抑うつ状態で休職するときに使える制度

抑うつ状態で休職する場合、どのような制度が使えますか

抑うつ状態で働けなくなり、休職を検討している会社員の方が、生活を維持するために利用できる制度について解説します。休職中の給与や、退職後の健康保険、失業保険などの仕組みを知ることで、少しずつ先の見通しを立てられます。

  • 有給休暇の消化による収入の確保
  • 傷病手当金による生活費の補填
  • 退職後の任意継続被保険者制度
  • 失業保険(基本手当)の受給

最終更新: / 出典: 全国健康保険協会

まずは、今日できることを一つだけ

体調が優れず、仕事が手につかないときは、無理に答えを出そうとしなくてよい時期です。
今は、判断力を保つことが難しい状態かもしれません。

まずは、今夜を静かに過ごすことだけを考えてください。
難しい手続きや制度のことは、少し落ち着いてからで大丈夫です。

もし、どうしても今すぐ何かをしたいと感じるなら、
まずは「医師の診察を受けること」を検討してください。
今の状態を専門家に伝えることが、次のステップにつながります。

医師の意見などを踏まえ、療養のため労務不能であると保険者に認められれば、
傷病手当金(病気やケガで働けない期間に、生活を支えるために支給される手当)を
受け取れる可能性があります。

傷病手当金は、勤務先の健康保険の被保険者が、
療養のため働けず、給与を受けられないときに受ける仕組みです。

支給を受けるには、連続して3日間の待期期間が必要です。
ただし、待期には土日祝などの公休日や有給休暇も含まれます。

支給額は、標準報酬月額の平均を30で割った額に3分の2を掛けた額が目安です。
支給期間は、支給開始日から通算して1年6か月までとなります。

参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

また、もし退職を考えている場合でも、
働く意思と能力があり、求職活動をしているなどの要件を満たせば、失業保険にあたる基本手当(仕事を失ったあとに、次の仕事を探すまでの期間に支給される手当)を
受け取れる仕組みがあります。

自己都合による退職の場合、原則として1か月の給付制限がかかります。
ただし、令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合は、
給付制限が解除される仕組みもあります。

参考:令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます|厚生労働省

退職後の保険についても、任意継続(退職後も、以前の健康保険に引き続き加入し続ける仕組み)を
選ぶ方法など、いくつかの選択肢があります。

任意継続を希望する場合、退職日の翌日から20日以内に申し出る必要があります。
この期限を過ぎると、任意継続は選べなくなるため注意が必要です。

参考:任意継続被保険者制度|全国健康保険協会(協会けんぽ)

任意継続ができる期間は2年間です。
ただし、保険料を期限までに納めなかった場合などは、
途中で資格を失うことがあります。

参考:任意継続(任意継続の被保険者期間・保険料・保険給付)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

これらは、今のあなたの体調や、これまでの働き方によって、
選べる内容が異なります。
まずは、医師の意見を大切にしながら、少しずつ進めていきましょう。

抑うつ状態で休職する場合に使える制度

まずは、会社に在籍したまま利用できる仕組みを確認しましょう。有給休暇の残日数にかかわらず、会社に休職制度があれば利用できる場合があります。

休職中も健康保険の資格は継続するため、傷病手当金を受け取れる可能性があります。支給を受けるには、連続して3日間の待期を含み、その後も仕事に就けなかったことが要件です。

待期期間には、土日祝などの公休日や有給休暇も含まれます。ただし、医師の診断に基づき、療養のために仕事を休んでいる必要があります。

支給される金額は、標準報酬月額の平均を30で割った額に 3分の2 を掛けた金額が目安となります。

休んだ3日のあと、4日目から支給されます1日目2日目3日目4日目から支給待期(3日)は支給されません。土日・祝日や有給休暇も入ります支給される期間通算1年6か月1日あたりの額標準報酬日額の3分の2
傷病手当金は、いつから・どれくらい出るか制度の適用時点:2026-07/確認日:2026-07-26/出典:全国健康保険協会(協会けんぽ)

図は、傷病手当金の支給開始時期や、受け取れる期間の目安を示しています。

支給期間は、開始した日から通算して 1年6か月 です。2022年(令和4年)1月1日以降は、通算方式で計算されます。

退職後に継続して給付を受けるには、退職日までに 1年 以上、継続して被保険者である必要があります。また、退職日に現に給付を受けているか、受けられる状態であることも条件です。

もし退職して、以前の健康保険を継続して利用する「任意継続」を選ぶ場合は、注意が必要です。加入の手続きは、退職日の翌日から 20日以内 に行う必要があります。

期限を過ぎると任意継続は選べなくなるため、退職後に優先して確認すべき事項です。なお、郵送の場合は期限内に必着させる必要があります。

任意継続で加入できる期間は 2年 です。ただし、保険料を納付期限までに納めなかった場合などは、途中で資格を失います。

保険料は、会社負担がなくなるため、本人が全額を負担します。東京都の例では、保険料率は 10.08% です。

標準報酬月額には上限があり、東京都の令和8年度の例では 320,000円 となっています。退職時の月額がこれを超える人は、上限が適用されます。

状況に応じた制度の例
立場 使える制度の例 確認の窓口
正社員 有給休暇、休職制度、傷病手当金 勤務先の会社
契約社員 有給休暇、休職制度、傷病手当金 勤務先の会社
パート・アルバイト 有給休暇、傷病手当金 勤務先の会社
休職中で在籍している人 傷病手当金 勤務先の会社・健康保険組合
退職して任意継続を選んだ人 任意継続被保険者 加入していた健康保険組合
退職して国民健康保険に入った人 国民健康保険 お住まいの市区町村
家族の扶養に入った人 被扶養者としての健康保険 扶養者の勤務先
産前産後・育児休業の人 育児休業給付金など 勤務先の会社

