休職中のアルバイトと副業で損をしないために

休職中にアルバイトや副業をしても大丈夫ですか

休職中の被保険者がアルバイトや副業を行う場合、傷病手当金の受給や社会保険の加入条件に影響することがあります。この記事では、体調を崩して仕事を休んでいる方が、制度のルールに触れずに働くための確認事項をまとめています。

  • 傷病手当金の受給には、労務に服することができない状態であることが必要です
  • アルバイトの収入額だけでなく、就労実態によって傷病手当金の支給可否が判断されます
  • 一定の条件を満たす短時間労働者は、新たに社会保険への加入が必要になる場合があります

最終更新: / 出典: 全国健康保険協会(協会けんぽ)

休職中にアルバイトを検討する際の手順

休職中にアルバイトを検討する場合、事前の確認が必要です。傷病手当金の受給に影響する場合があるためです。

以下の5つの工程で進めることを検討してください。

  1. 医師に現在の体調と、働ける状態かどうかを確認する
  2. 会社の休職規定(会社が決めている休職中のルール)を確認する
  3. 傷病手当金の支給要件を満たすか、保険者に確認する
  4. アルバイトの内容や労働時間が、支給にどう影響するかを把握する
  5. アルバイトを開始する前に、会社へ報告する

まず、医師の意見が重要です。労務不能かどうかは、医師の意見に加え、本人の業務内容などを考慮して保険者が判断します。

次に、会社のルールを確認します。休職中の副業が禁止されている場合、会社とのトラブルにつながる恐れがあります。

また、傷病手当金の受給条件も確認が必要です。被保険者が、療養のために労務に服することができないときに支給される仕組みだからです。

参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

アルバイト収入だけで傷病手当金が減額されるのではなく、就労実態によって労務不能に当たらないと判断されることがあります。支給の可否や金額については、管轄の保険者へ確認してください。

最後に、アルバイトを始める前に会社へ伝えておくことが大切です。事後の報告になると、手続きが複雑になる場合があります。

ただし、以下のケースでは、通常の受給ルールとは異なる対応が必要になるため注意してください。

  • 週の所定労働時間が20時間以上など、新たな社会保険の加入要件を満たす場合
  • アルバイト先での賃金が、傷病手当金の支給額を上回る場合
  • 医師から「就労不可」と判断されている期間に働こうとする場合
  • 会社の就業規則で、休職中の副業が厳格に禁止されている場合

また、アルバイト先の規模によっては、新たな社会保険への加入が必要になるケースもあります。例えば、厚生年金保険の被保険者数が51人以上の企業等で働く場合です。

さらに、令和9年10月からは、被保険者数が36人以上の企業等で働く短時間労働者も、加入対象となる見込みです。将来的に条件が変わる可能性があるため、注意が必要です。

加えて、1週の所定労働時間と1月の所定労働日数が、いずれも通常の労働者の4分の3以上なら、社会保険の加入対象となります。契約内容がこの基準に該当しないか、事前に雇用契約書などで確認しましょう。

最後に、雇用期間が2か月以内の短期契約であっても、それを超えて雇用される見込みがある場合は、最初から被保険者となる場合があります。契約の形態についても、あわせて確認しておくと安心です。

アルバイトを始める前に確認すべき期限とタイミング

アルバイトを開始する際は、傷病手当金の受給条件や、勤務先への報告タイミングを事前に把握しておく必要があります。

確認が必要な事項を、以下の表にまとめました。

アルバイト開始前に確認すべき事項
確認する内容 確認の目的 確認先
医師の意見 働ける状態かの判断 主治医
会社の就業規則 副業の可否や報告義務 勤務先
手当の支給条件 収入による支給額の変化 健康保険組合など

(各制度の規定に基づく)

