契約社員が休職する際の手続きと生活を守る制度

契約社員が休職する場合の手続きと、退職後の保険制度の仕組み

契約社員が病気などで休職する場合、傷病手当金の受給や退職後の健康保険の継続など、確認すべき手続きが複数あります。この記事では、契約社員の方が休職から退職に至るまでの流れや、生活費と保険料に関するルールを整理して解説します。

  • 傷病手当金には連続した待期期間が必要です
  • 任意継続の加入には退職翌日から20日以内の申込みが必要です
  • 退職後の健康保険料は制度によって負担額が変わります

最終更新: / 出典: 全国健康保険協会

契約社員が休職から退職まで進む手順

契約社員が体調を崩して休職し、そのまま退職する場合の手順をまとめました。全体の流れを把握して、事前の確認に役立ててください。

  1. 医師の診断を受け、会社へ休職を相談する
  2. 休職期間中に傷病手当金(病気やケガで働けない期間に支給される手当)の申請を検討する
  3. 退職の意思を会社へ伝える
  4. 退職後の社会保険の手続きを行う
  5. 失業保険などの給付手続きを行う

まず、休職の手続きでは医師の診断書が必要になることがあります。診断書をもとに、会社と休職期間や条件について話し合います。

休職中に傷病手当金を受け取る場合は、待期(連続して3日間働けない状態が続くこと)という条件があります。要件を満たせば、4日目から支給の対象となります。

参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

次に、退職の手続きです。契約社員の場合、契約期間の定めがあるため、退職の申し出ができる時期に注意が必要です。

労働基準法の附則第137条では、契約期間の初日から 1年 を経過した日以後であれば、申し出ることでいつでも退職できるとされています。

参考:労働基準法 附則第137条|e-Gov法令検索(デジタル庁)

ただし、契約期間が1年未満の場合や、特定の事業の完了を目的とする契約などは、この規定が適用されない場合があります。

退職後は、健康保険を継続するか、新しい保険に加入するかを決めます。退職して任意継続(退職後も以前の健康保険を継続して利用できる制度)を選ぶ場合は、手続きの期限があります。

協会けんぽの任意継続被保険者になるには、退職日の翌日から 20日以内 に資格取得申出書を提出する必要があります。郵送の場合は、この期間内に必着させる必要があります。

また、退職後も傷病手当金の継続給付を受けるには、退職日までに続けて 1年 以上被保険者であったことなどの条件を満たす必要があります。

参考:任意継続(任意継続の被保険者期間・保険料・保険給付)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

最後に、働ける状態なら基本手当を、30日以上働けない状態なら受給期間延長をハローワークで手続きします。離職票(退職したことを証明し、失業保険の申請に使う書類)が必要になるため、会社へ早めに依頼しておくとスムーズです。

参考:雇用保険の具体的な手続き|厚生労働省

なお、自己都合による離職の場合、原則として 1か月 の給付制限期間が発生します。ただし、一定の条件を満たせば、この制限が解除されるケースもあります。

参考:令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます|厚生労働省

手続きを忘れないための期限一覧

退職後の手続きには、それぞれ期限が設けられています。期限を過ぎると、希望する制度を利用できなくなることがあります。

主な手続きの期限
手続きの内容 期限の目安 備考
任意継続の申出 20日以内 退職日の翌日から数える
任意継続の継続期間 2年 途中で資格を失う場合あり

(もとにした一次情報と確認日:全国健康保険協会 公式サイト)

任意継続の申出は、退職日の翌日から20日以内に資格取得申出書を提出する必要があります。郵送を利用する場合は、この期間内に書類が相手方に届いている状態にする必要があります。

20日目が土日や祝日の場合は、その翌営業日までが期限となります。期限を過ぎると、任意継続の資格を得ることはできません。退職後にいちばん先に確認すべき期限のひとつです。

