休職中の傷病手当金と退職後の保険手続き

休職は医師の診断や会社の規定に基づき、病気で働けない状態になったときから検討できます

病気やケガで仕事が続けられなくなったとき、いつから休職できるのか、いつから手当がもらえるのかは大切な問題です。この記事では、会社に在籍したまま休む場合と、退職して健康保険を継続する場合の、手続きの期限や条件を整理して解説します。

  • 休職の開始時期は会社の就業規則によります
  • 傷病手当金は連続して3日間の待期期間が必要です
  • 退職後の任意継続は20日以内に申し込む必要があります

最終更新: / 出典: 全国健康保険協会(協会けんぽ)

休職から手当の受給までの流れ

体調を崩して仕事を休む場合、会社への連絡から手当の受給まで、いくつかの手順があります。全体の流れを5つの工程に分けて説明します。

  1. 医師の診断を受け、会社へ休職の相談をする
  2. 会社から休職の承認を得て、休みを開始する
  3. 連続して3日間の待期を過ごす
  4. 会社を通じて、傷病手当金の申請を行う
  5. 保険者から手当の支給を受ける

傷病手当金の待期期間は、連続して3日間、仕事に就けなかったことが条件です。ただし、待期期間には土日祝などの公休日や有給休暇も含まれます。

支給される手当の額は、標準報酬月額の平均を30で割った額に3分の2を掛けた金額が目安です。支給期間は、支給開始日から通算して1年6か月までとなります。

申請手続きは、会社を通じて行うのが一般的です。申請書には医師が記入する欄があるため、診察時に医師へ記入を依頼する手順を会社に確認しておくとスムーズです。ただし、会社が申請を代行しない場合もあります。

退職後に傷病手当金の継続給付を受けるには、退職日までに続けて1年以上の被保険者期間が必要です。また、退職時にすでに手当を受けているか、受けられる状態であることも条件となります。

参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

退職後に健康保険の任意継続を選択する場合は、退職日の翌日から20日以内に申し出る必要があります。郵送の場合は、この期限までに書類が保険者に必着している必要があるため注意してください。

参考:任意継続被保険者制度|全国健康保険協会(協会けんぽ)

任意継続ができる期間は、原則として2年です。ただし、他の健康保険の被保険者になった場合や、保険料を期限までに納めなかった場合などは、途中で資格を失うことがあります。

参考:任意継続(任意継続の被保険者期間・保険料・保険給付)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

任意継続の保険料は、退職時の標準報酬月額に基づきます。ただし、標準報酬月額が320,000円を超える場合は、この上限額が適用されます。年度替わりで見直されるため、最新の情報をご確認ください。

参考:【健康保険】令和8年度の任意継続被保険者の標準報酬月額の上限について|全国健康保険協会(協会けんぽ)

手続きを忘れないための期限一覧

休職や退職に伴う手続きには、それぞれ期限があります。期限を過ぎると、希望する制度を利用できなくなる可能性があるため、あらかじめ目安を確認しておきましょう。

休職や退職に関連する手続きの期限(目安)
手続きの内容 期限の目安 備考
任意継続への加入 退職日の翌日から20日以内 加入の申込みが必要です
傷病手当金の支給 支給要件を満たした期間の申請 医師の診断や書類が必要です
離職票の請求 退職後、速やかに会社へ依頼 会社へ交付を求める必要があります
失業保険の受給 離職した翌日から1年以内 ただし、受給要件を満たす必要があります

健康保険の任意継続への加入は、退職日の翌日から20日以内に申し込む必要があります。 ただし、20日目が土日・祝日の場合は翌営業日が期限です。郵送の場合は、期限内に必着するように注意してください。

参考:任意継続被保険者制度 | 全国健康保険協会(協会けんぽ)|全国健康保険協会

傷病手当金の申請書は、事業主と医師の証明を受け、被保険者本人から保険者へ提出できます。支給を受けるには、連続して3日間の待期期間を満たし、4日以上仕事に就けなかったことが条件となります。

参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会

退職後に離職票が必要な場合は、会社に対して離職証明書の交付を求めてください。会社は、離職票の交付を請求されたときは、これを交付しなければならないと定められています。

