休職のデメリットと退職後の保険料の違い

休職のデメリットと、退職後に検討すべき保険の選択肢

仕事を休むか、退職して新しい保険に入るか迷っている方へ。休職中は給与が減る一方で社会保険の資格は維持されますが、退職後は保険料の負担方法が変わります。この記事では、休職と退職におけるお金の仕組みの違いを整理しました。

  • 休職中は会社と本人で保険料を折半します
  • 退職して任意継続を選ぶと保険料は全額自己負担になります
  • 退職後の保険料は標準報酬月額の上限により変わることがあります

最終更新: / 出典: 全国健康保険協会(協会けんぽ)

休職と退職、どちらが生活を守りやすいか

仕事を休むか辞めるかで迷うときは、今の生活を維持するための「お金」と「社会保険」の仕組みを整理する必要があります。

休職と退職では、受けられる給付や保険料の負担の仕組みが大きく異なります。

それぞれの特徴を理解して、ご自身の状況に合う方を選んでください。

休職が向いているのは、会社に籍を残したまま、傷病手当金を受け取りたい場合です。

傷病手当金は、連続して3日を経て、支給開始日から通算して1年6か月の間支給されます。

参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

支給額は、標準報酬月額の平均を30で割った額に3分の2を掛けて算出します。ただし、支給開始日前の被保険者期間が12か月未満で、支給開始日が令和7年4月1日以降の場合は、本人の平均額と320,000円の低い額を使います。

休職中は社会保険の資格が継続されるため、保険料は会社と折半で負担します。厚生年金保険料率は18.3%で、これも労使で半分ずつ負担します。

また、退職時に傷病手当金の継続給付を受けるには、資格喪失日の前日までに続けて1年以上被保険者である必要があります。

一方で、退職が向いているのは、会社との関係を整理して、新しい生活へ移ることを優先する場合です。

退職後は、それぞれの加入要件を満たす場合に、国民健康保険、任意継続、家族の健康保険の被扶養者のいずれかを選びます。

任意継続を選ぶ場合、退職日までに継続して2か月以上被保険者であり、退職日の翌日から20日以内に申し出る必要があります。この期限を過ぎると、任意継続は選べなくなるため注意が必要です。

任意継続の保険料は、会社負担がなくなるため全額自己負担となります。東京都の場合、健康保険料率(令和8年度)9.85%に、子ども・子育て支援金率0.23%を加えた率で計算します。

ただし、退職時の標準報酬月額が320,000円を超える人は、この上限額が適用されます。任意継続ができる期間は2年ですが、他の健康保険に加入した場合などは途中で資格を失います。

また、退職後に失業保険(基本手当)を受け取る場合は、ハローワークでの手続きが必要です。正当な理由のない自己都合退職の場合、受給資格決定日から通算7日の待期後、原則1か月の給付制限があります。

どちらの選択が生活を守ることにつながるかは、現在の貯蓄や、今後の復職の可能性、健康状態によって変わります。

判断に迷うときは、制度の要件を満たせば受けられる給付について、事前に確認が必要です。

休職と退職で変わるお金の比較

休職と退職では、手元に残るお金の仕組みが大きく異なります。
以下の表は、それぞれの状況における主な違いをまとめたものです。

休職と退職の比較
比較する項目 休職(在籍中) 退職後
社会保険の負担 会社と半分ずつ負担 全額が本人の負担(任意継続の場合)
主な給付金 傷病手当金 失業保険(雇用保険)
保険料の支払い 会社へ本人負担分を支払う 保険者へ直接支払う

休職中は、給与の有無にかかわらず、社会保険料の負担割合は変わりません。
会社が半分を負担し、本人が半分を負担する仕組みが継続されます。

退職して任意継続を選ぶと、会社負担がなくなります。
そのため、保険料は全額が本人の負担となり、在籍中よりも高くなることがあります。

退職後に失業保険を受け取る場合は、要件を満たせば対象となります。
受給の可否や具体的な手続きについては、管轄のハローワークで確認が必要です。

参考:ハローワークインターネットサービス|雇用保険の具体的な手続き|厚生労働省

社会保険料の負担と支払い方法の違い

休職中は、会社に在籍しているため、健康保険や厚生年金の資格が維持されます。
保険料は、給与から天引きされるか、給与がない場合は会社へ直接支払います。

厚生年金保険料率は 18.3% です。
労使折半のため、本人の負担は半分となります。ただし、休職中で給与がない場合も、会社への支払いは必要です。

退職後に任意継続を選ぶ場合、保険料は全額自己負担となります。
東京都の協会けんぽの場合、令和8年4月分からは健康保険料率 9.85% に、子ども・子育て支援金率 0.23% を加えた率が適用されます。