任意継続として利用できる期間は、原則として2年です。ただし、他の健康保険に加入した場合や、保険料の納付が遅れた場合などは、途中で資格を失うことがあります。

任意継続の資格を失うケースには、以下のような例外があります。

  • 新しい健康保険(転職先の社会保険や国民健康保険など)に加入したとき
  • 保険料を納付期限までに納めなかったとき
  • 本人が任意継続をやめると申し出たとき

また、傷病手当金の継続給付を受けるには、退職日までに続けて1年以上、被保険者であったことが条件となります。ただし、国民健康保険に加入していた期間などは、この期間には含まれません。

継続給付の要件には、資格喪失日の前日に、現に傷病手当金を受けているか、あるいは受けられる状態であることも含まれます。退職前に医師の診断を受け、受給要件を満たしているか確認しておきましょう。

さらに、雇用保険の失業保険についても期限があります。ハローワークでの手続きには離職票が必要ですが、会社からの発行が遅れると申請が遅れるため、早めに依頼しておくと安心です。

自己都合による離職の場合、原則として1か月の給付制限期間が発生します。ただし、離職後に教育訓練等を受ける場合など、一定の条件を満たせば、この制限が解除されるケースもあります。

参考:任意継続被保険者制度|全国健康保険協会(協会けんぽ)


参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会(協会けんぽ)


参考:雇用保険の具体的な手続き|厚生労働省


参考:令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます|厚生労働省

傷病手当金を受け取るための待期期間

傷病手当金の支給を受けるには、まず「待期」という条件を満たす必要があります。これは、病気やケガによって連続して仕事に就けない状態が続く期間を指します。

連続して休む必要がある日数

支給の対象となるには、連続して 3日 休むことが求められます。この期間には、土日や祝日、有給休暇などの公休日も含まれます。

待期期間を終えた後の、4日目から支給の対象となります。支給される期間については、以下の通りです。

  • 待期期間は 3日
  • 支給期間は、支給開始日から通算して 1年6か月
休んだ3日のあと、4日目から支給されます1日目2日目3日目4日目から支給待期(3日)は支給されません。土日・祝日や有給休暇も入ります支給される期間通算1年6か月1日あたりの額標準報酬日額の3分の2
傷病手当金は、いつから・どれくらい出るか制度の適用時点:2026-07/確認日:2026-07-26/出典:全国健康保険協会(協会けんぽ)

図は、支給が始まるまでの流れと、受け取れる期間の目安を示しています。

支給が始まるタイミングと期間

待期期間を満たした後は、労務不能で給与が支払われない日について給付を受けられます。支給期間は、通算して 1年6か月 です。

2022年(令和4年)1月1日からは、通算方式で計算される仕組みになっています。支給開始日以後、不支給の日を除き、支給日数が通算の上限に達するまで受け取ることが可能です。

ただし、1日当たりの支給額は、標準報酬月額の平均額を30で割った額に 3分の2 を掛けて計算します。

参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

退職後に継続して受け取るための条件

退職後も継続して傷病手当金を受け取るには、資格喪失日の前日までに、続けて 1年 以上被保険者である必要があります。

また、退職日(資格喪失日の前日)に、現に傷病手当金を受けているか、あるいは受けられる状態であることも条件です。ただし、国民健康保険に加入していた期間などは、この継続期間には含まれません。

もし退職時にすでに支給を受けている状態であれば、一定の条件を満たすことで、退職後も継続して給付を受けられる可能性があります。具体的な判断は、加入している健康保険組合や協会けんぽへ確認してください。

継続給付の要件には、いくつか注意すべき点があります。例えば、退職時にすでに傷病手当金を受けている場合でも、被保険者期間が 1年 未満であれば、退職後の継続給付は受けられません。

また、任意継続の加入中に発生した病気やケガには傷病手当金は支給されませんが、退職前からの継続給付は受けられます。任意継続への加入に基づく傷病手当金の新たな受給権は発生しないためです。

