失業保険の初回が少ないのはなぜ?受給の流れと期限

失業保険の初回受給額が少ない理由とは、待期期間や給付制限の影響です

離職して失業保険(基本手当)の申請をしたものの、最初の振込額が思ったより少ないと感じる方がいます。これは、受給開始までの待期期間や、自己都合退職による給付制限が関係しているためです。この記事では、受給までの流れと、金額に影響する仕組みを解説します。

  • 待期期間中は基本手当が支給されません
  • 自己都合退職の場合、一定期間は給付が制限されます
  • 初回は待期期間を除いた日数分のみが対象となります

最終更新: / 出典: 厚生労働省

失業保険の初回受給額が少ないと感じる理由

失業保険の初回受給額が少なく感じられる場合、受給までのプロセスにいくつかの期間が挟まっていることがあります。

基本手当(失業の状態にあるときに支給される手当)を受け取るには、一定の期間を過ぎる必要があります。

受給額や受給開始時期は、離職の理由やこれまでの状況によって変わります。主な要因は、以下の3つの期間です。

  • すべての人が共通して受ける待期(ハローワークに求職の申し込みをした後、基本手当が支給されない期間)の 7日
  • 自己都合による離職の場合に発生する給付制限(一定期間、基本手当の支給が停止される仕組み)の 1か月
  • 直前5年間に正当な理由のない自己都合退職が2回以上ある場合の給付制限の 3か月
会社の都合なら、待つのは7日だけ待期7日会社都合基本手当が出る自己都合1か月基本手当が出るくり返し3か月茶色は出ない期間、青緑は出る期目もりは実際の日数どおりですそのあと認定日5営業日4週間後
退職の理由でどれだけ待つかが変わる制度の適用時点:令和8年8月1日/確認日:2026-08-10/出典:厚生労働省

離職の理由によって、給付が始まるまでの待ち時間が異なります。

初回に受け取れる金額が少なく見えるのは、これらの期間があるために、最初の支給タイミングが後ろにずれたり、支給される日数が限られたりするためです。

ご自身の状況がどの期間に該当するかは、管轄のハローワークで確認してください。

参考:雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ[PDF]|厚生労働省

また、初回支給額は「認定日数」によって決まります。失業認定は通常 4週間 ごとに行われます。

初回は、待期期間や給付制限期間が終わった後の、最初の認定日までの日数分のみが対象となります。

そのため、2回目以降の支給分と比較して、日数が少なくなり金額が低く感じることがあります。

さらに、振込までのタイミングも影響します。認定日から実際の振込までは 5営業日 かかります。

手続きのタイミングによっては、最初の入金が想定より遅れるケースもあります。ただし、受給期間自体は離職日の翌日から原則 1年 です。

もし妊娠や出産などで働けない期間がある場合は、受給期間の延長ができる場合があります。ただし、延長は自動ではないため、公共職業安定所長へ申し出る必要があります。

延長後の期間は、加算された期間が 4年 を超える場合は、その上限までとなります。

なお、60歳以上の定年退職などの場合は、求職の申込みをしない期間を合算できる仕組みもあります。詳細はハローワークへ相談してください。

失業保険を受け取るための5つの工程

失業保険の受給は、ハローワークでの手続きから始まります。
手続きを進める中で、定期的な認定を受ける必要があります。

受給までの主な流れと、お金が振り込まれるまでの目安をまとめました。
ご自身の状況に合わせて、時期の目安として確認してください。

失業保険の手続きと振込の目安
工程 内容 期間の目安
1. 離職票の提出 ハローワークへ書類を出す 退職後すぐ
2. 求職の申し込み 受給資格の確認を受ける 離職票が届き次第
3. 待期期間 支給されない最初の期間 7日
4. 失業の認定 受給資格の継続を確認 4週間ごと
5. 基本手当の振込 指定口座への入金 認定日から5営業日

参考:雇用保険の具体的な手続き|厚生労働省

失業の認定は、一定の間隔で行われます。
認定を受けた後、指定された日数で手当が振り込まれます。

受給期間は、離職日の翌日から原則として1年です。
ただし、妊娠や出産、育児などの理由で働けない場合は、期間の延長が可能です。

延長後の上限は4年となります。
ただし、自動ではないため、管轄のハローワークへ申し出る必要があります。

また、受給期間中に早く仕事が決まった場合は、再就職手当を受け取れることがあります。
再就職手当の要件の一つに、支給残日数の割合があります。

基本手当の支給残日数が、所定給付日数の3分の1以上であることなどが要件となります。
ただし、他にも安定した職業に就いたことなどの条件があり、管轄のハローワークが判断します。

なお、過去に受給したことがある場合は、支給されないケースもあります。

参考:雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ[PDF]|厚生労働省

受給額の計算には、賃金日額が用いられます。
賃金日額には、年齢や賃金形態に応じた上限額や下限額が定められています。
詳細は、管轄のハローワークで確認してください。