失業保険(基本手当)の受給期間は、原則として離職した日の翌日から1年間です。ただし、自己都合による退職などの場合は、原則として1か月間の給付制限がかかることがあります。

参考:雇用保険の具体的な手続き | 厚生労働省|厚生労働省

今の状況に合わせた制度の選び方

ご自身の現在の状況によって、利用できる制度や手続きの窓口は異なります。
まずは、ご自身がどの立場に該当するかを確認してください。

現在の状況と制度の選び方
いまの立場 扱い 次に見るところ
正社員 会社の規定に従う 会社の休職制度
契約社員 会社の規定に従う 会社の休職制度
パート・アルバイト 会社の規定に従う 会社の休職制度
休職中で在籍している人 社会保険の資格がある 傷病手当金
退職して任意継続を選んだ人 健康保険の資格を継続 任意継続の保険料
退職して国民健康保険に入った人 市区町村の保険に加入 国民健康保険の窓口
家族の扶養に入った人 家族の健康保険に加入 扶養の条件
産前産後・育児休業の人 保険料の免除制度がある 育児休業等の制度

会社に在籍したまま休む場合と、退職して新しい保険に入る場合では、お金の動きが大きく変わります。
ご自身の状況に合わせて、適切な窓口へ相談してください。

会社に在籍したまま休む場合は、まず就業規則を確認しましょう。
休職期間中であっても、社会保険の被保険者であれば傷病手当金の対象となる可能性があります。

ただし、傷病手当金を受給するには、連続して3日間の待期期間が必要です。

参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

退職して保険を切り替える際は、選択肢によって負担額や期間が異なります。
任意継続を選ぶ場合は、退職日の翌日から20日以内に申し込む必要があります。

参考:任意継続(任意継続の被保険者期間・保険料・保険給付)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

任意継続の保険料は、加入する健康保険組合によって異なります。
例えば、協会けんぽ東京支部の令和8年度の保険料率は、子ども・子育て支援金率を含めると10.08%です。

参考:全国健康保険協会(協会けんぽ)の任意継続被保険者の方の保険料額(令和8年4月分〜・東京支部)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

なお、任意継続の標準報酬月額には上限があります。
令和8年度の協会けんぽにおける上限額は320,000円です。

参考:【健康保険】令和8年度の任意継続被保険者の標準報酬月額の上限について|全国健康保険協会(協会けんぽ)

退職後に傷病手当金の継続給付を希望する場合は、資格喪失の日の前日までに1年以上の被保険者期間が必要です。
ただし、国民健康保険の傷病手当金は、条例または規約で定められた場合に限り支給されます。

参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

退職後の保険料を抑えるための上限額

退職時の給与が高い人

退職して任意継続を選ぶ場合、保険料が安くなるケースがあります。これは、健康保険法第47条第1項に基づいた仕組みによるものです。

協会けんぽの任意継続の標準報酬月額は、「資格喪失時の金額」と「一定の平均額」の低いほうで決まります。

参考:任意継続(任意継続の被保険者期間・保険料・保険給付)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

退職時の標準報酬月額が 320,000円 を超えている人は、この上限額で計算されます。

そのため、在籍時よりも保険料が低くなることがあります。ただし、上限額は毎年度見直されるため、退職時に最新の情報を確認してください。

参考:【健康保険】令和8年度の任意継続被保険者の標準報酬月額の上限について|全国健康保険協会(協会けんぽ)

退職時の給与が標準的な人

退職時の標準報酬月額が上限に達していない人は、在籍時と同じ金額を基準に計算されます。この場合、会社負担分がなくなるため、保険料は在籍時のおよそ2倍になります。

例えば、東京都支部の令和8年度の料率を用いると、任意継続の保険料率は 10.08% となります。

この率は、健康保険料率に子ども・子育て支援金率を加えたものです。なお、40歳から64歳の方は介護保険料率も加算されます。

保険料の詳細は、加入する保険者によって異なります。東京都の場合、保険料額表で具体的な金額を確認できます。

参考:全国健康保険協会(協会けんぽ)の任意継続被保険者の方の保険料額(令和8年4月分〜・東京支部)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