参考:全国健康保険協会(協会けんぽ)の任意継続被保険者の方の保険料額(令和8年4月分〜・東京支部)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

任意継続には、退職日の翌日から 20日以内の申出が必要です。
この期限を過ぎると、任意継続は選べなくなるため、退職後にいちばん先に確認すべき事項といえます。

参考:任意継続(任意継続の被保険者期間・保険料・保険給付)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

受け取れる給付金の違い

休職中に検討すべきは、傷病手当金です。
連続して 3日 間の待期期間を経て、支給開始から通算 1年6か月 の間、支給を受けられます。

支給額は、標準報酬月額の平均を30で割った額に 3分の2 を掛けて計算します。
ただし、退職後に継続して受給するには、退職日までに続けて 1年 以上の被保険者期間が必要です。

参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

一方、退職後に失業保険(基本手当)を検討する場合は、雇用保険の要件を確認します。
自己都合退職の場合、原則として 7日 の待期期間に加え、給付制限期間が発生することがあります。

参考:令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます|厚生労働省

任意継続の保険料が安くなるケース

退職後に任意継続を選ぶと、保険料は全額が本人の負担になります。
そのため、在籍中よりも負担が増えることが一般的です。

しかし、退職時の給与額によっては、任意継続の保険料が以前より安くなるケースがあります。
どのような場合に負担が抑えられるのか、状況別に見ていきましょう。

退職時の給与が一定額より高い場合

退職時の標準報酬月額が、一定の基準を超えている人は、保険料が抑えられることがあります。

協会けんぽでは、任意継続の標準報酬月額は、資格を失った時の額と、所定の全被保険者の平均額に基づく額の低いほうに決まります。

参考:【健康保険】令和8年度の任意継続被保険者の標準報酬月額の上限について|全国健康保険協会(協会けんぽ)

読みどころは、退職時の標準報酬月額が 320,000円 を超えているかどうかです。

この上限額を超える人は、上限の額で保険料が計算されるため、在籍時より安くなる場合があります。
ただし、上限額は年度ごとに見直されるため、最新の情報を確認してください。

なお、任意継続の被保険者期間は原則 2年 です。
ただし、他の健康保険に加入した場合や、保険料を期限までに納めなかった場合は、途中で資格を失います。

退職後に傷病手当金の継続給付を受ける場合

継続給付を受けても、退職後の健康保険の選択肢は変わりません。
退職後に任意継続を選ぶと、保険料は全額が本人の負担になります。

一方で、継続給付は、退職後に選ぶ健康保険とは関係なく、元の保険者から支給されます。
支給期間は、支給を開始した日から通算して 1年6か月 までです。

参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

継続給付を受けるには、退職日までに続けて 1年 以上の被保険者期間が必要です。
ただし、退職日に現に傷病手当金を受けているか、受けられる状態であることも条件となります。

支給額は、標準報酬月額の平均を30で割った額に 3分の2 を掛けて計算します。
ただし、被保険者期間が12か月未満の場合は、本人の標準報酬月額の平均と320,000円を比べ、低い額を使います。

どちらの制度がご自身の状況に適しているかは、加入している保険者によって細かなルールが異なる場合があります。
まずは加入中の健康保険組合や協会けんぽの窓口へ、詳細を問い合わせてみましょう。

任意継続の保険料が上限で抑えられるケース

退職後に任意継続を選んだ場合、保険料が必ずしも「退職直前の給与」に基づいた金額になるとは限りません。健康保険法に基づき、標準報酬月額には上限が設けられているためです。

協会けんぽの任意継続被保険者の標準報酬月額は、「資格喪失時の標準報酬月額」と「前年(1月から3月分は前々年)9月30日時点の全被保険者の平均額に基づく標準報酬月額」の低いほうで決まります。

令和8年度の協会けんぽにおける上限額は 320,000円 です。

参考:【健康保険】令和8年度の任意継続被保険者の標準報酬月額の上限について|全国健康保険協会(協会けんぽ)

例えば、退職時の標準報酬月額がこの上限を超えていた人は、上限額で保険料が計算されます。そのため、高所得だった人ほど、退職後の保険料負担が予想より軽くなる可能性があります。

ただし、この上限額は毎年度見直されます。自身の状況に合わせて、最新の数値を必ず確認してください。

参考:任意継続(任意継続の被保険者期間・保険料・保険給付)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