参考:雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第17条(賃金日額)|e-Gov法令検索

基本手当日額の上限額は、年齢によって異なります。
例えば、29歳以下の場合は7,450円です。
30〜44歳の場合は8,270円、45〜59歳の場合は9,110円となります。

また、賃金日額には下限額も設定されています。
全年齢において、下限額は3,203円です。
ただし、時給や日給などの形態によっては、別の計算方法が適用される場合があります。

時給や日給、出来高払いの場合は、賃金日額が最低保障の率である70%を下回らないよう定められています。
計算方法が異なる場合があるため、詳細はハローワークへ確認してください。

なお、正当な理由のない自己都合による退職の場合、原則として1か月の給付制限期間があります。
ただし、離職日前5年間に正当な理由のない自己都合退職による受給資格決定を2回以上受けた場合は、3か月となります。

手続きを遅らせないための期限一覧

失業保険の手続きには、受給できる期間の制限があります。手続きが遅れると、受給期間の満了により、所定給付日数の一部または全部を受給できなくなることがあります。

受給期間の制限に関するルール

基本手当を受け取れる期間には、原則として期限が設けられています。離職した翌日から数えて、以下の期間内に受給を終える必要があります。

  • 基本手当の受給期間は、離職日の翌日から原則として 1年 です。
  • 妊娠や出産などの理由で引き続き30日以上働けない場合は、その日数を加算できます。ただし、加算後の期間は最長で 4年 までとなります。
  • 60歳以上の定年等の場合は、求職の申し込みをしない期間(1年を限度)を合算できる仕組みがあります。

参考:雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ[PDF]|厚生労働省

受給期間の延長は、自動で行われません。厚生労働省令の定めるところにより、管轄の公共職業安定所長に申し出る必要があります。手続きを忘れると、受給期間を過ぎた時点で支給が打ち切られます。

賃金日額の計算における保障

賃金日額の計算において、時給や日給、出来高払いの場合は、雇用保険法第17条第2項第1号に基づき、70% の保障に関する規定があります。

参考:雇用保険法第17条(賃金日額)|e-Gov法令検索

受給できる期間が異なる場合

受給できる期間は、離職の理由やその後の状況によって分かれます。離職理由によって、給付制限の有無や、受給開始までのタイミングが変わります。

自己都合による離職の場合、原則として 1か月 の給付制限期間があります。ただし、離職日前5年間に正当な理由のない自己都合退職による受給資格決定を2回以上受けた場合は、制限が 3か月 となります。

また、離職理由が特定理由離職者などに該当する場合は、給付制限が適用されないケースもあります。ご自身の状況がどちらに該当するか、事前にハローワークで確認することが重要です。

参考:雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ[PDF]|厚生労働省

認定から振込までの流れ

失業の認定は、原則として 4週間 ごとに行われます。認定を受けた後、基本手当が振り込まれるまでの期間は、認定日から 5営業日 です。

なお、手続きの開始時には、受給資格決定日以後の失業している日を通算した 7日 の待期期間があります。この期間中は、いかなる理由でも基本手当は支給されません。受給期間の期限を過ぎると、たとえ所定給付日数が残っていても支給されなくなります。

参考:雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ[PDF]|厚生労働省

いまの状況によって変わる、次に確認すべきこと

受給額や受給開始のタイミングが想定と異なる場合は、ご自身の現在の立場や、離職の理由を整理してください。状況によって、確認すべき窓口や制度が異なります。

いまの状況と確認すべきこと
いまの立場 扱い 次に見るところ
正社員 在籍中 休職制度
契約社員 退職後 失業保険の受給要件
パート・アルバイト 退職後 失業保険の受給要件
休職中で在籍している人 在籍中 社会保険の継続
退職して任意継続を選んだ人 退職後 健康保険の支払い
退職して国民健康保険に入った人 退職後 国民健康保険の窓口
家族の扶養に入った人 退職後 健康保険の扶養手続き
産前産後休業や育児休業の人 在籍中 社会保険料の免除

基本手当日額は、賃金日額に基づいて決まります。賃金日額の計算方法や、年齢による上限・下限のルールを確認してください。

基本手当日額と賃金日額の基準
区分 基本手当日額 賃金日額
全年齢 2,562円 3,203円
29歳以下 7,450円 14,900円
30〜44歳 8,270円 16,540円
45〜59歳 9,110円 18,220円
60〜64歳 7,830円 17,400円
給料が高いほど、もらえる割合は下がる1日にもらえる額8,270円2,562円16,540円賃金日額→もし割合が下がらなければ実際の額ここから下がる上限は30〜44歳16,540円から上は増えません
賃金日額から基本手当日額が決まるまで制度の適用時点:令和8年8月1日/確認日:2026-08-10/出典:厚生労働省