任意継続を希望する場合は、退職日の翌日から 20日以内 に申し出が必要です。郵送の場合は、この期限までに書類が必着している必要があります。

この期限を過ぎると任意継続は選べなくなるため、退職後にいちばん先に確かめるべき期限のひとつです。ただし、20日目が土日・祝日の場合は、翌営業日まで認められます。

なお、任意継続ができる期間は原則として 2年 です。ただし、他の健康保険に加入した場合や、保険料を納付期限までに納めなかった場合などは、途中で資格を失います。

参考:任意継続被保険者制度|全国健康保険協会(協会けんぽ)

傷病手当金を受け取るための待期期間

療養のために仕事を休む際、傷病手当金を受け取るには、連続して休む日数の条件があります。

この条件を満たさないと、手当の支給対象にならないため注意が必要です。

連続して休む必要がある場合

傷病手当金を受け取るには、3日の待期が必要です。

これは、連続して3日間休み、4日目から支給対象となる仕組みです。

待期期間には、土日や祝日、有給休暇などの公休日も含まれます。

休んだ3日のあと、4日目から支給されます1日目2日目3日目4日目から支給待期(3日)は支給されません。土日・祝日や有給休暇も入ります支給される期間通算1年6か月1日あたりの額標準報酬日額の3分の2
傷病手当金は、いつから・どれくらい出るか制度の適用時点:2026-07/確認日:2026-07-26/出典:全国健康保険協会(協会けんぽ)

図は、手当が支給されるまでの流れを示しています。

支給額と期間のルール

支給される金額は、標準報酬月額の平均を30で割った額に、3分の2を掛けた額が目安です。

支給期間は、支給開始日から通算して1年6か月となります。

支給開始日や支給期間の計算方法は健康保険法令に基づくため、加入している保険組合によって異なりません。

退職後に継続して受給するための条件

退職後も傷病手当金を受け取り続けるには、一定の条件を満たす必要があります。

退職日までに、継続して1年以上、被保険者であったことが条件です。

また、資格喪失日の前日である退職日に、現に傷病手当金を受けているか、受けられる状態であることも必要です。

参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

支給額の計算における上限の注意点

被保険者期間が12か月未満の場合は、支給額の計算に用いる平均額に比較基準があります。

支給開始日前の被保険者期間が12か月未満の場合、320,000円が比較対象となります。

ただし、この数値は年度替わりで見直されるため、最新の情報を確認してください。

参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

支給の判断が難しい場合

待期は連続する3日間で完成し、公休日や有給休暇も含まれるため、保険者によって条件が変わるものではありません。

ご自身の状況が要件を満たしているか、事前に加入している保険者へ確認してください。

傷病手当金の給付の可否は会社との交渉ではなく保険者が判断するため、まず加入している保険者へ相談してください。ここでは扱えません(弁護士法72条)。

手続きがうまくいかないときの相談先

手続きの進め方や、制度の利用について判断に迷う場面は少なくありません。
窓口によって、相談できる内容が異なります。

会社に休職の相談をしましたが、手続きが進みません。

休職の条件や給付の有無について会社と交渉が必要な場合は、弁護士へ相談してください。ただし、単なる制度の確認や事務的な不備の指摘であれば、まずは社内の人事・労務担当へ詳細を確認しましょう。

傷病手当金の申請について、保険者に確認したいのですが、どこへ連絡すればよいですか?

ご自身が加入している健康保険組合、または協会けんぽへ連絡してください。申請書の様式や提出方法は保険者によって異なる場合がありますが、傷病手当金の支給要件は健康保険法令に基づきます。

参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

失業保険(基本手当)の手続きについて、詳しく知りたいです。

管轄のハローワークへ相談してください。離職票の受け取り方や、受給までの流れ、待期期間などの詳細について案内を受けることができます。

参考:雇用保険の具体的な手続き|ハローワークインターネットサービス|雇用保険の具体的な手続き | 厚生労働省

退職後の保険料を抑えるための手続きが分かりません。

まずは「健康保険の任意継続」か「国民健康保険」のどちらが適しているか、ご自身の状況を整理してください。任意継続を希望する場合、協会けんぽでは退職日の翌日から20日以内以内に申し出る必要があります。ただし、正当な理由があると保険者が認めたときは、この期限を過ぎた申し出が認められる場合があります(健康保険法第37条第1項ただし書き)。