さらに、退職後に国民健康保険へ加入しても、退職前に支給要件を満たし、継続給付の条件をすべて満たしていれば、傷病手当金の継続給付を受けられます。

手続きの詳細は、加入している保険者によって異なる場合があります。退職を検討している際は、あらかじめ加入中の健康保険組合や協会けんぽの窓口へ、自身の被保険者期間や支給状況を確認しておきましょう。

任意継続の保険料と上限額の仕組み

退職後に健康保険の任意継続を選ぶ場合、支払う保険料の仕組みが変わります。在籍中とは負担の割合が異なるため、事前の確認が要ります。

在籍中は会社と本人が保険料を半分ずつ負担していますが、任意継続被保険者はその全額を負担します。健康保険法第161条第1項ただし書に基づき、会社負担分も本人が支払う形になります。

保険料の計算には、標準報酬月額が使われます。任意継続の場合、標準報酬月額には上限が設けられています。

健康保険法第47条第1項により、上限は「資格喪失時の標準報酬月額」と「前年9月30日時点の全被保険者の標準報酬月額の平均額」の低いほうです。

協会けんぽの令和8年度における、標準報酬月額の上限は 320,000円 です 。退職時の額がこの数値を超える人は、上限で保険料が頭打ちになります。そのため、退職後のほうが保険料が安くなるケースが見られます。

参考:【健康保険】令和8年度の任意継続被保険者の標準報酬月額の上限について|全国健康保険協会(協会けんぽ)

なお、この数値は毎年度見直されるため、最新の情報への確認が必要です。次に、実際に支払う保険料の割合について説明します。東京都の協会けんぽにおける、令和8年4月分からの保険料率は 10.08% です 。

この率は、健康保険料率と子ども・子育て支援金率の合計です。

40歳から64歳までの人は、これに介護保険料率も加わります。

ただし、任意継続の資格は、他の健康保険の被保険者になったときや、保険料を納付期限までに納めなかったときなどは、途中で資格を失う点に注意してください。

また、任意継続ができる期間は原則2年間ですが、本人が申し出た場合も終了します。

保険料の計算に関するまとめは以下の通りです。

任意継続の保険料の仕組み(東京都・協会けんぽ)
項目 内容 備考
負担割合 全額自己負担 会社負担はありません
標準報酬月額の上限 320,000円 退職時の額が上限を超える場合に適用されます
保険料率(東京) 10.08% 40歳以上は介護保険料が加算

(全国健康保険協会 令和8年4月分〜・東京支部)

参考:全国健康保険協会(協会けんぽ)の任意継続被保険者の方の保険料額(令和8年4月分〜・東京支部)|全国健康保険協会(協会けんぽ)


参考:【健康保険】令和8年度の任意継続被保険者の標準報酬月額の上限について|全国健康保険協会(協会けんぽ)

困ったときの相談窓口

手続きや制度の判断で迷ったときは、状況に合わせて相談先を使い分けてください。
窓口によって、相談できる内容の範囲が異なります。

会社や制度の運用について相談したい場合

休職の手続きや、会社が用意している制度の詳細は、勤務先の担当部署へ確認してください。
休職期間のルールや、給与の支払いに関する相談は、会社が窓口となります。

傷病手当金の申請書類の記入方法については、加入している健康保険組合や協会けんぽへ相談できます。
ただし、支給要件の判定は保険者が行い、会社は勤務状況や給与の支払い状況を証明します。

参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

保険料の支払い方法や、資格の喪失に関する具体的な手続きについても、保険者へ確認してください。
任意継続の加入手続きなどは、退職日の翌日から20日以内に申し出る必要があります。

ただし、20日目が土日・祝日の場合は翌営業日が期限となります。郵送の場合は必着に注意してください。

参考:任意継続(任意継続の被保険者期間・保険給付)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

なお、会社との間で金品の返還や退職条件について争いがある場合は、弁護士へ相談してください。
ここでは、会社との交渉や請求を代行する権限はありません(弁護士法72条)。

