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役員の退職金は、役員としての功績や勤続年数に基づいた計算式で決まります
役員として在籍した方が退職する際、会社から支払われる退職金の仕組みについて解説します。役員の退職金は、従業員の退職金とは異なる独自の計算方法が用いられることが一般的です。この記事では、金額の目安となる計算式や、金額を左右する条件について説明します。
- 役員の退職金は、会社が定める規程に基づき計算される
- 計算式には功績倍率という考え方が用いられることがある
- 金額は勤続年数や役職によって大きく変わる

役員の退職金はいくらになるか|計算式と具体例
役員の退職金は、定款または株主総会の決議等に基づいて決定されます。一般的には、役員の功績や勤続年数、役職に応じた倍率を掛け合わせて算出する仕組みが用いられます。

計算式は、会社ごとに異なります。あらかじめ「役員退職慰労金規程」などの書面で、計算の基礎となる金額や倍率が定められていることが一般的です。
具体的な金額の目安を知るために、統計データを確認します。厚生労働省の調査によると、勤続20年以上かつ45歳以上の大学・大学院卒の管理・事務・技術職で、定年退職した人の退職給付額(一時金と年金現価額の合計)の平均は 18,960,000円です。
ただし、この数値はあくまで統計上の平均であり、役員個人の退職金がこの金額になると決まっているわけではありません。役員の退職金は、会社の業績や個人の貢献度によって大きく変動します。
以下に、一般的な計算の考え方を用いた具体例を示します。ここでは、計算の仕組みを理解するための例として作成しています。
一般的には、計算の基礎となる役員報酬に、在任期間と役職に応じた功績倍率を掛けて算出します。ただし、実際の計算では「退職時の月額報酬」ではなく「退職直前の平均報酬」を用いる場合もあります。
また、役員の退職金は、株主総会の決議を経て決定されることが一般的です。規程に基づいた金額であっても、会社の資金繰りや業績によって、支払額や時期が調整されるケースもあります。
実際の計算にあたっては、会社の規程を事前に確認することが要ります。規程の内容が不明確な場合は、税務上の判断に影響することもあるため、事前の確認が必要です。
なお、退職金の支払い方法には、一時金として一括で受け取る方法のほか、年金形式で分割して受け取る方法もあります。受け取り方によって、税負担や社会保険料の扱いが変わる可能性があるため注意しましょう。
さらに、役員が退職する際の条件(自己都合か会社都合かなど)によって、規程上の倍率が変動する仕組みを採用している企業もあります。自身の状況がどの区分に該当するか、規程の詳細をあわせて確認してください。
計算式に使われる言葉の意味
退職金の計算式には、いくつかの重要な言葉が登場します。これらの言葉が何を指しているのかを理解することが、正確な金額を知るための第一歩です。

学歴や職種による違い
退職金の平均額は、学歴や職種、辞め方の理由によって異なります。厚生労働省の調査結果では、以下のような違いが見られます。
| 学歴・職種 | 辞め方の理由 | 平均額 |
|---|---|---|
| 大学・大学院卒(管理・事務・技術職) | 会社都合 | 17,380,000円 |
| 大学・大学院卒(管理・事務・技術職) | 自己都合 | 14,410,000円 |
| 高校卒(管理・事務・技術職) | 定年 | 16,820,000円 |
| 高校卒(管理・事務・技術職) | 会社都合 | 13,850,000円 |
| 高校卒(管理・事務・技術職) | 自己都合 | 12,800,000円 |
| 高校卒(管理・事務・技術職) | 早期優遇 | 24,320,000円 |
| 高校卒(現業職) | 定年 | 11,830,000円 |
| 高校卒(現業職) | 会社都合 | 7,370,000円 |
| 高校卒(現業職) | 自己都合 | 9,210,000円 |
| 高校卒(現業職) | 早期優遇 | 21,460,000円 |
(厚生労働省「令和5年就労条件総合調査 結果の概況」をもとに作成)
図から、学歴や職種、退職の理由によって、受け取る金額の目安が大きく変わることがわかります。
計算の基礎となる要素
計算式を構成する要素には、主に「退職給付額の基礎となる金額」と「勤続年数」があります。これらに、役職に応じた「功績倍率」を掛け合わせることで、最終的な金額が算出されます。
基礎となる金額は、役員報酬の月額などが用いられることが一般的です。ただし、会社の規程によって算出方法が異なるため注意が必要です。
勤続年数は、会社に在籍していた期間を指します。役員の場合は、取締役としての在任期間が基準となるケースが多いといえます。
また、退職金制度の有無は企業の規模によって傾向が分かれます。従業員1,000人以上の企業では90.1%に制度が存在しています。
一方で、従業員30〜99人の規模では70.1%となります。ただし、退職金は法律で支払いが義務付けられたものではありません。
役員の最終的な支給額は、定款または株主総会の決議等に従います。規程の確認には、総務部門や人事担当部署への問い合わせが有効です。なお、規程が整備されていない場合は、株主総会の決議内容を確認する必要があります。
役員退職金の計算で金額が変わる条件
役員退職金の計算において、金額を左右する大きな要素の一つが「功績倍率」です。功績倍率は、役員としての貢献度や責任の重さを数値化したものです。