退職後の手続きについては、管轄の窓口で事前の確認が要ります。

参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会(協会けんぽ)


参考:任意継続被保険者制度|全国健康保険協会(協会けんぽ)

(もとにした一次情報と確認日:2026年8月23日)

会社に伝えずに、今の状態を整える方法

会社に今の状況を話す準備ができていないときは、会社を通さずに利用できる制度があります。まずは、ご自身の状況がどちらに近いかを確認してください。

会社に在籍したまま、給付を受ける場合

会社に休職を願い出る前に、傷病手当金の受給要件を確認しておく方法があります。傷病手当金は、連続して3日間の待期期間を満たすことで、支給の対象になる可能性があります。

支給される日額は、標準報酬月額の平均額を日額に直し、3分の2を掛けて計算します。被保険者期間が所定の期間に満たない場合は、本人の標準報酬月額の平均額と320,000円の低い方を使います。

支給期間は、支給開始日から通算して 1年6か月 です。ただし、退職後も継続して受給するには、退職日までに続けて 1年 の被保険者期間が必要です。

参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

働けるようになった日で切り替わる健康保険傷病手当金雇用保険受給期間の延長基本手当働けるようになった日働けない間1年6か月働けるとき待期7日同じ日に両方は受け取れません。働けない間に延長を申し出ておきます
傷病手当金と基本手当の切り替わり確認日:2026-07-26/出典:全国健康保険協会(協会けんぽ)/厚生労働省

図は、傷病手当金と基本手当の切り替わりについて示しています。会社に在籍している間は、傷病手当金を受け取る仕組みが中心となります。会社に伝えるタイミングや方法は、ご自身の体調に合わせて検討してください。

退職したあとに、給付を受ける場合

退職後、働く意思と能力があり、求職活動ができる状態であれば、雇用保険の基本手当(失業保険)を利用する方法があります。受給にあたっては、以下の点に注意が必要です。

  • 自己都合による退職の場合、原則として 1か月 の給付制限がかかることがあります
  • 受給の要件を満たせば、基本手当を受け取れる可能性があります

基本手当の受給については、管轄のハローワークで確認してください。なお、一定の条件を満たす場合、給付制限が解除されるケースもあります。例えば、令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合などが該当します。

参考:雇用保険の具体的な手続き|厚生労働省


参考:令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます|厚生労働省

また、退職後に健康保険を継続する方法として、任意継続被保険者制度があります。加入を希望する場合は、退職日の翌日から20日以内に申し出る必要があります。正当な理由があると保険者が認めたときは、期限後の申し出が認められる場合があります。

原則として、この期限を過ぎると手続きができなくなるため注意が必要です。

参考:任意継続被保険者制度|全国健康保険協会(協会けんぽ)

任意継続で加入できる期間は2年です。

参考:任意継続(任意継続の被保険者期間・保険料・保険給付)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

なお、任意継続の保険料は原則として全額自己負担となります。加入期間や保険料の詳細は、任意継続で加入する協会けんぽや健康保険組合によって異なるため、退職前にあらかじめ確認しておくとスムーズです。

まとめ

抑うつ状態で仕事が難しいときは、無理に結論を出そうとせず、まずは制度の仕組みを知ることから始めてください。

これまでに確認したポイントをまとめました。

  • 会社に在籍したまま、傷病手当金を受け取れる可能性があります。支給には連続して 3日 間の待期期間を満たすことが要件です。
  • 傷病手当金の支給期間は、支給開始日から通算して 1年6か月 です。ただし、支給開始日前の被保険者期間が12か月未満の場合は、計算に使う標準報酬月額の平均額に上限があります。
  • 休職中も健康保険の資格は継続するため、保険料の負担割合は変わりません。
  • 退職して基本手当を受ける場合は、管轄のハローワークで要件を確認してください。自己都合による退職の場合、原則として 1か月 の給付制限がかかることがあります。
  • 退職後に任意継続を選ぶと、保険料は全額が本人の負担になります。協会けんぽの場合、退職日の翌日から 20日以内に申し出る必要があります。

ご自身の状況に合わせて、傷病手当金失業保険の仕組みを整理しておきましょう。

この記事の根拠(本文内31か所・台帳11項目・一次資料7件)

制度の数値(台帳から出しています)

一次資料

数値は一次情報で確かめてから台帳に入れています(情報源について)。リンク先の内容が変わっているのを見つけたら訂正の受付までお知らせください。

この記事の編集責任者

JPSM INTERNET SERVICE 代表

小笠原 治輝おがさわら はるき

休職から退職までの手続きを自分で経験しました。傷病手当金の申請、雇用保険の受給期間延長、健康保険と年金の切り替えを実際に進めた経験があります。記事は、厚生労働省・e-Gov法令検索・ハローワークの一次情報と突き合わせて確認しています。