失業保険や公的な給付について相談したい場合

退職後の失業保険(基本手当)の受給については、管轄のハローワークへ相談してください。
受給できるかどうかの判定は、管轄のハローワークが行います。

参考:雇用保険の具体的な手続き|厚生労働省

自己都合による退職の場合、原則として1か月の給付制限期間があります。
ただし、一定の条件を満たす教育訓練等を受ける場合は、この制限が解除されることがあります。

参考:令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます|厚生労働省

国民健康保険への加入や、自治体独自の給付制度については、お住まいの市区町村の窓口へ確認してください。
自治体によって、傷病手当金に似た制度を設けている場合があります。

また、退職後に健康保険の資格を失う際、傷病手当金の継続給付を受けられる場合があります。
これには、退職日までに続けて1年以上被保険者であったことなどの条件があります。

参考:任意継続被保険者制度|全国健康保険協会(協会けんぽ)

制度の適用範囲や、自身の加入状況による違いについては、各窓口へ早めに確認を進めてください。
窓口によって回答できる範囲が異なるため、事前の整理が重要です。

契約社員の休職に関するよくある勘違い

傷病手当金の待期期間は、土日や祝日を含めなくてよいですか?

いいえ、土日や祝日も含まれます。待期とは、連続して休む必要がある期間のことです。この期間には、公休日も含まれる点に注意してください。

傷病手当金の支給対象になるには、3日以上の休みが必要ですか?

いいえ、3日の休みだけでは足りません。傷病手当金は、連続して3日間の待期を経過したあとに、支給が始まります。

参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

自己都合で退職した場合、失業保険はすぐに受け取れますか?

すぐには受け取れない場合があります。一定の条件を満たす教育訓練等を受ける場合は、給付制限が解除されるケースもあります。

参考:令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます|厚生労働省

傷病手当金は、退職後も継続して受け取れますか?

退職後も継続して受け取れる場合があります。ただし、退職日までに続けて1年以上の被保険者期間が必要です。

参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会(協会けんぽ)

任意継続の手続き期限を過ぎたら、もう加入できませんか?

原則として、退職日の翌日から20日以内に申し出る必要があります。この期限を過ぎると、任意継続の被保険者にはなれません。ただし、加入する健康保険組合によってルールが異なるため、事前に確認してください。

まとめ

契約社員が休職から退職へ進む際は、各制度の要件や期限を正しく把握することが重要です。

  • 傷病手当金は、連続する3日間の待期期間を満たせば支給対象となります 。ただし、支給期間には通算で1年6か月の制限があります。
  • 任意継続は、退職日の翌日から20日以内に申し出る必要があります 。ただし、他の健康保険に加入した際などは資格を失います。
  • 失業保険は、自己都合退職の場合、原則として1か月の給付制限期間があります。ただし、一定の教育訓練を受ける場合などは、制限が解除されることがあります 。

手続きの期限を過ぎると、希望する制度を利用できなくなる恐れがあります。会社への相談は勤務先の担当部署へ、保険の手続きは加入している保険者へ早めに確認しましょう。

この記事の根拠(本文内36か所・台帳10項目・一次資料8件)

制度の数値(台帳から出しています)

一次資料

数値は一次情報で確かめてから台帳に入れています(情報源について)。リンク先の内容が変わっているのを見つけたら訂正の受付までお知らせください。

この記事の編集責任者

JPSM INTERNET SERVICE 代表

小笠原 治輝おがさわら はるき

休職から退職までの手続きを自分で経験しました。傷病手当金の申請、雇用保険の受給期間延長、健康保険と年金の切り替えを実際に進めた経験があります。記事は、厚生労働省・e-Gov法令検索・ハローワークの一次情報と突き合わせて確認しています。