この倍率は、会社が定める規程によって決まります。役職が上がるにつれて、設定される倍率が高くなる仕組みが一般的です。
例えば、取締役や常務、代表取締役といった役職の違いによって、掛け合わせる倍率が異なります。役職が高いほど、退職金の計算結果は大きくなる傾向があります。
ただし、功績倍率は一律ではありません。会社が定める規程の内容によっては、特定の条件を満たす場合に倍率が変動することもあります。
具体的には、役員の任期や、会社が定めた特定の業績目標の達成度合いによって、倍率が調整されるケースも考えられます。規程に記載された条件を詳細に確認することが重要です。
また、退職の理由によっても、受け取れる金額の目安は変わります。例えば、定年退職か、会社都合による退職か、あるいは自己都合による退職かによって、支給額に差が生じる場合があります。
退職金の目安を知るための参考として、厚生労働省の調査結果を見てみましょう。大学・大学院卒(管理・事務・技術職)・早期優遇のグループにおける退職給付額の平均は 22,660,000円 です。
この数値は、勤続20年以上かつ45歳以上の退職者に限る条件での結果です。学歴や職種、退職の理由によって、受け取れる金額の目安には差が生じます。
退職理由による違いを具体的に見ると、同じ大学・大学院卒(管理・事務・技術職)でも、定年退職時の平均は 18,960,000円 です。一方で、自己都合による退職の場合は 14,410,000円 となります。
このように、退職の形態によって支給額に差が出ることは珍しくありません。会社都合による退職であれば、平均 17,380,000円 となり、自己都合よりも高い傾向が見られます。
役員退職金の計算において、自身の役職や勤続年数がどのように倍率に影響するかは、事前に会社の規程を確認することが重要です。規程の改定が行われていないかも、併せて確認しておきましょう。
退職金が振り込まれる時期と手続きの流れ
退職金の支払いは、会社が定める規程(ルール)によって時期や方法が決まります。退職金は法律で支払いが義務付けられたものではありません。

そのため、いつ、どのような手順で受け取れるかは、所属する組織の規定を確認する必要があります。まずは、退職給付制度の普及状況を厚生労働省の調査結果から見てみましょう。
| 企業の規模(従業員数) | 制度がある割合 |
|---|---|
| 全体 | 74.9% |
| 1,000人以上 | 90.1% |
| 300〜999人 | 88.8% |
| 100〜299人 | 84.7% |
| 30〜99人 | 70.1% |
(令和5年就労条件総合調査 結果の概況、2026年8月23日確認)
多くの企業で退職給付制度が導入されていますが、具体的な支払時期は会社ごとに異なります。
役員として在籍している場合
役員として在籍したまま支給されても、原則として税務上の退職金にはなりません。役員を退任しただけでは支給額は確定せず、原則として株主総会の決議等が必要です。
退職の手続きが進むと、会社から支払額や振込予定日の通知があります。規程に定められた手続きを完了させることで、指定の口座へ振り込まれます。
ただし、役員の場合は株主総会の決議や取締役会の承認が必要となるケースがあります。手続きの遅延を防ぐため、事前に役員退職慰労金規程を確認しておきましょう。
退職した後に受け取る場合
退職した後は、会社が定める支払期日に基づいて退職金が支払われます。退職後すぐに振り込まれるケースもあれば、数か月後の決まった時期にまとめて支払われるケースもあります。
労働者に該当する場合、争いのない金品は、請求から7日以内に支払われるべきものとされています。
ただし、役員の退職金については、定款または株主総会の決議等に従うため、事前の確認が要ります。労働基準法が直接適用されない場面も想定されます。
交渉が必要な事案については、弁護士でなければ扱えない用件かを仕分ける必要があります。ここでは、弁護士が行う業務については扱えません。
支払いの遅延や金額の相違が疑われる場合は、まずは社内の法務部門や総務部門へ問い合わせましょう。解決しない場合は、専門家への相談を検討してください。
役員の退職金に関するよくある勘違い
役員が辞める際、退職金は必ず支払われますか
いいえ、役員の退職金は法律で支払いが義務付けられたものではありません。
会社の規程があっても、原則として定款の定めまたは株主総会の決議等が必要です。

実際に退職金制度がある企業の割合は 74.9% です。
ただし、これは従業員を含む全企業を対象とした調査結果です。
退職金の計算で、役員としての期間はすべて合算できますか
いいえ、役員としての期間だけでなく、従業員としての期間を合算できるかは、会社の規程によります。
役員就任前の期間を退職金の計算に含めるかどうかは、会社が定めたルールに従う必要があります。
規程に明記されていても、合算した金額の支給には定款または株主総会の決議等が必要です。
一方で、役員就任時を起算点とする規程であれば、従業員時代の期間は反映されません。
退職金を受け取った際、住民税は後からまとめて請求されますか
いいえ、退職所得に係る住民税は、原則として退職金の支払時に会社がまとめて徴収(特別徴収)します。
退職所得の金額を計算し、その金額に対して住民税が課税される仕組みです。
会社が支払額から住民税を差し引いて、残額を本人へ振り込む形が一般的です。
退職金の金額に納得がいかない場合、すぐに会社と交渉できますか
いいえ、会社との間で支払額について争いがある場合、まずは会社の規程や契約書を確認してください。
役員は従業員と異なり、労働基準法の保護を受けられない立場であることが多いためです。
規程に不備がある場合や、不当な減額が疑われる場合は、専門家への相談を検討しましょう。
会社側が提示する金額が、定款または株主総会の決議等の内容と一致しているかも確認が必要です。
まとめ
役員の退職金について、確認したポイントをまとめます。