参考:任意継続被保険者制度|全国健康保険協会(協会けんぽ)

制度の要件を満たしているか、あるいは手続きが正しいかについては、各窓口の判断によります。
不明な点は、早めにそれぞれの担当機関へ確認してください。

退職後の健康保険を切り替える手続き

会社を退職すると、在職中の健康保険の資格は退職日の翌日に失われます。その後は、任意継続、国民健康保険、家族の健康保険の被扶養者のいずれかについて、自分で加入手続きを進めます。会社から資格確認書などを交付されている場合は、退職後に会社へ返却してください。

協会けんぽの任意継続を選ぶ場合は、「任意継続被保険者資格取得申出書」を住所地を管轄する協会けんぽ支部へ電子申請または郵送などで提出します。期限は退職日の翌日から20日以内です。郵送は期限内必着となるため、退職日の確認ができる退職証明書や離職票などの写しを添えると、勤務先による資格喪失届の処理を待たずに手続きが進む場合があります。

参考:任意継続の加入手続きについて|全国健康保険協会

国民健康保険を選ぶ場合は、住所地の市区町村の国民健康保険担当窓口へ関係書類を提出します。届出期限は国民健康保険の資格を得た日から14日以内です。一般に健康保険の資格喪失を確認できる書類などが必要ですが、必要書類や申請方法は自治体によって異なるため、窓口や公式サイトで事前に確認してください。

参考:国民健康保険の加入・脱退について|厚生労働省

家族の健康保険の被扶養者になる場合は、その家族の勤務先を通じて申請します。扶養の認定条件や添付書類は加入先の健康保険組合などに確認してください。退職後の空白を避けるため、次の加入先を決めたら、次の順で準備すると確実です。

  • 会社から退職日と健康保険の資格喪失を確認できる書類を受け取る
  • 保険料や扶養条件を比べて加入先を決める
  • 申出書や届書、本人確認書類などをそろえる
  • 期限までに所定の窓口へ提出する

なお、退職後しばらく再就職せず、配偶者の扶養にも入らない場合は、健康保険とは別に国民年金への切替えも必要です。住所地の市区町村または年金事務所で手続きを確認しましょう。

参考:会社を退職したときの国民年金の手続き|日本年金機構

まとめ

休職や退職に関する手続きの要点をまとめました。ご自身の状況に合わせて、内容を確認してください。

  • 休職中の社会保険料は、在籍時と同様に会社と本人が半分ずつ負担します。ただし、給与が止まっている間の本人負担分の支払方法は、会社に確認する必要があります。
  • 傷病手当金は、連続して3日間の待期期間を満たすことが受給の条件です。
  • 退職後の健康保険は、任意継続、国民健康保険、家族の健康保険の被扶養者などから選択します。協会けんぽの任意継続を希望する場合、退職日の翌日から20日以内に申し出る必要があります。
  • 任意継続の保険料は、原則として全額自己負担となります。東京都の協会けんぽの場合、令和8年度の保険料率は10.08%です。

手続きの進め方や、具体的な申請書類については、手続きの進め方を参考にしてください。また、給付額の目安を知りたい場合は、傷病手当金の計算ツールも活用できます。

手続きを行う前に、各窓口で最新の情報を確かめてください。

この記事の根拠(本文内35か所・台帳11項目・一次資料10件)

制度の数値(台帳から出しています)

一次資料

数値は一次情報で確かめてから台帳に入れています(情報源について)。リンク先の内容が変わっているのを見つけたら訂正の受付までお知らせください。

この記事の編集責任者

JPSM INTERNET SERVICE 代表

小笠原 治輝おがさわら はるき

休職から退職までの手続きを自分で経験しました。傷病手当金の申請、雇用保険の受給期間延長、健康保険と年金の切り替えを実際に進めた経験があります。記事は、厚生労働省・e-Gov法令検索・ハローワークの一次情報と突き合わせて確認しています。