傷病手当金はアルバイト収入の金額基準で停止されるのではなく、就労実態から労務不能でないと判断されると支給されません。

支給要件は健康保険法に基づき、就労状況の申告方法などは加入している健康保険へ確認します。詳細は管轄の保険者へ確認してください。

参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

また、会社への報告も重要です。休職中のアルバイトが認められるかは、会社ごとに判断が分かれるためです。

手続きの遅れによるトラブルを防ぐためにも、アルバイトを開始する前の相談が大切です。

なお、以下のケースでは、通常の受給ルールとは異なる対応が必要になるため注意してください。

  • 週の所定労働時間が 20時間 以上など、新たな社会保険の加入要件を満たす場合
  • アルバイト先での賃金が、傷病手当金の支給額を上回る場合
  • 医師から「就労不可」と判断されている期間に働こうとする場合
  • 会社の就業規則で、休職中の副業が厳格に禁止されている場合

社会保険の加入要件は、勤務先の規模や契約内容によっても異なります。

例えば、厚生年金保険の被保険者数が 51人 以上の特定適用事業所では、短時間労働者でも加入対象となる場合があります。

また、令和9年10月からは、被保険者数が 36人 以上の企業等でも加入対象となります。

参考:短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大|日本年金機構

さらに、通常の労働者の 4分の3 以上の条件を満たす場合も、勤務先の規模に関わらず被保険者となる可能性があります。

ただし、雇用期間が 2か月 以下の短期契約の場合は、原則として被保険者とはなりません。

参考:短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大|日本年金機構

なお、傷病手当金の支給期間は、支給開始日から通算して 1年6か月 です。

この期間中にアルバイトをする場合も、支給額が一律に 3分の2 に制限される制度ではありません。

支給額の計算には、標準報酬月額の平均額 320,000円 が用いられる点も留意しましょう。

参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

また、退職後に任意継続被保険者を選択する場合は、退職日の翌日から 20日以内 に資格取得申出書を提出する必要があります。

この期限を過ぎると、任意継続制度を利用できなくなるため、退職後は速やかに確認してください。

任意継続ができる期間は 2年 ですが、他の保険に加入した際などは資格を失います。

保険料の負担についても、都道府県や加入する制度によって異なるため、事前の確認が推奨されます。

休職中に副業を考えるときの注意点

傷病手当金の受給に影響する場合

アルバイト収入の額だけでは傷病手当金は減額されませんが、就労実態から労務不能でないと判断された日は支給されないことがあります。
これは、就労実態によって療養のため労務不能という支給要件を満たさない場合があるためです。

支給の有無は、就労の内容や程度を踏まえ、療養のため労務不能であるかによって判断されます。
ただし、すべての収入が直ちに支給停止につながるわけではありません。

例えば、労務の提供が伴わない配当金などの収入であれば、支給に影響しない場合があります。
具体的な判断基準は、加入している健康保険組合などの規定を確認してください。

参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

休んだ期間について事業主から報酬を受け、その日額が傷病手当金の日額(標準報酬日額の 3分の2 相当額)を下回る場合は、傷病手当金との差額が支給されます。

会社の就業規則に影響する場合

休職中のアルバイトが、会社のルールとして認められるかは勤務先によって異なります。
就業規則で副業が禁止されている場合、規律違反としてトラブルになる可能性があります。

また、アルバイトの内容によっては「療養に専念していない」とみなされるケースもあります。
例えば、身体的負担の大きい仕事や、深夜に及ぶ勤務などは注意が必要です。

会社によっては、事前の申請や届け出を必須としている場合もあります。
後から問題にならないよう、あらかじめ人事担当者へ相談することを検討してください。

例外として、医師から就労の許可が出ている場合や、リハビリ目的の軽作業であれば認められることがあります。
ただし、これらは会社や医師の判断に委ねられるため、必ず事前に確認が必要です。

また、休職期間中に別の会社で社会保険の加入要件を満たしてしまうケースにも注意してください。
週の所定労働時間が 20時間 以上になるなど、新たな加入条件を満たすと、元の会社での手続きに影響する恐れがあります。

例えば、厚生年金保険の被保険者数が 51人 以上の特定適用事業所では、短時間労働者でも加入対象となる場合があります。
なお、令和9年10月からは、被保険者数が 36人 以上の企業等でも加入対象となる見込みです。

さらに、通常の労働者の 4分の3 以上の条件を満たす場合も、勤務先の規模に関わらず被保険者となる可能性があります。
ただし、雇用期間が 2か月 以下の短期契約の場合は、原則として被保険者とはなりません。