- 退職金の計算は、会社が定めた規程(ルール)に基づいて行われます。
- 計算の基礎となる金額や功績倍率は、会社ごとに定められています。
- 役員としての期間を計算に含めるかは、会社の規程によります。
- 退職所得の住民税は、原則として支払時に会社が徴収します。
退職金制度の有無は企業の規模によって異なります。従業員30〜99人の企業における退職給付制度(一時金・年金)がある割合は 70.1% です。
ただし、これはあくまで統計上の数値であり、個別の企業の状況を保証するものではありません。
退職金の仕組みや税金の詳細については、退職金の解説ページや税金の解説ページもあわせて参照してください。
この記事の根拠(本文内36か所・台帳17項目・一次資料1件)
制度の数値(台帳から出しています)
- 退職給付額の平均:大学・大学院卒(管理・事務・技術職)・定年18,960,000円時点:令和5年調査(令和4年1年間)確認:2026-07-26厚生労働省|令和5年就労条件総合調査 結果の概況
- 退職給付額の平均:大学・大学院卒(管理・事務・技術職)・会社都合17,380,000円時点:令和5年調査(令和4年1年間)確認:2026-07-26厚生労働省|令和5年就労条件総合調査 結果の概況
- 退職給付額の平均:大学・大学院卒(管理・事務・技術職)・自己都合14,410,000円時点:令和5年調査(令和4年1年間)確認:2026-07-26厚生労働省|令和5年就労条件総合調査 結果の概況
- 退職給付額の平均:高校卒(管理・事務・技術職)・定年16,820,000円時点:令和5年調査(令和4年1年間)確認:2026-07-26厚生労働省|令和5年就労条件総合調査 結果の概況
- 退職給付額の平均:高校卒(管理・事務・技術職)・会社都合13,850,000円時点:令和5年調査(令和4年1年間)確認:2026-07-26厚生労働省|令和5年就労条件総合調査 結果の概況
- 退職給付額の平均:高校卒(管理・事務・技術職)・自己都合12,800,000円時点:令和5年調査(令和4年1年間)確認:2026-07-26厚生労働省|令和5年就労条件総合調査 結果の概況
- 退職給付額の平均:高校卒(管理・事務・技術職)・早期優遇24,320,000円時点:令和5年調査(令和4年1年間)確認:2026-07-26厚生労働省|令和5年就労条件総合調査 結果の概況
- 退職給付額の平均:高校卒(現業職)・定年11,830,000円時点:令和5年調査(令和4年1年間)確認:2026-07-26厚生労働省|令和5年就労条件総合調査 結果の概況
- 退職給付額の平均:高校卒(現業職)・会社都合7,370,000円時点:令和5年調査(令和4年1年間)確認:2026-07-26厚生労働省|令和5年就労条件総合調査 結果の概況
- 退職給付額の平均:高校卒(現業職)・自己都合9,210,000円時点:令和5年調査(令和4年1年間)確認:2026-07-26厚生労働省|令和5年就労条件総合調査 結果の概況
- 退職給付額の平均:高校卒(現業職)・早期優遇21,460,000円時点:令和5年調査(令和4年1年間)確認:2026-07-26厚生労働省|令和5年就労条件総合調査 結果の概況
- 退職給付額の平均:大学・大学院卒(管理・事務・技術職)・早期優遇22,660,000円時点:令和5年調査(令和4年1年間)確認:2026-07-26厚生労働省|令和5年就労条件総合調査 結果の概況
- 退職給付制度がある企業の割合(従業員1,000人以上)90.1%時点:令和5年調査(令和4年1年間)確認:2026-07-26厚生労働省|令和5年就労条件総合調査 結果の概況
- 退職給付制度がある企業の割合(従業員30〜99人)70.1%時点:令和5年調査(令和4年1年間)確認:2026-07-26厚生労働省|令和5年就労条件総合調査 結果の概況
- 退職給付(一時金・年金)制度がある企業の割合74.9%時点:令和5年調査(令和4年1年間)確認:2026-07-26厚生労働省|令和5年就労条件総合調査 結果の概況
- 退職給付制度がある企業の割合(従業員300〜999人)88.8%時点:令和5年調査(令和4年1年間)確認:2026-07-26厚生労働省|令和5年就労条件総合調査 結果の概況
- 退職給付制度がある企業の割合(従業員100〜299人)84.7%時点:令和5年調査(令和4年1年間)確認:2026-07-26厚生労働省|令和5年就労条件総合調査 結果の概況
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