図は、賃金日額から基本手当日額が算出される仕組みを示しています。

時給や日給、出来高払いの場合は、賃金日額が一定の割合を下回らないよう、最低保障の規定があります。ただし、計算方法が複雑なため、詳細はハローワークへ確認してください。

参考:雇用保険法 第17条(e-Gov法令検索)|e-Gov法令検索

基本手当の受給期間は、原則として離職日の翌日から1年です。ただし、妊娠・出産・育児などの理由で30日以上働けない場合は、その日数を加算できます。

参考:雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ[PDF]|厚生労働省

加算後の受給期間は、最長で4年となります。ただし、この延長は自動で行われません。管轄の公共職業安定所長へ申し出る必要があります。

また、60歳以上の定年退職などの場合は、求職の申込みをしない期間(1年を限度)を合算できる仕組みもあります。ただし、個別の要件を満たす必要があります。

受給額の計算や、受給開始時期について疑問がある場合は、管轄のハローワークへ相談してください。個別の状況に応じた判断は、ハローワークが行います。

手続きがうまくいかないときの相談先

ハローワークに相談すれば、受給額を増やせますか

いいえ、ハローワークに相談しても、基本手当日額の計算結果を変更することはできません。
基本手当日額は、離職前6か月間の賃金に基づいた決まった計算式によって算出されます。

計算方法に誤りがあると思われる場合は、計算の根拠となった賃金支払いの記録を準備して相談してください。
ただし、離職理由の判定が誤っている場合は、受給期間や給付制限が変わる可能性があります。

求人情報を閲覧しただけで、求職活動実績になりますか

いいえ、求人情報を閲覧しただけでは、求職活動実績にはなりません。
実績として認められるには、求人への応募や、許可を受けた職業紹介事業者による職業相談などが必要です。

具体的な実績の数え方は、管轄のハローワークで確認してください。
なお、公共職業訓練等の受講中は、求職活動実績が必要とされない場合があります。

退職代行業者に、会社への未払い賃金の請求を頼めますか

いいえ、一般の退職代行業者は会社と交渉できませんが、労働組合や弁護士は権限の範囲内で交渉できます。
未払い賃金の支払いを求める交渉は、弁護士のほか、加入した労働組合が団体交渉として行える場合があります。

代行業者に依頼しても、法律上の交渉は行えないため注意してください。
賃金の未払いに関するトラブルは、労働基準監督署などの公的機関へ相談することも検討しましょう。

離職理由の判定について、ハローワークに納得がいかないときはどうすればよいですか

管轄のハローワークの窓口で、直接相談してください。
離職理由の判定は、離職票に記載された内容や、会社から提出された書類をもとにハローワークが行います。

ご自身の状況を証明できる書類がある場合は、それを持参して相談することをおすすめします。
離職理由によって、給付制限の有無や受給期間が異なるため、正確な判定が重要です。

職業訓練の申し込みをすれば、求職活動実績になりますか

いいえ、訓練の申し込みをしただけでは、実績になりません。
訓練への応募後に選考試験を受験した場合は実績となり、受講中は実績が不要となる場合があります。

受講が実績として認められる条件については、管轄のハローワークで確認してください。
ただし、令和7年4月以降に特定の教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除される仕組みもあります。

参考:令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます|厚生労働省

参考:ハローワークインターネットサービス|雇用保険の具体的な手続き | 厚生労働省|厚生労働省


まとめ

  • 基本手当の受給には、7日の待期期間や、離職理由に応じた給付制限が関係します。
  • 自己都合退職の場合、原則として1か月の給付制限があります。
  • ただし、離職日前5年間に正当な理由のない自己都合退職による受給資格決定を2回以上受けた場合は、3か月となります。
  • 初回受給額は、離職前の賃金に基づき算出されます。ただし、年齢ごとに上限額が異なります。
  • 受給期間は、離職日の翌日から原則1年です。
  • 妊娠や出産などで働けない場合は、申請により最長4年まで延長可能です。
  • 求職活動の実績は、ハローワークへの申込みや訓練の受講開始などが対象となります。
  • 個別の判断や詳細な条件については、管轄のハローワークへ相談してください。

受給の手順や計算方法について詳しく知りたい方は、失業保険の解説ページもあわせて確認してください。

この記事の根拠(本文内51か所・台帳19項目・一次資料4件)

制度の数値(台帳から出しています)

一次資料

数値は一次情報で確かめてから台帳に入れています(情報源について)。リンク先の内容が変わっているのを見つけたら訂正の受付までお知らせください。

この記事の編集責任者

JPSM INTERNET SERVICE 代表

小笠原 治輝おがさわら はるき

休職から退職までの手続きを自分で経験しました。傷病手当金の申請、雇用保険の受給期間延長、健康保険と年金の切り替えを実際に進めた経験があります。記事は、厚生労働省・e-Gov法令検索・ハローワークの一次情報と突き合わせて確認しています。