確認しています。