任意継続の保険料を計算する際は、加入している都道府県の保険料率を確認しましょう。例えば東京都の場合、令和8年度の保険料率は 10.08% となります。

参考:全国健康保険協会(協会けんぽ)の任意継続被保険者の方の保険料額(令和8年4月分〜・東京支部)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

この率には、基本の保険料率に加えて、令和8年4月分からは子ども・子育て支援金率も含まれます。ただし、40歳から64歳の方は、これに介護保険料率が加算される点に注意が必要です。

また、任意継続の手続きには期限があります。退職日の翌日から 20日以内に申し出なければなりません。郵送の場合は、この期限までに書類が必着している必要があります。

期限を過ぎると任意継続は選択できなくなるため、退職後いち早く確認すべき事項です。なお、任意継続ができる期間は原則として 2年 です。ただし、他の健康保険に加入した場合などは、途中で資格を失うことがあります。

休職や退職に関するよくある勘違い

休職中も社会保険料の支払いは止まりますか

いいえ、休職中も健康保険と厚生年金の資格は継続するため、保険料の支払いは止まりません。
給与が支払われない期間であっても、保険料の負担そのものはなくならない点に注意が必要です。

ただし、産前産後休業や育児休業の期間などは、保険料が免除される例外があります。
ご自身の休職理由がこれらに該当するか、就業規則や制度を確認しておきましょう。

退職してすぐに国民健康保険に加入しなければなりませんか

いいえ、退職後の健康保険は、国民健康保険以外にも選択肢があります。
以前の会社の健康保険を継続する「任意継続制度」を利用することも可能です。

協会けんぽの任意継続の場合、退職日の翌日から20日以内に申し出る必要があります。
期限を過ぎると選択できなくなるため、退職後いち早く手続きの検討が必要です。

離職票などの書類は、会社に請求すればすぐに発行されますか

いいえ、書類の交付には、会社側での手続きや確認の期間を要することがあります。
会社は、離職者から離職証明書の交付を求められたときは、これを交付しなければなりません。

参考:ハローワークインターネットサービス|雇用保険の具体的な手続き|厚生労働省

読みどころは、会社に交付義務があるという点です。
ただし、手続きの進捗状況は会社によって異なるため、早めの確認が望ましいといえます。

退職後の手続きで、不明な点があれば会社に相談すれば解決しますか

いいえ、会社が対応できる範囲には限りがあります。
例えば、失業保険の受給に関する具体的な判断などは、会社ではなく管轄のハローワークが行います。

参考:ハローワークインターネットサービス|雇用保険の具体的な手続き|厚生労働省

会社に相談できるのは、在籍中の手続きや、会社が管理している書類に関する事項に限られます。
受給要件や給付額などの詳細については、直接ハローワークへ問い合わせましょう。

まとめ

休職か退職かを選ぶ際は、以下の点を確認してください。

  • 休職中は会社に在籍するため、社会保険の資格が継続されます。
  • 休職中も保険料の負担割合は変わらず、会社と本人が半分ずつ負担します。
  • 退職して任意継続を選ぶと、保険料は全額が本人の負担になります。
  • 退職後も、一定の要件を満たせば傷病手当金の給付を継続できる場合があります。
  • 退職後の健康保険は、国民健康保険以外にも選択肢があります。

制度の選択によって、手元に残るお金や生活の保障は大きく変わります。例えば、任意継続の申出には退職日の翌日から20日以内という期限があります。

参考:任意継続(任意継続の被保険者期間・保険料・保険給付)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

この期限を過ぎると任意継続は選べなくなるため、退職後にいちばん先に確かめるべき事項のひとつです。

ご自身の状況に合わせて、社会保険の仕組み傷病手当金の内容を整理しておきましょう。ただし、加入している保険者によって細かなルールが異なる場合があるため、事前の確認が重要です。

この記事の根拠(本文内34か所・台帳14項目・一次資料10件)

制度の数値(台帳から出しています)

一次資料

数値は一次情報で確かめてから台帳に入れています(情報源について)。リンク先の内容が変わっているのを見つけたら訂正の受付までお知らせください。

この記事の編集責任者

JPSM INTERNET SERVICE 代表

小笠原 治輝おがさわら はるき

休職から退職までの手続きを自分で経験しました。傷病手当金の申請、雇用保険の受給期間延長、健康保険と年金の切り替えを実際に進めた経験があります。記事は、厚生労働省・e-Gov法令検索・ハローワークの一次情報と突き合わせて確認しています。