休職中にアルバイトをする場合の社会保険のルール

アルバイト先で働くことで、新たに社会保険に加入するケースがあります。
アルバイト先の条件によっては、休職中の社会保険とは別に、新しい保険への加入が必要になる場合があります。

両方の勤務先で加入要件を満たす場合は、両方で被保険者となり、二以上事業所勤務の届出が必要です。
どのような場合に新しい保険への加入が必要になるか、主な基準をまとめました。

アルバイト先で社会保険への加入が必要になる主な基準
基準の項目 内容の例 影響する点
週の労働時間 一定時間以上働く 新しい保険への加入
月額の賃金 一定額以上の報酬を得る 新しい保険への加入
勤務先の規模 従業員数などの条件を満たす 新しい保険への加入

日本年金機構の情報を参考に作成

アルバイト先で社会保険の加入条件を満たすと、そのアルバイト先での社会保険に加入することになります。
このとき、休職中の会社で加入している社会保険との関係を整理しておく必要があります。

新しい保険に加入して、これまでの保険の資格を失うと、傷病手当金の受給に影響が出る場合があります。
手続きの進め方や、保険の切り替えについては、事前に管轄の保険者へ確認してください。

加入条件には、いくつかのパターンがあります。
例えば、週の所定労働時間が 20時間 以上である場合です。
ただし、通常の労働者の 4分の3 以上であれば、勤務先の規模に関わらず加入対象となります。

また、勤務先の規模によっても条件が変わります。
厚生年金保険の被保険者数が 51人 以上の企業等では、一定の条件を満たすと加入が必要です。

なお、令和9年10月からは、被保険者数が 36人 以上の企業等でも対象となります。

参考:短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大|日本年金機構

賃金面では、月額の所定内賃金が 88,000円 以上であることが一つの目安です。
ただし、賞与や残業代、通勤手当などはこの金額には含まれません。

なお、月額8.8万円以上という賃金の要件は、2026年10月に撤廃される予定です。撤廃後は、この金額だけを理由に加入の対象外と判断することはできません。ただし、最低賃金の減額特例の対象になる方には例外があります。

加入条件の判定において、例外的なケースも存在します。
以下のような場合は、原則的な基準とは異なる扱いになることがあります。

1つ目は、雇用契約が 2か月 以内の短期契約である場合です。
この期間内の契約でも、その期間を超えて雇用される見込みがあれば、社会保険の被保険者になります。

ただし、契約更新によりその期間を超えることが見込まれる場合は、当初から加入が必要になることがあります。

2つ目は、勤務先の規模が基準に満たない場合です。
基準に満たない規模の企業でも、正社員の4分の3以上働く場合や任意特定適用事業所などでは加入対象になります。

ただし、通常の労働者の 4分の3 以上であれば、規模に関わらず加入が必要です。

3つ目は、賃金の計算方法による違いです。
月額の所定内賃金が 88,000円 以上であっても、賞与や残業代、通勤手当などは判定に含まれません。
判定の際は、あくまで「所定内賃金」のみを確認する必要があります。

最後に、加入手続きの窓口についても把握しておきましょう。
社会保険の加入や資格喪失に関する具体的な手続きは、勤務先の担当部署や、管轄の年金事務所、または健康保険組合へ相談してください。

加入条件の解釈は、個々の契約内容によって異なる場合があります。

判断に迷ったときの相談窓口

休職中のアルバイトについて、自分では判断が難しい場面があります。
制度のルールや、会社との関係で迷ったときは、以下の窓口へ相談してください。

制度のルールや支給額について確認したい場合

傷病手当金の受給条件や、アルバイトによる収入の報告方法について確認したいときは、加入している健康保険の窓口へ相談してください。

参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

保険者によって、細かな運用が異なる場合があります。
ただし、被保険者期間が12か月未満の場合は、本人の標準報酬月額の平均額と 320,000円 の低い方を使います。

また、失業保険(雇用保険の基本手当)との兼ね合いについて確認したいときは、管轄のハローワークへ相談してください。
受給できる条件や、アルバイトをした場合の扱いについて、窓口で判断が行われます。

参考:雇用保険の具体的な手続き|厚生労働省

会社との関係や法律の相談について

休職中のアルバイトが会社の就業規則に触れないか、あるいは退職時の金品の返還について困っているときは、会社へ相談してください。

会社との間で、給与や未払い金などの金銭に関する争いが生じている場合は、弁護士へ相談してください。
退職代行などの業者では、会社との交渉や金銭の請求を扱う権限がありません。

会社への相談が難しい場合や、労働条件について困っているときは、労働局の総合労働相談コーナーなどの公的な窓口を利用できます。
ここでは、労働に関するトラブルの解決に向けた情報提供が行われます。

なお、会社との話し合いが平行線となり、解決が困難な場合は、労働局の「あっせん」制度を利用することも検討してください。
ただし、あっせんはあくまで紛争の早期解決を目指す手続きであり、強制力はありません。

また、労働基準法違反の疑いがある場合は、労働基準監督署へ相談することも一つの方法です。
ただし、監督署は個別の紛争解決(未払い賃金の請求など)を直接行う場所ではない点に注意してください。

さらに、休職中のアルバイトが原因で、会社から懲戒処分を受けるリスクについても、事前に就業規則を確認しておくことが重要です。
もし処分が不当であると感じる場合は、前述の公的な相談窓口へ相談してください。

休職中のアルバイトに関するよくある勘違い

休職中に少しだけアルバイトをしても、傷病手当金は全額もらえますか

アルバイト収入の額だけで減額されるわけではありませんが、就労実態によっては労務不能でないとして傷病手当金が支給されないことがあります。
働いて得た収入が、手当の支給要件に影響するためです。

具体的な計算方法や基準は、加入している健康保険のルールによって決まります。
ただし、収入が支給額を下回る場合でも、就業状況によっては支給対象外となるケースがあります。

参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

アルバイト先で社会保険に加入することになったら、今の保険はどうなりますか

両方の勤務先で加入要件を満たす場合は両方で被保険者となり、二以上事業所勤務の届出が必要です。
アルバイト先の条件によって、新たに社会保険への加入が必要になる場合があるためです。

例えば、週の所定労働時間が 20時間 以上などの要件を満たす場合です。
ただし、雇用期間が 2か月 以内の短期契約であれば、原則として加入対象外となります。

参考:短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大|日本年金機構

休職中にアルバイトをすることは、会社に内緒にしても大丈夫ですか

いいえ、会社とのトラブルにつながる恐れがあります。
アルバイトの内容が、会社の就業規則で禁止されている場合があります。

また、傷病手当金の申請に必要な書類の作成などで、会社への報告が必要になる場面もあります。
ただし、就業規則に副業の禁止規定がない場合でも、休職中の就業が病状に影響しないか確認が必要です。

失業保険をもらいながら、休職中のアルバイトを続けても問題ありませんか

休職中で雇用関係が続いている間は原則として失業状態ではないため、基本手当は受給できません。
アルバイトによる収入や労働時間が、失業保険の扱いを変える場合があるためです。

受給できる条件や、アルバイトをした場合の扱いは、管轄のハローワークで判断が行われます。
ただし、自己都合による離職の場合、原則として 1か月 の給付制限期間が発生します。

参考:雇用保険の具体的な手続き|厚生労働省

まとめ

休職中のアルバイトについては、以下の点に注意が必要です。

  • アルバイトを始める前に、会社の就業規則を確認する
  • 傷病手当金の受給額や支給期間に影響がないか、保険者へ確認する
  • アルバイト先の条件によって、新たに社会保険への加入が必要になる場合がある
  • 失業保険の受給ルールに影響する場合があるため、ハローワークへ相談する

判断に迷う場面では、医師の意見や各窓口の判断が基準となります。制度の詳しい仕組みについては、傷病手当金の解説ページ社会保険の解説ページも参考にしてください。

この記事の根拠(本文内33か所・台帳12項目・一次資料7件)

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一次資料

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この記事の編集責任者

JPSM INTERNET SERVICE 代表

小笠原 治輝おがさわら はるき

休職から退職までの手続きを自分で経験しました。傷病手当金の申請、雇用保険の受給期間延長、健康保険と年金の切り替えを実際に進めた経験があります。記事は、厚生労働省・e-Gov法令検索・ハローワークの一次情報と突き合わせて確認しています。